表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

みそぎの橋

 清流にかかる橋のたもとには、大小幾つもの舟が繋がれ、ラクダやラバをひいた、様々な装束の旅人が行き交っている。

 食料や旅の品を商う露店が立ち、人々の往来で賑わうこちらの岸に比べて、橋の向こう側はしんとしずまり返っていた。

 

 テプイはと言えば、『みそぎの橋』と大きく彫られたプレートの上から、ふんぞり返って見下ろしている。

 「‥‥テプイー、こんな厳しいみそぎって、ありィ?」

 クワィアの甘ったるいブーイングなどお構いなしに、彼は、威厳たっぷりに唱え始めた。


 『約束ノ地ハ、トコハルノ国。 

  ナンビトモ、荷ヲ開ケテハナラナイ!

  ナンビトモ、荷ヲ傷ツケテハナラナイ!

  橋ヨリ先ハ、人外ノ地。

  契約ハ、命ヲ以テモ、コレヲ果タスベ   シ!』


 『‥‥エーッ、キイテナイヨー!!!』

 悲鳴にも似た声で、この旅で初めて、四人はハモった。


──ああ、姉さんがいつも言ってたのに‥‥。

 『契約書にサインする時は、よーく考えて、考えて、考えて‥‥最後に三分間待つんだよ』って‥‥。


 『‥‥ドウシヨウ!?』

 皆が、頭を抱え込む。

 「‥‥巻き物は、谷に飛んで行っちゃったし‥‥」 とクワィアが言うと、

 「‥‥一旦契約完了ののちは‥‥‥‥」

 クエストは、途中で言葉を呑み込んだ。

 

 伝令は、何の感情移入もなしに、橋の向こう側へ飛んで行った。


 「‥‥で、荷物はいったい、どこなんだ?」

 考えるよりも先に走り始めていたカラハンの能天気さが、この時、少しは救いだったかもしれない。

 テプイを追って走り出した時、四人は既に、橋上に足を踏み入れていた。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ