食いしん坊?
迫真7日部のひで実況とかみてるんでひでのことが多少知れました
元々パトラは『大賢者』の実験体だ。そして実験槽で生み出されたパトラは外に出るとすぐに殺されている。
その後アンデット兼スライムとして過ごしていたため今まで摂取してきたのは小動物やあるいは動物の屍肉くらいだ。
それもスライムには味覚などはないので味覚というものを備えたのは透輝に取り込まれ依り代を得た後だ。
しかしながら、その後も食事など不要な身体だったために食事などしてきておらずパトラは初めて調理された料理というものを目にしたのだ。
そんなパトラにシチューをつけてやったパンをパトラの口に運ぶと「カプッ」と透輝の指ごと口に中に頬張る。
無表情ながらもパトラが初めて食べただろう料理に興奮しているのが分かった。
「パトラ~指ごといってるよ~」
カップルだとしてもちょっと過激なスキンシップに透輝はなんだこの溺愛系小説みたいな展開は……と思考がとんだ。
しかし
モゴモゴ、ゴリッ(指が嚙まれる音)バキッ(指骨が割れる音)ブチブチッ(指の肉が裂ける音)
「アッー!?噛んでるッ?噛んでるよ!?」
『おいしい』
「指がかッ俺の指なのか!?それともシチューをつけたパンッ!?」
やっとの思いで指を引き出せばパトラの口と透輝の指に涎の銀糸が架かった。
といってもそこに艶っぽい雰囲気などなく、透輝の指は爪は割れて骨は砕かれ肉の裂けた部分から白く露出していた。
透輝はそんな自分の裂傷に眉を顰めつつ見ていたが、数十秒程で骨は粘土のように繋がり肉は盛り上がり爪は組み合わさって完治する。
肉が裂け骨が砕かれようとも出血はなかった血の一滴すらなかった人間やめたんだなぁと他人事のように思ったが透輝はその視線をパトラに戻す。
パトラは透輝の指をジッと見ていた。
透輝は怪我をした右手を左手で覆うよう隠す。
「まだ食べるつもりか(俺の指を)」
「美味しかったから食べさせて(シチューを)」
戦慄している透輝をよそにコテンと首を傾げてパトラは不思議そうにしている。
「恋人同士はさっきみたいに食べるんでしょ?」
「やだ……猟奇的、この世界のカップル怖い」
あーんするたびに指もっていかれるとか尋常でないヤバさである。
透輝は再生能力があるので何とかなるが一般人には難しいのではないだろうか……?
「いやいやいや、そんなわけねーよな。普通にパトラがなんか間違ってる。パトラ、どこで指くわえて噛むなんて覚えた?」
「?『大賢者』の知識からだよ?男の人に食べさせて貰った時は指まで咥えて噛めばいいって知識にあったし『大賢者』は実際にやってもらってたみたいだし真似した」
間違ってはいない、間違ってはいないが致命的な間違いが生じている。
あと『大賢者』ェそんなことをさせていたのか、ソイツすげぇ変態だぜ?あとそんなことを覚えさせたのはもう許さねえからなあ?
「パトラあのな──」
そこからパトラに互いに食べさせあうのは二人きりの時にということを話したり指を噛むのはやめようねということを教えた。
結局パトラは食事という行為が気に入ったようで自分の分は軽く平らげてしまったので透輝は自分の分をパトラに渡す。
普通こんなことをしたら女性は怒るかもしれないとも思ったがパトラにが太るということは無いはずだし食事をたのしんでいるのでいいだろう。
『パトラ……部屋で溶けたのはなんだったんだ?』
わざわざ透輝が念話でパトラに話しかけたのはパトラが透輝のぶんの食事を食べているからだ。
さすがに食事中のパトラに独り言のように喋り続けているのを見られたら恥ずかしい。
しかしパトラは上品な食べ方なのに食事のスピードは早かった、どうなっているのだろう。
『鐘の音のせい。多分鐘が魔道具で聖者か聖女の遺骨の一部が使われて魔除けの存在になってるからその音を至近距離で浴びて依り代が崩れちゃった。もう対策はしたケド』
『へー』
ちなみにこれは念話でのやりとりなのではたから見たら食事中のパトラを透輝がジッと見つめている構図となる。惚気たカップルにでも見えるんじゃね?
「……聖女ね。憂は今頃大丈夫かなあ、他の奴はどーでもいいけど」
『男の娘』とかいう称号のせいで男のなのに聖女になり女装させられた友人のことを思う、自分は恐らく行方不明扱いだろうが悪戯として王と交渉した結婚式はどうなっているだろうか。
「聖女に知り合いがいるの?」
それまで食事の手を緩めることがなかったパトラがその手を止めて無表情なまま透輝のことを見た。
『この世界に一緒に転移した友人の中に……な。だが、聖女といいつつソイツは男だ』
『──?』
理解ができなかったのだろうパトラはその無表情な顔が呆けたように口を小さく開き不思議そうに首を傾けた。
念話で返事をしたのは転移という言葉を隠し異世界人ということをバレないようにするためだ。
その後は転移前のことを含めてパトラと念話ではあったが話をしたのだった。
給仕「あの二人やばいわーずっと彼女が食べてるの~ジッと見てて~」
この宿での二人の評価が口の軽い給仕によってバカップルに認定された。
結局透輝は食事は一口のみでパトラが二人分をペロリと平らげてしまった。
透輝は欲求としての食欲はなくなってしまったが、これからはパトラのために食事を用意するようにしたほうがいいかもしれない。
となると結構な量をパトラが食べることになるが依り代がスライムの時点で胃袋は底無しだし、太りもしない身体なので問題はないだろう。
この作品って女性で閲覧してる人いるんですかね?
素直に疑問なだけんですが……




