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不浄者は凶神になり斜めな成長する  作者: ジャック・レイ・パール
無名
101/112

うまくイかない

 透輝が自身のスキルから目をつけたのは『特殊神聖魔法』だ。ステータスカード上では明らかに邪神っぽい名前の『小凶神』として記載されているにも関わらず特殊とはついているものの神聖魔法だったことから何かしらあるのではないかと思ったら当たりだったワケだ。


 『特殊神聖魔法』に含まれていたスキルには眷属化や庇護、そしてカンペ機能などがあったが透輝が求めていた<飛行>を可能とするスキルがあった。


「おっ、飛んでんじゃ~ん」


 スキルを発動させることを意識してみると透輝の体が浮かびだした。無重力状態となった環境にバランスを崩して上下逆さまになったりしつつも地面よりも上に位置することができていた。


「楽しいゾ~コレ」

『重力を操作してるのかな、魔法で飛んでるって感じではないみたいだし』


 パトラは腕を組んで浮かんでいる透輝のことを興味深そうにしていた。彼女に植え付けられている知識の中の飛行手段と異なっていたことが不思議だったようだ。そんな彼女を放って透輝は自分の限界高度を探ろうとしていたのだが。


「どのくらいまで上がれるかな~……あっ」


 空中から見てパトラの大きさが縮んで見えるまでの高度になるとピタリと動きを止めてしまった。そんな透輝にパトラはどうしたのだろうかと疑問に思ったが透輝がカタカタと体を震わせていることに気が付いた。


「ぬわあああああん嫌だもおおおおおおおん!」

『!?』


 大声を出した後にすぐに地上に降りてきて透輝は股間部を抑える。何がどうしたのかわからないパトラは駆け寄って心配そうにしていた。


『何かあったの?』

「駄目だ、パトラぁ俺は飛べないよぅ……」


 情けなくうずくまる透輝に益々と困惑するパトラはどうすればいいのか分からず固まる。


「高いし、これで高速移動なぞしようものなら平行紐無しバンジージャンプだぜ!ナウい息子♂(検閲対策)がヒュンしてまともに意識保てない!漫画とか小説とかでビュンビュン飛んでる奴ら絶対にナウい息子♂(検閲対策)がついてないんだ!だからこそあんなにもタマヒュンを気にせずに飛べるんだよォォォオオおおおおォォオオ!!!」


 四つん這いになった透輝はイラつきからか拳を大地にぶつけるとボコンと地面がえぐれて逆に土埃が顔面にシュートされ「ブフォ」と声を出した。


『男の人って大変だね……飛行時には取り外したら?』

「嫌だよ!空を飛ぶ度に『空飛ぶからチ〇コ外さなきゃ(ゴソゴソ)よーし、お空飛んじゃうゾ~☆』なんてそんな男がいてたまるか!大体、一回外したら終わりだから、息子♂サンお陀仏だからねッ!?」

『新生使えば生やせると思うケド?』


 確かに<新生>を使って繭となれば欠損も再生することができる。まあ、だからといってそれをするかどうかと言われればまずしたくないというのは男性諸君ならわかって頂けるだろう。女性の場合?知らんな何に例えればいいか分らんセクハラになりそうだし。


「いや、本当に無理です。取り外して再生するたびにnew息子♂サン、コンニチハしたくないんです」

『じゃあ、自力で飛ぶことは諦めるしかないね』


 仕方がないなあと苦笑するパトラに気恥ずかしくなった透輝は視線を外して表情を見せないようにした。もっとも完全に隠せるものでもなかったが。


「……確かに今回は断念するが諦めたワケじゃあないぞ、訓練でもすれば」

『取り外しできるようになって簡単に飛べるようにした方が早いと思うけどなあ』


 透輝がわざわざ念押ししてまでパトラにそれは絶対にやらないと言ったのは言うまでもなかった。


「結局のところ飛行手段は<魔蟲創造>で造るしかないかあ、でもどんなのがいいかねえ」

『飛行特化か、ある程度の汎用性を持っているか、かな?』

「汎用性か、地上を素早く移動できて空を飛ぶことができる。あえていうなら隠密ができるように暗い保護色の……」


 もしかして    ゴキブ……


「飛行特化だなッそれしか選択肢はないセツもいるし地上のことなんて考えるまでもナカッタナー」

『そうだね、セツは案外嫉妬しちゃう』


 クスリと笑うパトラに平時であれば見とれていただろうが黒光りするあん畜生、もしくは黒い彗星を騎蟲に選ぶ選択肢に加えてしまったことを忘れたかった為に見ていなかった。おぞましい考えを振る払う為に頭を悩ませ一体どんな蟲ならばなるべく快適に空の旅(紐ナシ)を過ごせるものとなるか選択肢をかんがえていた。


「飛行特化というと(チョウ)蜻蛉(トンボ)とか天道虫(テントウムシ)とかもあったな……蠅は無しだな、うん」


 透輝が考えた結論はトンボだった。<魔蟲創造>で透輝の3倍はある蜻蛉型の魔蟲を創り上げるとその魔蟲に脚で挟まれながら目的地へと飛行をはじめたのだった。



「ちょっと待って肉を挟んでる、痛い痛い、地味に痛いっ!」








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