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不浄者は凶神になり斜めな成長する  作者: ジャック・レイ・パール
異世界へ
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そして転移

「 イケメン転校生が来る。このことは透輝のクラスに当然のことながら波紋を広げた。女子は密かにざわつき、男子は未だ見ぬイケメンということもありどんな奴がくるのかと困惑をしていた。


「あのね涼香ちゃん、今日も早起きしてお弁当作ったんだあ。」


「嬉しいよ憂楽しみにしてるね。」


「ブレねえなぁ!おたくらはさあ!」


「いいじゃないか、ところで『国王が王妃と王女の前で魔王軍幹部の触手に堕つ~ダメェ女の子になっちゃう~』は先生にプロットを渡してくれたか?」


 透輝(とうき)(ゆう)涼香(きょうか)麗菜(れいな)の四人は転校生が来るということを気にしていないかのように、いつもどうりの騒がしさをたもっていた。涼香と麗菜は別クラスなので興味がないのかもしれない。


「ああ、従姉(ねえ)さんは絶賛だったけど、なんで最後は王と触手が真実の愛に目覚めて逃避行をはじめて終わりってどうなんですかね。しかも産卵シーンはちゃんとあったし。で、これまた王のモデルまた俺なんですかね、もしそうなら全力で制作を妨害するんですが。」


「さすがにそれはないよ、峯島(ふとう)君が青年になったらこうなるだろうなあ、とは思うようなキャラになるかもしれないが大丈夫だろう問題ない。」


「大丈夫じゃない、問題だ。」


 透輝と麗菜にとっては転校生よりも次に制作する同人誌(BL)の問題のほうが重要な案件だったのでそれどころでないといった感じだったし。憂と涼香は百合にしか見えないバカップルぶりを発揮するので忙しかった(いちゃついてた)からだ。そんな四人はHRが始まるまでいつもどおりの時間をすごしたのだった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ーHRー

「おはよう、(みな)揃っているか?転校生が来るっていう一大イベントだぞ。私の学生時代にはなかったことだ。女子は頑張って口説けよー。」

 

 クラス担任として有り得ない砕けた態度の担任女性教師だが今日に限ってはクラスの雰囲気はどこか張りつめたものとなっている。女子の未だ見ぬイケメンといわれるために上がった期待のためかもしれないし、男子のイケメンがクラスに来ることへのある種の恐怖のためかもしれない。


「よし、では今から職員室から呼んで来るからちょっと待ってなね。」


 盛大な肩透かしであった…。


「いえ、もうこちらに居ますからその必要はないですよ。」


 扉を開き教室に入ってきたのは確かに美男子と呼ぶべき美しさをもっていた。そう男らしさといった雰囲気ではなく美しいと称した方がいい(たぐい)のものだ。

 そしてなにより転校生は()()()()()とはいえ憂とはベクトルが違い憂を可愛い系とするなら転校生は凛々しい系(単純にわかりやすくするとオ〇カル風)という違いはあった。


「……よし、では自己紹介を頼む。その後で皆自己紹介をしよう。」


「はい、わかりました。本日よりこのクラスに転入になった霹靂神 時雨(はたたがみ しぐれ)です。よろしくお願いします。」


 女子は顔を見合わせ霹靂神時雨を見て次に女子同士で顔を見合わせ『キャッ』と声をあげ、男子はそんな女子の反応をみて死んだ魚ような目になった。

 透輝はそんなクラスメイト達を見ながら昨晩見た某兄貴のケツドラムを脳内再生していた。


「ああ、最近だらしねえな」


 転校生が来たことによるクラスの雰囲気の一変、しかもそれがルックスがよいときたものならばその後にくるものは女子の歓喜、そしてそんな女子を見ながら敗北感を早くも見せ始める男子陣。霹靂神時雨(はたたがみしぐれ)はクラスの注目を集めていた。


「うう~、ちょっとお話したいことがあったんだけどなあ。この調子だと難しかなぁ。」


「ああ?あのはたなんとかにか?いったい何話すってんだ。」


「はたなんとかじゃなくて霹靂神(はたたがみ)だよ、クラスメイトになるんだから覚えなよ。話したかったのは彼も僕と同じ女顔に近いでしょ?そのことで話せないかなって。」


 今だにクラスメイト達の顔と名前が一致していない透輝は憂の言葉が突き刺さりつつも、その話題でいけるかなあと疑問だった。同じ女顔でもタイプが違うなら悩みも違うだろう。むしろ、近いが遠い故に嫌悪に繋がるかもしれないからだ。


「やめといたほうがいいと思うぞ俺は、それに今は女子もピリピリしてる。変にかき乱さない方がいいな。」


「うっ、そうだね。霹靂神君も徐々に馴染んでいく方がいいよね僕から話しかけるのはやめておくよ。」


「そーしてくれ、であいつの名前なんだっけ?」


 まったく霹靂神時雨(はたたがみしぐれ)の名前を覚えられない透輝だが、自身のクラスメイトの名前が出てこない彼からすれば当然かもしれなかった。


 午前の授業は一見、(つつが)なく過ぎた様に見えた。だが、実際には霹靂神時雨(はたたがみしぐれ)はとんでも性能、文武両道を発揮した。体育では運動部以上の活躍をみせ運動部に所属する者の顔を潰し、美術では芸術家さながらの腕前をみせ座学で難問をスラスラと答えてみせた。その活躍ぶりには教師陣も驚いていたし、勿論のことクラスメイト達も驚いた。


女子達は既に霹靂神にうっとりした視線を向ける者も多くいた、そしてそんな女子をみて男子は悔しそうな視線を霹靂神時雨に向けるのだ。


 そんな中、透輝と憂は普段通りだった。透輝は霹靂神時雨と接点を持つつもりはなかったし、クラスの女子とは接点がないため『女子は元気だわー。』くらいしか思っていなかった、憂に関しては自分だけでも普段通りのクラスを霹靂神に知ってもらおうとしていた。明らかに無駄だったが。


 昼休みに入り霹靂神時雨(はたたがみしぐれ)の周りに人垣が形成される。質問が霹靂神に向かうたび、穏やかな表情でその質問に答えていく。転校生で文武両道、しかもイケメン(オ〇カル風)な者には当然の結果だろう。とはいえ暫くたてば人垣は減る。部活動の連絡などがあるところも多いからだ。


「憂~、来たよお昼ご飯食べよ?」


「涼香ちゃん!うん、涼香ちゃんのぶんのお弁当も今だすね!」


 そんな中、鈴風涼香と三月麗菜が透輝のクラスにやってきた。


「チッ、リア充爆発しろ。あとオカズわけてください、憂の作るのは『うん、美味しい』っとなるので。」


「君は(ひが)むのかたかるのかどっちなんだい…。」

 

 そんな時ふと、視線をさまよわせていると霹靂神時雨と人垣がある中で目が合った。気がした……。


「ん、あそこの彼が転校生かい?透輝君を見ているのと思うのだが何か接点でもあるのかい。」


「覚えがないですね。アイツのようなイケメンが幼稚園からの付き合いなら肘でどつき、小学生からなら唾を吐き中学からなら殴り掛かるところだが一切覚えがない。」


「君は転校生に怨みでもあるのかい……。」


「イケメン死すべき慈悲はない……ですよ。」


 爽やかな笑顔で麗菜にそう告げる透輝に若干麗菜も引き気味になっていた。

 

「涼香ちゃん、あーん」


「え、あ、あーん」 


「どう?美味しい?」


「憂が作ってくれたものだから美味しいよ。じゃあ、お返しだ、はい憂もあーん」


「ふあ!?、涼香ちゃん恥ずかしいよぉ。」


 憂と涼香は平常運行だった。透輝と麗菜は顔を見合せ砂糖を吐きそうな顔になった。この疑似百合バカップルはすげぇなと。そんな周りのことは気にせずにいちゃつく二人に気をとられたのか人垣をかき分けて来た霹靂神に気づくことができなかった。


「峯島透輝君だったよね、そちらの方はこのクラスの女子でないみたいだけど、彼女なのかい?」


 麗菜のことを指しているのだろうかと透輝は思ったが他にいるのは砂糖を吐きそうになる百合カップル(疑似)しかいなかったのでそうなのだろうと判断する。すると、麗菜の方から透輝との関係を語った。


「夫婦だ」


「いえ、知人です。」


「透輝、なぜのってくれないんだ!せめて君も『そう、彼女です。』くらい言ってみせろ!」


「すいません、俺のことを『おっさんに襲わせたい』だの『触手に突っ込まれろ』だの言う貴女を友人ととすると貞操の危機(後ろ)を 感じますので知人でお願いします。」


 霹靂神を無視して漫才を始める二人にクラスメイト逹はいつもどうりだなぁ。なんて思いつつ状況を見守る。


「じゃあ、お二人はお付き合いはしていないと。」

 

「ああ。」

「まあ、そうね。」


 透輝はなぜそんなことを、といった表情だったが麗菜は透輝の

ことを見ながら何処か口惜しそうな表情を覗かせていた。


「では、お付き合いしていないなら、お名前をお伺いしてもよろしいですか?」


霹靂神時雨はどこか安堵したような笑みを浮かべた。


「…三月麗菜よ転校生さん。」


「私は霹靂神時雨です。よろしくお願いしますね()()()()()()。」


 そう言って霹靂神時雨は麗菜に笑いかけた。そこからは霹靂神が麗菜に話しかけるばかりで時折麗菜が助けを求めるように透輝の方に視線を向けたが『なあ、透輝君どんな触手が好みだい?』とか『薄汚い盗賊や海賊に慰み者にされる透輝君、ハアハア(*´Д`)……燃えるな!』とか言われずに済むのだ無視するに決まっている。あわよくばその変に難しい転校生が新たな犠牲となれと思っていた。

 そんなことを考えているとスマホが着信を告げる、麗菜からだった。


『助けろ、さもないと君がやお〇穴を取り付けされる異世界へ転移させる!!』


 アホウドリも真っ青になるぐらい馬鹿らしいものがきた、当然のこと無視に決まっている。大体異世界転移とは新しいネタの舞台として考えていたのだろうか。透輝は失笑気味になって麗菜の方に顔を向ける。

 

「お、おい!!なんだよ!?ま、魔法陣!?」


 急にクラスの床に丸い円陣、もう魔法陣としか呼べないようなものが出現した。

 クラスに残る生徒達が驚愕する中透輝の脳裏に浮かぶものは先程の麗菜の着信『助けろ、さもないと君が〇おい穴を取り付けされる異世界へ転移させる!!』だった。


「クソッ、マジでシャレになんねえぞ!!」

 

 ダッシュで教室から逃げようとする透輝だったがあと十五センチといったところで誰かに捕まった。


「逃がん、さあ!や〇い穴を装着されろ!!」


「何言っての!何やってんの!!放せえ!!」


 透輝をつかんだのは三月麗菜だった。


 透輝たちは魔法陣の光に呑まれた。









BL展開はないです

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[一言] ほのぼの神社聞きながら見ると、 いいーぞーこれ
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