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魔道具修復士のお家事情

シークレットベビー企画参加作品

主催 氷雨そら先生 です!

楽しい企画をありがとうございます♡


最終話まで予約投稿済みです♪

「よく修復できている。しっかりと作動しているし、これなら先方も満足されるだろう」

 サタベィル王国の王都カドーの片隅で魔道具修復を請け負う店のカウンターでのこと。

「ありがとうございます」

 レイラ・シルコットは店主の言葉に胸を撫で下ろした。 

 お礼を述べると、せっかくの金髪がボサボサにうねり、艶がない髪を隠すようにすぐにフードを深く被り直した。

 レイラは報酬を手にすると、自分の思い描く未来が少しずつ近づいてきていることを実感する。

 (もう少しで目標金額達成だわ!あとはあの人に婚約を解消してもらえれば、家を出られる!)


 次の魔道具修復の仕事をもらうと、レイラは店を飛び出して一気に駆け出した。

 早く屋敷に戻らなければ、勝手に出歩いていることがバレると、継母とその連れ子のロザリアにどんな嫌がらせをされるかたまったものではない。

 ましてや、魔道具修復師として仕事をしているなんて、知られたらすべての計画が台無しだ。

 案の定、ふたりが自分を探している状況でギリギリ屋敷に滑り込めた。


「レイラ、どこにいたのよ。1回で呼ばれたらすぐに来なさいよ。何回も呼ばせないで!」

 お継母様が耳を塞ぎたくなるような金切り声を上げている。

「申し訳ありません。お継母様」

「お姉様、なに突っ立っているのよ。廊下を掃除しろと言ってるのが聞こえないの?」

 お継母様の連れ子でレイラより1歳年下の義妹であるロザリアが、これまた一段と高い金切り声で指図をしてきた。ふたりがレイラを使用人扱いするのはいつものことだ。

 今日はまだ大声で怒鳴られるだけで済んでいるから良い方だ。

 部屋の奥で掃除道具を持ったまま、ニヤニヤと笑う使用人から掃除道具を受け取ろうとするとロザリアが足を引っ掛けてきた。

 咄嗟のことで避けきれず、派手に転ぶ。

「お姉様!まともに歩くこともできないなんて、病気だわ」

「この子は何やってもダメだからどうしようもないわ」

 黒く意地悪な表情を浮かべながら、レイラを否定する言葉を次々に並べ立て、お継母様もロザリアも嘲笑う。

 (また、始まったわ)

 顔に出さないようにレイラは心の中でため息をついた。

 

 レイラの父、シルコット侯爵と魔道具修復士として王宮に勤めていた実母の1人娘として生まれたレイラは、侯爵令嬢として実母が病で亡くなる14歳までは幸せに暮らしていたが、母が亡くなり、後妻としてやってきた継母とその連れ子は、父の目を盗んではレイラにこのような嫌がらせをしてくる。この生活がもう5年。レイラは19歳になっていた。

 最初はレイラも父に何度も窮状を訴えたが信じてもらえず、逆に新しい家族を受け入れられないわがままな娘だと父に距離を置かれている。

 ついには最近、冷酷と悪名高い魔術師副団長であり、公爵家次男でもあるセオドア・ウォーカーとの政略結婚話をレイラに突然持ってきて、レイラに一言も相談することなく、婚約者を勝手に決めてしまった。

 ただ公爵家の次男で、しかも魔術師団の副団長で将来は団長になるような男だ。どう考えても、条件が良すぎる。それだけは不可思議だった。そして、それが原因で嫉妬したロザリアからの嫌がらせが日々酷くなっていったのも事実だった。


 その婚約者であるセオドアとは、レイラは顔合わせのときの一度しか会ったことがない。

 セオドア・ウォーカーという男はレイラよりも3つ年上だ。

 婚約の顔合わせには、仕事の途中で急いで来たのか魔術師団の制服である黒いローブを着てフードを目深く被っていたので、よく顔を見ることはできなかった。

 そして、噂通り冷酷な男なのか、それともこの婚約が彼も不本意なものだったのか始終不機嫌で、レイラが一生懸命に会話をしてもセオドアからの返事は一言二言が返ってくるばかりで、ふたりの会話が弾むこともなく終わった。

 それからはたまにシルコット家には来ているようだが、レイラが呼ばれることはなく、なぜかセオドアの相手をロザリアがしている。

 そして、今日もいまからセオドアが訪ねてくるらしい。

「病人は部屋にいた方が良いわね。それにそんな使用人のような姿では婚約者の前には出せないわ」

「お姉さまのことを思ってのことよ。お部屋でゆっくりされるのが良いわ。セオドア様は冷酷で無慈悲でとても恐ろしい方よ。これ以上お姉様はセオドア様のご機嫌を損なわないように帰られるまで決して一歩も部屋から出ないでよ!」

 人の顔とは思えないような鬼の形相でロザリアが睨んでくる。

 たとえ私の婚約者であろうが、1度きりしかお会いしたことがなく会話もほとんど交わしたことがない名ばかりの婚約者。そこになにの感情もない。

 それに好き好んでこんな姿をしている訳ではない。私のドレスなど、この母子が屋敷に来てから作ってもらったことなどない。

「承知しました」

 そう言うと、2人の前を後にした。

(こんなことなら、いっそのことロザリアがセオドア様の婚約者になってくれれば良いのに)


 父に何度かセオドア・ウォーカーとの婚約を解消するか、ロザリアにしてほしいと懇願したが、少しも取り合ってもらえることはなかった。

 頑なに父はセオドア・ウォーカーの婚約者はレイラだと、こだわり続けている。

 でもその理由はすぐにわかった。

 使用人が噂していた話が漏れ聞こえてきたが、この婚約に多額のお金を支度金としてウォーカー家から頂いたらしい。要は私は父に売られたのだ。

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