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第21話 スライムと星見パーティー

     1



「冬の夜は空気が澄んでて、星が綺麗なんだよな」


 オレがぽつりとつぶやいたひと言。

 それを引き金として、星見パーティーが開かれる運びとなった。

 もちろん、発案者はぽよ美だ。


「おお~! だったら、見ないと! そんで、飲まないと!」

「後半が主な目的だろ?」

「にへへ、バレたか!」


 バレるもなにも、ビール片手に言われたら、そうとしか考えられない。


「だったら、みみみちゃんも誘うといいんじゃない?」

「あっ、いいね~! 早速、誘いに行こう~!」


 そして冷華さんが追加提案し、ぽよ美が嬉々として話に乗っかる。

 あ~、また今回も、みみみちゃんが巻き込まれてしまうのか。

 オレの不用意な発言によって迷惑をかけることになるが、そこはそれ、当然の流れだと思って諦めてもらうとしよう。


 なお、冷華さんは今日もうちに居座っている。

 低橋さんがバイトでいない日は、たいてい来ているのではないだろうか。

 オレが休みで家にいてもお構いなし。ぽよ美とふたりで酒盛りするのが常だ。

 ま、今さら文句を言うつもりもないが。


「ほら、ダーリンも一緒に、呼びに行くよ~!」


 ほろ酔いのぽよ美が、べちょっとオレの腕を引っ張る。


 アパートの廊下に出るだけであっても、ぽよ美はいつものスライム形態から人間の姿へと変わる。

 最近、人間の姿に変身する機会が少なくなっていたためか、こうやって改めて見てみると、やっぱりすごく可愛くて、正直惚れ直すくらいだった。

 人間の姿になっても、ぽよ美の手のひらは(というか全身だが)、汗(というか粘液だが)でびっちょびちょなのだが。


「ふふっ、私が見ている前でも、ふたりはラブラブなのね。うらやましいわ」

「えへへっ、だって仲よしだもん♪ ね~? ダーリン!」

「ま、まぁな」


 いくら相手が冷華さんだとはいっても、ここまでベタベタしている姿を見られるのは、少々恥ずかしい気もする。

 と、そんな心配より、むしろ別の心配をすべきだったようだ。


「というか、恨めしい……」


 今にも吹雪が吐き出されるほどの勢い。

 冷華さんが雪女化してしまう!

 などと口に出そうものなら、火に油……いや、水に液体窒素を注ぐようなものだから、さすがに言わないが。

 レイスは雪女じゃない! と叫びながら、周囲のすべてのものを凍らせ尽くす行動に出る人だしな。


「冷華さん! そんな場合じゃないですって! とにかく今は、みみみちゃんを誘いに行きましょう!」

「ふむ……。そうね」


 どうにか雪女化からは免れることができたか。

 と、安心したオレは甘かった。


「泉夢さんはあとで凍らせるの確定だけど」


 冷華さんのその言葉だけで、オレの背筋は雪祭りの雪像のようにカチンカチンに凍らされてしまうのだった。



     2



 さて、みみみちゃんは無事に誘うことができた。

 まぁ、強制連行状態ではあったが、そこはそれ、当然の流れだと思って諦めてもらった。


 夜には低橋さんもバイトから帰ってくるはずだし、いつものメンバーで宴会騒ぎになるわけか。

 オレとしてはそう思っていたのだが。

 ぽよ美がふと、こんなことを言い出した。


「そういえば、ここのお隣の202号室って、どんな人が住んでるのかな? その隣の201号室も……」


 同じアパートの同じ階に住んでいるのだから、顔を合わせたことくらいあるのではないだろうか。

 と、よくよく思い返してみても、201号室と202号室の住人には、オレも会った記憶がなかった。

 とはいえ、誰か住んでいるのは確かだ。表札は出ていないものの、電気が点いているのを会社帰りに見ているし。


「お隣さんは、引きこもりなのよ!」


 みみみちゃんが教えてくれた。

 そう言うみみみちゃん自身も、かなりの引きこもりだと思うのだが。


「ウチなんかじゃ太刀打ちできない、引きこもりの中の引きこもり、キングオブ引きこもりよ!」


 ……凄まじすぎる住人だ。


「あっ、女性だからクイーンオブ引きこもりね!」

「女性なのか」

「女性の独り暮らしよ!」

「なるほど」


 それだと、いろいろと大変なのかもしれないな。

 といったことを考えていただけだったのだが。


「あ~~~っ! ダーリン、女性の独り暮らしだからって、なにか変なこと考えてない~?」

「は? いや、そんなことないって」

「ほんとにほんと~?」

「ほんとだ!」


 まったく、ぽよ美はなにを言い出すんだか。

 ただ、そう言われてみれば、ちょっと興味が湧いてこないわけでもない。

 実際には、みみみちゃんも女性の独り暮らしではあるのだが、見た目が小学校低学年くらいだしな……。


 しかし、引きこもりとはいえ、独り暮らしの女性か。

 いったいどんな人なのか、一度会ってみたい気はする。

 ……美人なのかな。


「ちょっとダーリン! 鼻の下が伸びてる! なに想像してるのよ、いやらしい!」

「い……いや、べつにオレは……!」


 しまった。ぽよ美の前で他の女性のことを考えるなんて。

 そんなの、自殺行為でしかなかった。溶かされかねない。


「でもお隣さん、恋人がいるよ?」


 みみみちゃんが補足する。


「そうなのか」

「ダーリン、残念そうな顔しないでよ!」

「べつにそんな顔してないっての!」


 それにしても、恋人がいるのに引きこもりって、会いに行ったりはしないのだろうか?

 そんな疑問を浮かべたのは、オレだけではなかったようだ。


「恋人がいるなら、毎日出かけて朝帰りが常識なのではないの?」


 ……冷華さんの常識は、若干行きすぎな気もするが。

 それはともかく、みみみちゃんはその質問にも素直に答えてくれた。


「なにせお隣さんの恋人は、さらに隣の201号室の人だから!」

「アパートのお隣さんが恋人なのか」


 だとすると、毎日お互いの部屋に行ったり来たり、といった感じなのかな。

 と考えたのだが、それは間違っていたらしい。


「ま、行ってみればわかるよ!」


 みみみちゃんの言葉に従って、オレたちは202号室へと向かった。



     3



 202号室の前まで来た途端、ぽよ美が躊躇なくドアノブを回した。

 だが、鍵がかかっていて開かない。

 女性の独り暮らしということで、しっかり鍵をかける習慣となっているのだろう。


 チャイムを鳴らしてみたが、出てくる様子はない。

 それでも、微かな足音らしきものは聞こえたような気がする。

 おそらく玄関まで来て、ドアののぞき穴から外を確認したに違いない。


 みみみちゃんとは面識があるのかもしれないが、他にもオレたち3人の姿があった。

 それを確認し、出ないほうがいい、と判断したのだと考えられる。


 まぁ、賢明な判断だとは思うが。

 居留守を使うだけでは甘かったと言わざるを得ない。


「じゃ、あたしが入るね!」


 言うが早いか、ぽよ美は一瞬にしてスライム形態に変身、ドアについている郵便受けから中に入っていく。

 不法侵入になるが……ぽよ美は法律なんかでは縛れない。


 すぐに内側から鍵の開けられる音が響く。

 すかさず冷華さんがドアを開け、外で待っていたオレたちも部屋の中へ。

 これでオレたちも不法侵入の共犯になってしまったわけだが。

 同じアパートの住人同士だ、謝れば許してもらえるはずだ。……と思いたい。


 玄関には、この部屋の住人の姿はなかった。

 足音を忍ばせ、リビングのほうまで戻っていった、ということか。

 オレたちは廊下をずかずかと闊歩し、リビングのドアを開け放った。


「な……なんですか、あなたたちは!? 他人の家に勝手に上がり込んで!」


 怒鳴り声が飛んでくる。

 当たり前の反応だ。

 当たり前じゃない住人ばかりのアパートだからか、なんだか新鮮にも思える。


 ただ、リビングを見回してみると、当たり前じゃない光景も目に飛び込んでくる。

 様々なゴミが周囲に散乱、衣服も散乱、本やら日用品やらも散乱、なにもかもが足の踏み場もなく散乱していた。

 なんというか、これは凄まじい。

 ぽよ美の粘液でべちゃべちゃになっている、うちのリビングと比べても、よっぽどひどい有り様だった。


 本人は椅子に座り、テーブルに乗せられたノートパソコンに向かって、なにやら作業している最中のようだ。

 その椅子とテーブルのある一角だけは少々片づいていると言えなくもないが、他は目も当てられない惨状。

 よくこんな中で、足音を忍ばせて玄関まで往復できたものだ。


 思わずじっくり観察してしまう。

 片づけのできない女性、といった特集をテレビ番組で見たことはあるが、そんな感じの人種なんだな。

 本人は長い黒髪も似合っていて、なかなかの美人だというのに。

 着ている服にしても、部屋着だとは思われるが、センスのいい小奇麗な感じだというのに。


「ダーリン……」


 ん?

 気づけば、ぽよ美が眉尻をつり上げ、オレのほうを睨みつけていた。

 と、そうか。オレがこの女性に対していやらしい視線を向けている、とでも勘違いしているんだな。

 弁解して安心させてやらないと。


「この部屋の状態と比べたら、ぽよ美のほうがよっぽどマシだな」

「あたしのほうがマシって、どういうことよ!? がるるるるっ!」


 ああ、余計なことを言ってしまった。

 完全に言葉の選択を間違えた。


 部屋の主を置いてけぼりにして、オレとぽよ美の言い争いが始まってしまったが……。

 しばらくして、それが静まったあと。

 オレたちはその女性に改めて自己紹介し、落ち着いて対話を開始した。


 この女性は、織姫さんだった。

 織姫……。

 そういう名前の女性、というだけではない。

 天の川に隔てられた恋人同士、織姫と彦星のお話に出てくる、あの織姫さんその人なのだという。


「とすると、恋人は彦星さんなのか?」

「もちろんです!」


 織姫さんは、両手を胸の前で組み合わせる乙女チックな仕草で、キラキラと瞳を輝かせながら答えてくれた。

 本当に彦星さんのことを愛しているんだな。


 みみみちゃんはさっき、201号室の住人と恋人同士だと語っていた。

 ならば当然、その彦星さんが201号室の住人になるはずだ。


「隣同士で恋人なら、毎日のように会ってるんだよね?」


 さっきも考えていたことを質問してみたのだが。

 返ってきた答えは、想像もしていないものだった。

 というか、ある意味、納得と言えなくもないのか……。


「私と彦星は、ほとんど会えないの……」


 織姫さんがシュンとした表情で顔を伏せる。

 織姫と彦星のお話のように、ふたりは複雑な事情があって、1年に1度しか会うことができない恋人同士なのだろう。

 つらいことを思い出させてしまったか……。

 オレは反省の念に囚われていたのだが。


「だって、外に出ると寒いじゃないですか!」


 織姫さんは、さらっとそんな理由を口にする。


「単にズボラなだけかよ! ……だが、それだったら、夏場なら問題ないんじゃないか?」

「夏は暑いじゃないですか!」

「……なら、春や秋は?」

「面倒じゃないですか!」


 ダメだ、こいつ!

 これが正直な感想だった。

 物が散乱しているリビングの惨状も、そんなダメダメさを雄弁に物語っている。


「でも、私たちの心は、しっかりつながっています! だって、毎日ずっとチャットしてますから!」

「パソコンに向かってなにをやってたのかと思えば、チャットだったのかよ! しかも、隣の部屋に住む恋人と!」


 呆れてものも言えないオレだった。

 いや、ツッコミの言葉はいつにも増して、するすると口から飛び出していったわけだが。



     4



 こうなったら、彦星さんのほうにも会っておきたい。

 半ば……というよりも、100%強制的に、オレたちは織姫さんを引き連れ、隣の201号室へと押し入った。

 ちなみに、こちらは鍵がかかっていなかった。

 無用心だとは思うが、男の独り暮らしなんてそんなものか。


「あ……あれ……? 織姫……? チャットの返事がないと思ったら……」


 目を丸くしている男性が、この部屋の住人、彦星さんだった。

 織姫さんは、イメージどおりの美人、といった印象だったのだが。

 彦星さんのほうは、なんともイメージをくつがえしてくれる容姿をしていた。


 デブ+メガネ=キモオタ男。

 まさにそんな感じだった。


 冬場なのにTシャツ一枚で、それでもなお、汗をかきまくっている。

 もしかして、こいつもぽよ美の親戚でスライムなのか? と思ってしまうくらいに。

 実際には、単に太っているのが原因なだけみたいだが。


 だがその彦星さんに対して、熱い視線を向ける人がひとりだけいた。

 視線の主は、言うまでもなく織姫さんだった。


「あの、その、リアルではお久しぶりね、彦星……」


 もじもじと身をよじり、恥ずかしそうに顔を赤らめながら、彦星さんの汗まみれの濃厚な顔を見つめている。

 このふたり、本当にほとんど会っていないようだ。


「えっと……織姫さん。この人とつき合ってるの?」


 態度を見れば明らかではあったものの、どうにもこうにも不釣合いとしか思えず、確認のために小声で聞いてみたのだが。


「はい! うふふ、すごくカッコいい彼氏でしょ? いや~ん、恥ずかしいです!」


 織姫さんは迷うことなく言ってのける。

 本当に本気でそう思っているのは明らかだった。信じられない話だが。


「あ……ああ、そうだね、カッコいい彼氏だね」


 この状況で、素直に頷く以外になにができようか。

 オレは若干こめかみを引きつらせながらも、どうにかこうにか笑顔を形作り、微妙に棒読み調の言葉で答える。


 周囲を見回してみれば、彦星さんの部屋の惨状も、織姫さんの部屋どどっこいどっこい。

 そういった意味では、似た者同士と言えるのかもしれない。


 ところで、ぽよ美と冷華さんはここまで黙って様子を見ていたわけだが。

 満を持してと言うべきか、ようやく動き出すことになる。


「ふたりとも! お互いの気持ちはよくわかったわ! でもね、引きこもってちゃダメよ!」

「ええ、そうよ! 恋人同士だったら、なるべく時間を共有して、楽しく過ごさないと!」


 ぽよ美と冷華さんの主張を、ぽかんと口を開けて聞く恋人同士のふたり。


「チャットで時間を共有してますけど」


 控えめに反論する彦星さんには、冷華さんから雷が落とされる。


「そんなの、共有とは言えないわ! お互い同じ空間にいて、同じ空気を吸って、同じ釜の飯を食べるのが、正しい恋人同士ってものよ!」


 冷華さんの場合は、釜の飯というか、冷やし中華になると思うが。

 ともかく、最後にぽよ美が結論をぶつける。


「というわけで、今夜は星見パーティーよ! ふたりとも、参加すること! いいわね!?」

『は……はい……』


 織姫さんと彦星さんの返事は、息の合った恋人同士らしく、ぴったりと重なっていた。

 恐怖におののき、震えている状態ではありながらも……。



     5



 星見パーティーは、わざわざ町外れの丘にまで出向いて敢行されることになった。

 冷華さんが提案したのだが、意外とこだわり派なのかもしれないな。


 低橋さんもバイトから帰ってきて合流、総勢7名となっている。

 ギターをかき鳴らす低橋さん、上機嫌の冷華さん、完全無欠な酔っ払いのぽよ美……。

 そんなメンバーのいる状態だから、町外れの静かな丘というのは、近所迷惑にならないためには都合がいいようにも思えた。

 星見パーティーなどと銘打ってはいるが、静かに星を見るだけではなく、宴会へとなだれ込むのは明白なのだから。


 オレたちはしっかりと防寒対策をして丘までやってきた。

 途中で温かい食べ物を買ったり、水筒に温かい飲み物を入れてきたりはしている。

 ただ、飲むのは主にビールで、食べるのは主に冷華さんお手製の冷やし中華ということになるはずだ。


 少々寒さが厳しい気もするが……。

 酔いさえ回ってしまえば、大して気にならなくなるだろう。


「見て、織姫。あれが冬の天の川だよ!」

「まぁ、綺麗!」


 強制的に連れてきた織姫さんと彦星さんは、自分たちの世界に入り込んで楽しんでいるようだった。

 冬の天の川は、肉眼ではほとんど確認できないと思うのだが、まぁ、彼らは特別なのだろう。

 自らがお話に登場している当人なわけだし、実際に見えていても不思議ではない。


 それにしても、天の川を『綺麗』と言って眺めている織姫さんと彦星さん、というのもなんだか微妙な気がする。

 もっとも、夏の天の川は織姫星と彦星を遮る障害物としてのイメージだが、冬の天の川は別ものになるわけだし、それはそれでいいのか……。


 織姫さんと彦星さんを微笑ましく眺めていると、不意にぽよ美が寄り添ってきた。


「ふふっ。いい雰囲気だよね~!」

「そうだな。もしかして、あのふたりのために、星見パーティーをしようなんて言い出したのか?」


 星実パーティーを提案した時点では、あのふたりが織姫と彦星だなんて知らなかったのだから、それはあえりえないはずなのだが。

 ぽよ美はビールによって赤味がかった顔で、しれっと答える。


「うん、実はそうなのよ~!」


 文字どおり、真っ赤な嘘だ。

 だが、それでもべつに構わないだろう。

 本人たちも喜んでいるみたいなのだから。


「あたしとしても、新たに宴会メンバーをゲットできたし、定期的に宴会ができるようになって嬉しい~!」


 ぽよ美も笑顔だ。

 もともと定期的に宴会している上に、ぽよ美個人に限って言えば毎日酒盛りだし。

 ツッコミどころだとも言えるが。


 ま、野暮なことは言うまい。

 せっかくの星見パーティーなんだから、今は四の五の言わず、素直に楽しんでおこう。


 頭上には満点の星が光り輝いている。

 本当に綺麗だ。

 冬の神様からの贈り物に包み込まれながら、オレたちは夜風の冷たさなど微塵も感じることなく、緩やかで温かな時間を過ごすのだった。


 ……などと、真面目にシメようとしてみたのだが。


「ほら、ダーリンももっと飲むのら~! ひっく!」


 酩酊状態のぽよ美が、べちょっと抱きついてきて、オレの腕は粘液まみれになる。

 他の人にも目を向けてみると、みんなすでに、べろんべろん状態。

 まともに意識を保っているのはオレだけだった。


 ギターを構えて音程のズレた歌を歌いまくっている低橋さん。

 その低橋さんに寄り添い、冷やし中華をすすっている冷華さん。

 完全にふたりの世界に入り込んでいる織姫さんと彦星さん。

 なぜだかぴょんぴょん飛び跳ねているみみみちゃん。

 半分スライム形態に戻りつつあるぽよ美。


 オレはこのあと、こいつら全員を連れて、アパートまで戻らないといけないのか?


 今夜は最後に一番大きな試練が待ち構えているようだ。


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