プロローグ
以前書いた二つの短編の、中間にあたるお話です。そちらを読まなくても大丈夫なように、プロローグを書きました。
「お前たちの好きにはさせない」
https://ncode.syosetu.com/n3067le/
一番最初の死刑囚が消えたときの話
「どんな状況でも、好きにやるヤツはやらかす」
https://ncode.syosetu.com/n8952le/
1000年後、技術が悪用されたのでどうしようかという話
誘拐だと思われていた事件に、異世界召喚ではないかという疑いが出てきたのは、いつごろだったろうか。
初めは小説の読み過ぎだと、一笑に付せられた。
だが、被害者家族たちが研究を始める。
そして、ついに何カ所かの「召喚されやすい場所」を特定した。
だが、それを防ぐ方法が見つからない。
異世界に召喚されるのを防げないなら、死刑を宣告された罪人でいいだろう。そんな意見が出てきた。
死刑反対論者や人権擁護団体から反論が出て、死刑囚本人が望んだ場合のみ収監されるという条件で決着した。
そのために作られた特殊刑務所から、消えた死刑囚。
監視カメラは人権侵害だと言われるので、サーモスタットで在牢確認をしていた。
一瞬、高熱になったりマイナスになったりしたあと、死刑囚が消える事態が起きる。
状況からして、おそらく、異世界に召喚されたのだろう。
最初は脱獄だったらどうするのかとマスコミが騒いだが、サーモスタットの異常値を見せるほかない。
陰謀論や宇宙人という説も出たが、消えた日を死刑執行日として処理をした。
そして、どこに召喚されたのかを知る術も、ない……。




