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不浄者は凶神になり斜めな成長する  作者: ジャック・レイ・パール
ダンジョン 
25/112

透輝まだ死なない

短ーい

 透輝のブレスレットは外れなかったが思えば王女に貰ったブレスレットは見た目は完全に安っぽいシロモノでしかなく夕食やミーティングの際に「誰にもらったの?」なんて聞く奴はいなかった。


 一人を除いて


「あれ、峯島君そのブレスレットはどうしたのかな?」


 三月麗菜(みつきれいな)、彼女はいつものサイドテールを揺らし透輝の左手をとって腕にあるブレスレットをしげしげと見ている、一通りブレスレットを見ると透輝の顔を覗き見るかのように少し首をかしげる。


「で、そのブレスレットはなんなのかな?」


 なぜだろうか、三月の視線が痛いのだけれど…まるで他の女に手を出したことがバレた(ぼう)誠君のような感じだ。いや、やましいことは何にもないんだ。それに三月さんだったらヨヨムンド王女に貰ったのを話しても……話して…も……いいはず?


「トルク国王に貰ったんだ、俺はこの中で一番弱いからね王族専用の魔道具らしいよ……もらったのはトイレの報酬でね…。」

 

 なぜ噓なぞしてしまったのか透輝にはわからなかった、だがヨヨムンド王女の名前をだしてはならないと魂の奥底から忠告がきたとでもいえばいいだろうか……


「ふーん、王様からねえ。どんな効果があるの?」


 三月は余り信用していない様子だったが、それでは話が進まないと思って透輝に話を進めさせる


「あ、うん…迷子捜索と生存確認だったかな?死ぬかも知れないヤツにはお似合いだと思うね…。」


 その言葉にピクッと三月が反応する、次に透輝を見た三月は怒り抑えるように透輝に尋ねた。


「峯島君、君は死ぬつもりでもあるの?生き残ろうという気概はないのかい!」


 突然の三月の怒気に吃驚した透輝だが、彼からすればそのような意味で言ったのではないので少しいらだった。


「勿論、死ぬつもりなんてないですー!……ただ、真っ先に死にそうなのは俺だし、行方不明とかでも生存が確認できたら捜索してもらえるし、なければ二次被害とかもふせげるでしょう?」


「……私が君を死なせないって言ったら安心する?」


「いや、あんた班違うやんけ…勇者に壁役やらせるとか非効率スギィ!」


「そういうことを言ってるんじゃないんだけど……わかってて言ってる?」


 班が違えば戦闘などでの距離や相手にする魔物も違うので、三月の言っていることは本来であれば透輝を死なせないとは言うがそんな危機があった時動けるかどうかは難しいだろう。透輝としてはなぜ、こんなにも三月が突っかかってくるのかわからなかった。


「……まあ、危ない時は呼んでね『勇者』が助けてあげよう」

 

 最後にそう言って三月はどこか名残惜しそうに透輝の元を去った、そろそろダンジョン突入の最終ミーティングなのだ。


「俺は『忍者』の方がいいなあ守ってくれるなら……」


 その言葉が三月に届かなかったのは…彼女の精神衛生上よかっただろう、ノブキが聞いていればナイトに勝ったなんて騒ぎたてたかもしれない。だが、それを聞いていたのは……




 最終ミーティングといってもどこまで攻略するかではなく、どの時間まで潜り、実戦をつむかの最終確認だ、攻略など考えず実戦を繰り返して戦力をあげるまたスキルを実際に使ってみることが今回のダンジョン遠征の目的だ。参加者は異世界組に随行した騎士団員達だ。


「よし、では事前情報だが俺達が潜るのは『大賢者のダンジョン』と呼ばれているダンジョンで元は大賢者の実験場所だったとか言い伝えがあるが未知数だ。感じとしては洞窟が一番近いらしいが壁がひかっていて光源には苦労をしない、何階とかじゃなく初層、中層、深層って別れ方で目安はダンジョンの壁の色で判別するらしい。もっとも今回は初層を探索しダンジョンでの空気になれるためのものだ初層は低ランクモンスターしかいないが、序盤はアンデットの魔物が多いそうだもっともスケルトン種だけでゾンビとかはいないらしいから安心してくれ」


 勝俣健司の集めた事前情報でアンデットの部分で怯えたような表情を浮かべる者が多かったがスケルトンと聞いて少し安心する、流石にいきなりのゾンビはグロすぎてハードルが高かったのだ、それならまだ骨だけのスケルトンのがマシである。


 そうして、情報のすり合わせや班ごとの配置などを一通り確認し終えたところで勝俣よりダンジョンでの同行人がくることが伝えられた。


「本当のダンジョンってのをオレ達は知らねえ、騎士団員の人もだ。だからダンジョンについて詳しい人に同行してもらうことになった。ケルシュだ」


 

 その時入室してきたのは、金髪緑眼のエルフだった。異世界に来て初の異種族らしい異種族なので皆さん一様に『お~』と声をあげた。ちなみに男


「ご紹介預かりました、ケルシュです…なぜ私はこんなにもまじまじと見つめられているのでしょうか?」


「すまないな、ケルシュ殿彼らはエルフのことを初めてみるようだ。」


 この集団の対外的なリーダーであるビュウメスがケルシュに説明するとケルシュは納得したように頷く。


「なるほど、なるほど、ですが何か申し訳ないですね…私はエルフの純血種ではないですから……」


 そう言うケルシュだが端正な顔立ちに尖った耳姿格好はファンタジーそのままのエルフのそのままだ、それなのに彼は申し訳なさそうに端正な顔を歪める。


「えっと、どういうことなんですか?」


 生徒の一人がケルシュに質問すると彼は簡単に答えた。


「いや、私は『偽純種』でね、母親は人間だったんだよ。だから君たちはエルフが見れたといわれるのがね、なんか騙してるみたいでね」


 『偽純種』は淫夢族インキュバスと他種族との間に産まれた先祖返り達のことなのでケルシュ自身は見た目だけのエルフでもっとちゃんとしたエルフの血統でない偽物に近い自分で異世界人を騙すようで心苦しく感じていた。


 しかし、異世界人達と交流すると彼らは血統などどうでもよくエルフという見た目に満足してくれているという彼らにケルシュはこの時ばかりは『偽純種』であることそして父親であるインキュバスに感謝したのだった。


次回ダンジョン

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