イントロダクション(序章)
孤児院での生活は、悪いものではなかった、仮の父母であるシスターや坊さんも怒る時は怖くとも普段は優しい人だった。何故かやたらと剣術や護身方を学ばされた記憶があるが…
お互いに違う境遇とはいえ同居する仲間たちも気が荒いやつとかはいたものの中身は意外と(?)いい奴だったりする。
ソルはこれを書きながら思い出にひたっていた。ある意味一番の安息の時代だった。
ここでの生活に慣れてから数日後、友人が妙な場所があるから探検に行こうと持ちだした。このころには毎日の授業と言う名の特訓によって孤児院のなかでも1位、2位を争うまでになっていた。
俺はその提案に乗りその場所にいくことに決めた。
このことに気ずかなかったら今とは違う結末になっていたのかもしれない。ただどっちが正解だったかは今だに答えが出せていない。
実際にその場所を見ると明らかに壁の造りが違っていた、新しく壁を無理やりくっつけたように見えた。
俺たちは周りを確認し壁の崩れそうでいて目立たないところを狙って人一人がやっと入れるような穴を作った。
孤児院の中にはたくさん植物が植えられていたがその周りは特に酷かった。
植林地帯を抜けるまでに2、3人が撤退した。何しろこの枝の量だ少し動くだけで邪魔だった、後の原因は毛虫だった…らしい
進んでいるときは全く分からなかったが、後から知って身震いした。
なにわともあれ少し進むと人の気配を感じたが、突然叫び声、呻き声にも近い声が聞こえてきた。
俺たちは正直怖かった、あんなに優しかったシスターと坊さんに疑心暗鬼になりそうなくらい、それだけその叫び声には悲痛な痛みが感じられた。
少しすると声は静んで行ったが俺たちの1人が泣き出してしまった。
その声を聞いたのか看護師の姿をしたシスターが驚きながら近づいてきた。
俺たちは思わず身を引きながらも逃げ出すことができなかった。