君の名は(事情聴取)
全く関係ない調味料コーナー
だしの素やコンソメが湿気る、そんなことに悩まされていませんか?
そうなる前に冷凍庫に入れるといつまでもサラサラで保管できますヨ
「はい、それじゃあ名前、年齢に種族名を言うか身分証明などができるものがあれば提示してくれ」
ネコミミ衛兵のおにいさん(おじさんって呼んだら「おにいさんダロォ?」ってすごんだ)が渋い顔をしながら透輝とパトラのことを尋ねる。
「身分証明ってステータスカードでいいのか?」
透輝がこの世界で身分証明をできるものは異世界に来てすぐに触ったヘンテコ魔道具から作成されたステータスカードしかない。
「ステータスカードだと?」
「ほら、これ」
訝しげにした衛兵に向かってポケットからステータスカードを取り出して衛兵のおにいさんに提示する。
それを見た衛兵の目が細められたが、どこも後ろめたくない透輝にはその視線は不快だった。
噓だ、凶神とばれないか内心はドキドキ☆
「本物か?」
「偽物なんてどうやって手に入れるのかも知らないね、少なくともそれは本物だよ」
透輝が大仰に肩をすくませながら答えれば噓をついていると判断できなかったのだろう。
衛兵は少し考えこんだ後パトラにその視線を向けた。
「彼女もステータスカードを?」
「いや、持っていない。いろいろと大変だったもんで……」
透輝が誤魔化すように告げると衛兵はネコミミをピコピコ動かしながらパトラのことを見つめ「なるほど、エルフだしな」と勝手に納得してくれたようだった。
パトラがエルフだということで何故、納得されたのかは疑問に思ったが目立ちたくもないため衛兵にきくことはできない。
「すまないが、これが本物か確認するために預けて貰っていいだろうか?短時間で確認は済むし本物と確認できれ1ば多少の便宜もはかることができる……どうだろう?」
チラリと隣に座るパトラに視線を移せばパトラはコクリと頷く。
「しかたがないか、わかった……盗らないでくれよ?やったら地の底まで追いかけて爆撃するからな?」
「フフッ、それは怖い冗談だな」
衛兵にステータスカードを手渡す際に透輝は忠告をしたが衛兵は冗談だと思ったのか含み笑いをされただけだった。
無論、透輝にとっては冗談などではなく本気だったが気が付かなかったほうが衛兵のためだったかもしれない。
「ありがとう、それじゃあ部屋でこのまま待っていてくれ。長く待たせないことは約束するよ」
衛兵が部屋から出ていき足音が遠のくと透輝は大きく息を漏らした。
透輝は実力でいえば今いる町を何度も破滅させてもおつりがくるほどのエネルギーを保持しているが、それに見合った精神的な成長をしているわけではなかった。
先程のやり取りでも一生懸命に虚勢を張り、パトラの目の前で無様な姿をさらすまいとしていたのだ。
正直言ってこうなるくらいならパトラが町に入ろうとする前に言っていた通り町を吹き飛ばした方が早かったかもしれないと考えたくらいだ。
『おつかれさま?』
「ん、ありがとう」
ここまでの流れは透輝にとっては大きなストレスだった。
あの因縁をつけてきた三人組をう〇こたれにした後、騒ぎを聞きつけた衛兵によって詰所へと連行され、一応の事情聴取をうけていたのだ。
例えるならば、高校生が家出中に事件に巻き込まれて警察を呼ばれ、任意であるとはいえ事情聴取されているといった感じにすると透輝の苦労が分かりやすいだろうか。
もっとも、この世界では透輝くらいの年齢も一端の大人とみなされ高校生だった時よりも大人として扱われるわけだが。
『……トウキ』
「どうかした──ッ」
パトラは透輝に抱きつきそのまま両手を後ろに回した。
その突然の行動に透輝は思わず固まる、胸の中で上目づかいをしながら頬擦りをするパトラになにもすることができない。
『今なら誰のいないし……我慢しなくて、いいよね?』
「ぱ、ぱとらさん?」
透輝はその言葉と表情にに惚けてしまう。
パトラは自問自答するかのようにした後、透輝の後ろに回していた両手で透輝の臀部を思いっ切り掴んだ!
「うあーやめろパトラ!?どこ触ってんでぃ!?」
『ムニュムニュ~』(もみもみ)
「くすぐったいっ!」
二人にとって幸いだったのは、今いるその部屋が防音されていたことだろう。
さもなければ、いちゃつき?まあ、騒ぎをききつけたことで衛兵の誰かが入ってくるということがあったかもしれないからだ。
一方でその頃──
「ステータスカードだと?本物だとしたら厄介ごとどころではないぞ、虚偽ではないのか?」
「しかし隊長、このステータスカード所持者の同行者を見ていないのですか?」
透輝のステータスカードをを預かった衛兵は上司の衛兵隊長に呼び止められていた。
「いや、俺は女には興味ないからな……えっと、確かエルフで何か変わったとこあったか?」
「髪もその瞳の色もッ普通のエルフと違ったでしょ~が!」
猫耳の毛を逆立ちさせながら怒鳴ると衛兵隊長は「すまんすまん」と苦笑交じりに謝る。
それに嘆息するも目も前の人物は少なくとも自分達の上司なのだ。
「そんなに騒ぐな……あ~言いたいことは分かった。普通とは違うエルフにステータスカードを持った奴な、この時点で確かに厄介ごとだなあ」
「ええ、他国の王族の可能性すら……いえエルフの方は確実に──」




