あれ?もしかしてヒモ?
急いで書いたので後々書き換えるかもしれません
「ここが商人ギルドです、向かいの建物は冒険者ギルドとなっております」
「はぇ~、すっごい大きい……」
日本では身の回りにはなかった結構大きめの木造建築を目の前にして透輝も感嘆の声を洩らす。
三階建ての建築物で建てられたばかりなのか真新しい木材には清潔感を感じる。
「それでは自分、まだ仕事が残っておりますので……」
「待ってくださいな」
案内は済んだとばかりに元居た詰め所に帰ろうとした衛兵をパトラが呼び止める。
「ファッ!?一体なんでしょうか?」
不用意なことをすれば自分の首が飛ぶかもしれない二人組とようやく離れられると思っていたところを呼び止められひきつった笑顔で腰を低くする衛兵。
「いえ、この場所は案内して頂きましたが私達はこの街に来たばかりですので今日は休み、明日にでも商人ギルドを訪ねようと思うのです。しかし宿屋が何処にあるかも知らないので私達二人が2000ロリスで一泊できる場所を教えてくださいませんか?」
「それは……確かにそうですね。わかりましたそちらについてもご案内させていただきます」
衛兵がその後案内したのは商人ギルドから数十分程離れた場所だった。
宿場となっている区画で奥まった場所にあるほど階数があるようだったので奥が最上級でそこから遠のくほど宿のグレードが落ちるのだろう。
「ここが私が勧める宿……ですかね。ちょっと待っていてください店主と話してきます」
衛兵が入ったその宿屋は宿場の入口からも奥からも丁度中間にあるような場所にあった。
宿として外観だけでみてもちょうど中間の普通よりもちょっと上かなといった感じだろう。
「お待たせしました。店主と話して一日だけですが一人1000ロリスで泊めてくれることになりました」
「それは……ありがたいな。交渉とかも任せてしまって、ありがとうございました」
透輝がペコリと頭を下げると衛兵はポカンとおかしなものを見るかのように動きを止めた。
彼の中では透輝とパトラの二人は他国の特権階級であると思っている。
そんな二人がわざわざ自分に礼を言って頭を下げるということが信じられなかったのだ。
「い、いえ職務のうちですので自分はこれで失礼しますッ」
精神的に何度も揺さぶられるし、紹介した宿屋にも仕込みが入っている、そのことを考えると焦燥感と罪悪感が衛兵の両肩にあった。
急ぎ足で詰め所に戻っていく衛兵を見送りながら透輝はその背にある宿屋に視線を向ける。
「都合が良かったな一泊だけだけど2000ロリスで泊まれるんだから」
透輝とパトラは金銭などびた一文も持っていなかった。
そのため、この街に来た際に三人組に絡まれ賠償金を巻き上げたのはある意味では幸運だったかもしれない。
宿に入ると店主と思わしき筋肉質の男が立っていた。
ちなみにケモミミはロップイヤーのような耳だった、その筋肉と相まってアンバランスである。
「君たちがあいつが言っていた人間とエルフかな?」
「そうだと思う、二人で一泊だけなら2000ロリスでいいって話だったけど?」
店主の声はその風貌からは想像もできないほどの優し気表情と口調だった。
ウサギなのが関係しているのだろうか?
「ああ、それじゃあ君たちだね。とりあえず料金は先払いだよ、夕食は今から二回後の時からだから忘れないでくれ」
透輝が料金(全財産)を払うと店主は鍵を透輝に手渡した。
番号018
その部屋にはベットが一つしかなかった。
まあ別に透輝に不都合があるわけではないのだが気恥ずかしかったというかなんというか。
「それでさパトラ、なんで装飾品なんて売るとか?持ってないやんそないなもん」
『あるよ?』
「うせやろ」
『いえ、本当です』
するとパトラは手を胸に突っ込み手を引き出すとネックレスに指輪などの装飾品がジャラジャラと姿をあらわした。
「え、え、なんなんコレ?何処にあったの」
『まだあるよ?』
そうしてパトラがまた胸に手を突っ込むと貴金属の装飾品がジャラジャラと、なんだこれは…たまげたなあ。
「えっと本当になにコレ?どこでこんなの集めてきたの全然知らなかったんだけど」
『えっとねトウキが爆発した町とか廃村にあった高そうなものをね』
パトラがこうした装飾品を集めたのは透輝が爆散したことが記憶に残っている瘴気溢れる町や立ち寄った廃村などからだ。
透輝が知らぬのも無理はなかった。
パトラがそうした高く売れそうなものを集めていたのは透輝が爆散した時やお死ぼり(意味深)をされて仮死状態になっていたときだったからだ。
パトラはそうした暇になった時間を装飾品などのものを集めるのに使っていたのだろう。
「あ~、なるほどな苦労かけたパトラ」
『うん、こうしたものを売れば金策には足りるでしょ?』
元々の所有者などとっくの昔に死んでいるだろうし、売り払ってしまうことも問題はないだろう。
瘴気溢れる場所の物だとしても透輝は瘴気を吸収できるのでバレることもない。
「確かにこれほどの量を売れば結構な金額になりそうだよね?」
『えへへそうでしょ?』
透輝は無一文の状態からこうした装飾品を売却することで旅の資金を調達することができるなと安心した。
しかし透輝は気がついているだろうか、この装飾品を集めたのはパトラで透輝は一切何もしていない、つまり現状パトラのヒモになるということを。




