スケルトン襲来
もう少しなんだ!
「なあ、ノブキ……『ドキ☆女だらけの水着大会~ポロリもあるよ~』ってあるじゃろ?」
「あるな、けど透輝よお…それはダンジョンの中で話すことか?」
現在一行はケルシュ先導の元ダンジョンを突き進んでいる……のだが透輝達の班は後方に近くあまり緊張感もなく、さらにいえば魔物も初層だけあってすぐに他の冒険者などに狩られてしまっているため有体にいって暇なのだった。
「儂な考えたんじゃよ……」
「おい、透輝無視か?ってか儂ってなんだ?」
「もし、筋肉ムキムキマッチョマンの変態がふんどし一丁で水着大会をやったらと……」
「よし、わかった透輝そこでやめと……」
「これを『ウホッ♂漢だらけの褌大会~ボロン♂もあるよ~』と名付けたんだが…『ボロン♂』の部分は『ブルルン♂』とどっちがいいだろうか?」
「まず、大会の趣旨がわからねえよ……!」
透輝の訳の分からないトークに引きずられてしまいノブキはイマイチ集中することができない、頭の中でなぜそんな『漢』だらけの大会なぞ考えたのか視聴率的にスポンサーはつかないだろうと余計なことを考えてしまうあたりノブキもお人好しなのだろう。
その頃、先頭を行くケルシュはダンジョンの異常を感じていた。エルフの<偽純種>ゆえにその能力は純血のエルフと比べても遜色はない。そのため、エルフとして人間よりも優れた魔力感知をしているのだが彼が捉えた影はにわかには信じられないものだった。
『大賢者のダンジョン』の初層も初層の場所ではアンデット種のスケルトンが闊歩しているのだが通常は群れることもなく多くても二体が一緒にいるくらいだ。
それが今、数百もの集団となってこちらを目指している……最初は間違いだと思った、しかし、自分のエルフの<偽純種>としての感覚がアンデットの瘴気を感知している。
「ビュウメス様、カツマタ君緊急事態です、スケルトンと思わしき個体、数百がこちらに向かっている」
「!?、数百ですか?間違いでは……ないんですね」
「ええ、ビュウメス様エルフとしての感覚が瘴気の気配を教えてくれたものですから間違いはないかと……」
「クソ!今まで何もなかったのにどうして急に出てきやがった!」
勝俣が憤り感じるのに無理はない、何せ一時間近く歩いていて何もなかったのにここにきてスケルトン数百体だ。初めてのダンジョンで緊張でたった一時間でも数時間のように感じていてようやく、生徒達も平常心になりつつあったというところでコレだ。初戦闘で数百ものスケルトン…混乱はまぬがれないだろう。
「総員、戦闘準備!今、こちらに数百ものスケルトンがおしよせてきている、だが恐れるな所詮は最下級アンデットだ私達なら問題ない!!」
ビュウメスは総員を鼓舞する、騎士団員達は己の職務をまっとうするため戦闘準備に取り掛かる。勝俣も生徒達を激励しなんとか戦闘準備までもっていくことができた。
「しっかし、初戦闘がスケルトン数百とはよついてねえぜ、後方!峯島のトイレ設置で安全地帯を確保を頼んでおいてくれ!」
勝俣はこんな時のために透輝を連れ出しておいて良かったと心底思う、確かに透輝自身は戦闘能力はなく連れてきてもただの足を引っ張る存在でしかないが魔物が入ってこれないセーフティエリアを作れるということはそれを差し引いても魅力だった(ただそれが、トイレというのは少し考えものだが)けが人などが出ても安全に治療できる場所の確保ができるのだから……
「ハッ!さっさと来いよスケルトンども、こっちは勇者に聖女に賢者に聖拳士までなんでもござれだ……スケルトンごとき残らず骨粉にしてやんぜ……!!」
伝令係の騎士のスケルトン数百の報告が全員に届いたとき生徒達に震えが走った、それは初戦闘への恐怖であり……そして武者震いだ。考えてみてほしい、異世界に来て異能を手に入れたもののずっと訓練ばかりそれも威力をあげるのではなく威力を抑える地味な訓練……生徒達の力を周りにぶつけたいというフラストレーションは爆発寸前だった、そこに現れるスケルトン数百体は生徒達にはとってはそれはただの練習用の木偶人形と変わらないのだった。
「い、嫌だァ~!!死にたくないyoooooo」
透輝以外には……
「あの、透輝殿はトイレ設置での安全な場所の確保をお願いすると勝俣殿より指令だ下っています」
「OK、トイレに引きこもるわ」
伝令の騎士の言葉に神速の反応を示す透輝は周りにちょっと引かれた……
「安心しろって透輝、ちゃんと壁やってやるからよ。しかし、なんでいきなりスケルトン数百体なんてきたんだ?」
ノブキは不安そうな透輝を庇うように発言を重ねる。
「フン、忍者にしてはまともなこといったな、褒めてやろう」
「なんで、麻枝が偉そうに言うんだよ……!」
「ノブキ、詩衣音も落ち着いて~、今は峯島君のトイレ設置に適した場所を探しましょう?」
実は透輝の『トイレ設置』にはセーフティエリアの効果があるが生徒達全員がある程度入るスペースを確保するためには場所探しも重要だ。透輝達は安全そうな場所をさがし安全地帯を確保したのだった。
「おかしい、なぜそんな動きを……?」
ケルシュは今回のスケルトンの異常さを感じていた、スケルトンの動きがどうにも不可思議としかいいようのない行動をしているのだ。
まず、アンデットであるスケルトンが生者の集団に襲い掛かるのはまだわかる、しかしその場合には四方八方からスケルトンが襲いかかってこなければおかしいのだが、ケルシュのエルフの<偽純種>としての感覚がスケルトン達は四方八方からおそいかかるのではなく自分たちからみて前方に集まっている、なぜそんな行動をとるのかがケルシュにはわからなかった。
「ケルシュさんどうかしましたか?」
そうケルシュに話しかけたのは勇者である霹靂神だった、彼は見た目どうりではない歳のケルシュから見れば幼子といったものであるが、その身にまとうオーラともいうべき気配はまるで永らく戦場に立ち続けた者そのものの気配だった。もう一人の勇者たる三月麗菜とは比べ物にならないほどである、彼らは同じ世界から来たと聞いていたがここまで差があるものだろうか……?
「いえ、霹靂神殿なぜスケルトン達がこうも集まったのかなと考えていまして……」
そうケルシュが誤魔化すように霹靂神に話しかけると霹靂神はなるほどと首を縦に振る。
「確かに、スケルトンが集まるのは吃驚しましたが、考えてみれば当然のことでしょう……」
「どうゆうことなのでしょうか……霹靂神殿」
ケルシュにそしてビュウメスでさえわからないことが霹靂神はわかるのだという、ケルシュは彼の洞察力に関心したがそれと同時になぜこの状況が当然のことなのかわからなかった。
「ここにいる者達は経験はなくとも高ランクですので生体エネルギーを感知するアンデットからしたら眩しい太陽のようなものですからね、それに聖属性を駆使できる生徒の私を含めて多くいます本能的に魂の救済を願う低級アンデットが押し寄せたのでしょう」
「な、なるほど」
確かに言われてみれば納得のいく話ではあった、この集団は他の場所では有り得ないほどの戦力を持ちさらに聖属性を使える者も多数だ、さらには『聖女』なる存在すらいるのだ救済を求めるアンデットが集まるのは道理だったかもしれない。
スケルトン数百体は現在、生徒達のいる場所の少し先の広間に集まっていた
彼らは待つ救済を
彼らは乞う不浄の瘴気纏う魂の浄化を
彼らは知る死しているからこそ崇めるべき存在を
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