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不浄者は凶神になり斜めな成長する  作者: ジャック・レイ・パール
無名
100/112

自分、空いいすっか?

祝100話、でもいつか統合するから100話ではなくなる。多分

 その後、セツを取り込んだ透輝だったが自身で移動手段を潰してしまったことに気付き再度セツを呼び出そうとしたのだが応答がなく自分の行動の考えなさに自嘲気味に笑った。


「いや、違うな人間に遭うかもしれなかったしセツに乗って行かなくてむしろ良かったんだきっとそう」


 透輝はまるで自分に言い聞かせるようにブツブツと呟いていた、そうしないと暫く落ち込んでしまいそうだった。


『セツは目立ったかもしれないね』

「だろう!でも、なんで出てきてくれないのかは気になるところではあるな。」


 パトラが気を使ってかセツでの移動手段の悪い点を述べた、それに透輝は便乗するがセツに乗っての移動手段がなくなると自然と自身の脚での移動となってしまう、透輝はもっと楽がしたかった。


「歩くしかないのか……マジかよ、いやでもぉ」


 「むー」と唸りながら頭をひねっている透輝にパトラは面白そうにニコニコとした表情をみせていた。見られていることに気が付いた透輝は「……あ、歩くか?」と気恥ずかしそうにしていた。


『私はトウキが決めたことに文句なんてないけど……歩くのが嫌なの?』

「嫌っていうか、疲れるしもっと速い方法があればそれがいいって思ってるんだけど」


 ちなみに透輝は『凶神化』していなくとも体力は常人のそれを遥かに超え疲れることなどはない透輝が言っているのは気疲れのことだ。それになるべく早く瘴気を吸収したいという考えもある。


『でも、仕方ないよね。他の移動手段とか……空でも飛ぶ?』

「!?」


 ハッとする思いだった。ステータスカード上ではあるが『小凶神』となっている透輝だ、もしかしたら空でも飛べるかもしれない。


「試してみる価値はあるかもな、ずっと地上戦の神様とかやだし……まあ本当に神様になったわけでもないだろうけど」

『<粘魔生成>と<魔蟲創造>で蟲でも造った方が早いかもよ?』

「むっ」


 確かにそうかもしれない透輝には飛ぶためにどうすればいいのか分からなかったが、<魔蟲創造>の蟲は本能に従い飛ぶことのできる蟲はすぐにでも飛ぶことができるだろう。


「パトラ……それじゃあ駄目なんだよ。ロマンが足りない」

『ロマン?』


 どこぞの風の谷にでてくる巨大蟲の上に乗って移動するのとその身一つで空を飛ぶのではカッコよさが違うものだし、目立つのは間違いない。

まあ、巨大な昆虫に乗って空の旅というのも男の子のロマンかもしれないが。


「あ~例えるならだ、パトラが人質になったとしよう。その時に俺が助け出すときに傷だらけになりながらも必死に助け出そうとするのと敵の奴らを不浄魔法<ブッチッパ>で足腰たたなくならないくらいに甚振った後に笑顔で助け出すならどっちがいい?」


 実のところ透輝もできるだけもっとマシな選択肢を用意したかった。が悲しいかな彼の頭で浮かんできたのはむしろよくそんな例えができたなというしかないものだった。


『助けてくれるの?その前に人質になって攫われてる場所ごと跡形もなく破壊したり瘴気で皆殺しにした後に助けてくれればもっと簡単でしょ?なんでそんな手間のかかる方法を考えたの?』


 パトラの中では人質になったとして透輝が助け出してくれるというのが想定されていないらしく不思議そうな顔でなんでわざわざ難易度の高い方法をとるのかと透輝のことを伺うように顔を覗き込んでいた。


「……うん、ごめん。俺はそんな酷いやり方でパトラを助け出すと思ってるのか?方法がゲス過ぎる」

『でも、それが一番効率的だよね?それにトウキなら迷いなくやるよ?』

「いやいや、そんな酷いこと僕に」

『やるよ?』

「それは……」

『やる』

「やりますねぇ!」


 否定するごとに圧を感じさせるパトラの笑顔に透輝は屈した。だって怖いもん怒ってるもん誤ればいいならそうする。怒った女房に謝らない旦那はいるだろうか、いない(反語)それに透輝としても「瘴気ならパトラも悪影響ないから毒ガス兵器代わりに投入するか~」と確かにやりかねない。


 もっとも現段階で透輝はパトラに頭が上がらなくなりつつあるというのは本人も気が付きつつもそれで二人の関係がうまくいくのならばそれでもいいかと諦観の思いだった。


『それで空を飛ぶんだっけ?背中に蟲の羽でも造るの?』

「それはセ〇ですかね、飛ぶのに使ってない……それはいい、ほら色々とスキルあるからその中になんか使えるのないかなって」


 まるでゴミ箱の中からなんか使えそうなの無いカナといった調子であっさりと語る透輝だったが、もしスキルに自我というものがあれば涙を流し「僕たちはそんな都合のいい存在じゃありません!」とでもいったことだろう。


「空を飛ぶようなスキル~スキルは~っと、あったわ」


 流石、主人公流れるようなご都合主義に魚がエラ呼吸ができなくなるくらいの頭の悪さをかんじる。











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