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僕の彼女が天然すぎて

作者: 多岐濟

主人公の名前は佐々木礼人ササキ アヤト、ヒロインは白岡明花シラオカ サヤカと読みます。


僕の彼女を一言で言えば天然だ。


申し遅れたが、僕の名前は佐々木礼人。ごく普通の家庭に生まれた一般人だ。

成績も中の上くらい、通っている学校も取り立てて言えるものはないがまぁ普通?みたいな。見た目も普通を逸脱しない『平均点』。

強いていえば家族の仲が良すぎるくらいか?『佐々木さんのお宅はいつも皆さん仲良しねぇ〜』なんて近所のおば様達の会話はそれこそ耳にタコが出来るくらいずっと聞いてきた。


…おっと、話が逸れたな。

僕には彼女がいる。彼女の名前は白岡明花。

平凡な僕には到底不釣り合いだろうという絵に描いたような美少女だ。

お嬢様学校と呼ばれる一流高校に通う彼女は正しく『サラブレッド』。

某企業直系の末姫、皆に愛されるために産まれただろうという人形顔負けの表情の彼女。誰に聞いても『彼女は本当に良い子だよね、可愛いし頭良いし非の打ち所がないっていうか!』と高嶺の花――少なくとも一般人たる僕からしたら自分のフィールド外の存在、アイドルと一緒、のはずだ。

そんな『お姫さま』は、純粋を絵にかいたお嬢様だった。



その高嶺の花と、どうしてこうなったんだろう?




************



「礼人くん」

彼女が花のように笑って手を振る。その笑顔を見た周りの連中がこぞって見つめていた――面白くない。

「今日はごめんね、一緒に買い物に付き合ってもらって」

そう言いながらはにかむ顔がすっごく可愛いし。

「そんなことないよ、明花と一緒に出掛けるの楽しいし」

これは本当だ。明花はうちのクラスの女子と比べても大人しいくらいだし、一緒に見て回っても一般高校生男子が入るに躊躇しないレベルの店に入ることが多い(例えばゴテゴテの雑貨屋や華やかな女性服売り場なんて正直入る以前、問題外だ)

「ふふっ、礼人くん優しいなぁ」

いや、嘘じゃないし。そんな風に可愛く微笑まれれば、一般男子高校生の僕は一発でKOされるぞ。


「だから正直びっくりしたんだよ、礼人くんがOKしてくれた事」


ええ、僕も充分ビックリでしたよ。貴女から突然告白された時は。僕は君の微笑みにKOされたと言っても過言じゃないです。

でも勿論それだけじゃない。断じてそれだけじゃない。


「私みんなよりちょっとのんびりしているし…」

「あくせくして失敗するよりいいじゃないか」

少しおっとりしているかもしれないが別に周りに迷惑をかけるほどてもない。

それも個性だろ?

それにそこがいい!!という密かなファンがいるんだぞ?…あ、いかん。そいつらに無駄に嫉妬しそうだ。



「女子高だから男の人とあまり話したことないし…」

「それはたまたまそういう環境だっただけだろ?明花のお母さんもお祖母さんもその学校出身で、皆がどうしてもって言ったんだろう?」

それに彼女の小姑(兄や父親や祖父)が彼女に気づかれないように色々、そう色々手を回しているんだ。

周りの奴らには結構有名な話だ。知らぬは本人ばかり。

…ああ、そういえば時々その小姑様方は僕の前にも来るなぁ。失礼にならない程度に相手しているけれど。



「礼人くんモテそうだし…」

「いや、それはないよ明花」

自慢にならないが僕は今まで告白されたことなんか一度もない。因みに明花は告白をされているハズだが、本人の天然スルーと周りの涙ぐましい努力で告白されたと思っていないんだ。

それを知ったのも明花と付き合いだしてからだけど。



そんなやり取りをしていると、あれ?


「さーやか?」

どうして泣きそうな顔になっているのさ。もしかして、また何か変な事でも考えちゃったの?

「…礼人くん…」

すん、と鼻を啜る音がした。

「…ねぇ、明花。僕はそんなに心配しちゃうほど明花を不安にしている?」

尋ねるとはっとしたように目を見開いて首をぶんぶん振る。

「学校も違うしなかなか会う時間がないから不安になるのもわかるよ。だから、不安なら、言って?僕も明花と一緒にいたいと思ったから付き合っているんだよ?」

「…うん」

出来るだけゆっくり言うと彼女はゆっくりと笑った。

「あーあ、ちょっと目が赤くなっちゃったな」

「だ、大丈夫だよ」

顔を覗き込むと明花はあわてて顔を伏せた。そんなにあわてなくてもいいのに。

くすくす笑うと明花も最初は少し拗ねて見せたが、次いで小さく笑い出す。


「礼人くんには敵わないなぁ」

「僕は明花には敵わないよ?」


お互いにしばらく笑うと、自然と手が繋がった。


「さぁ、明花。学生の僕らには時間が限られているからそろそろ行こうか」

「うん、あのね、ちょっと遠いんだけれど行きたいところがあるんだ、いいかな?」

「良いに決まってるだろ?どこ?」

「うん、あのね…」



彼女の周りはなかなか騒がしいかもしれないけれど、そんな彼女の側は僕にとって案外居心地がいいんだ。

彼女は天然で純粋で周りの人間から大事にされているのを知っているから、僕は彼女の側にいられるように精一杯の時間を作って彼女といたいと思うんだ。


というより、今はそれしか出来ないんだけどね。




************



「結局さぁ、礼兄ちゃんって自分が思っているより平凡じゃないんだよねぇ」

煎餅にお茶はをつつきながらって、妹よ。お前は昼ドラを視る主婦か!!と突っ込みたかったが何とか堪えた。妹は変わらずに煎餅を突付く。

「たまたま明花ちゃんがお嬢様って立場だから目立たないけれど、明花ちゃんのことビックリするくらい大事にするし、『小姑』さんたちに平然と渡り合っちゃうし。孝兄ちゃんじゃ無理無理」

「お前にそこまで言われる筋合いは全くないと思うが、まぁ確かに俺は無理だ」

大体あの弟はのほほんとしているが振れないのだ、真ん中の芯の部分が。普通人間なのだから感情が動いて当たり前だろうに、高校生のくせに動じないとは、それは達観しすぎだろう。

「あーあ、明花ちゃんは間違いなくお買い得物件をゲットしたよねー。知らないのは礼兄ちゃんだけ、ってか」

妹よ、実の兄に対してその言い種はどうかと思うぞ…お買い得物件って…

まぁ多分弟とその彼女はこれからもこのままお互い天然にラブラブなんだろうなぁ。


周りには迷惑なことこの上ない。



*************



「礼人くん、だいすき…」

座席の隣では無防備な寝顔の彼女。流石に普段の倍以上動き回って疲れたのだろう。電車の適度な揺れは睡眠を促すよね、うん。

でも、僕も一応普通に男子高校生(しつこいとか言うな)

大事な彼女が安心しきっている姿に嬉しいけれどえもいえぬ疲労も襲ってきた。


僕の方にもたれ掛かっている幸せそうな彼女は――やっぱり周りの人間が守りたがるように、その純粋さが眩くて、その心を守りたかった。

どこまでもその天然な心には敵わないと思った。




ただ甘い文章が書きたかったんです!!機会があったらヒロイン視点を書きたいですね、どんな考えか全然違うので(笑)(*^O^*)


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