三本目の杉の木
友達の友達から聞いた話です。
その人は高校生のとき、いわゆる悪ガキって奴でした。
学校の友達4人で色んな人に喧嘩を売ってて、地元じゃ負け知らずって感じのグループだったそうです。
その人たちが近くの中学校にカツアゲをしにいった時、どうにも不気味な女学生がいたようで。おばあちゃんみたいな猫背で、表紙のない本を大切そうに抱えていたようなんです。
その子を見てみんな度胸試しだって、彼氏いるのー?とか茶化しながら絡みにいったんですって。
そしたらその子、グループのうちの1人を指差して
「りょうへいくん」
と言ったんです。
最初は知り合いなのかな?とも思ったんですが、「亮平」ってのは指さされた子の隣の子だったので、あれ―おかしいなーって思ってたんですが。
そのままその女はそれぞれ指差しながら
「手術台のライト」
「三本目の街路樹」
「スーツケース……の中?」
と言ったんです。
その時はバカにしてんのか?って冷めて解散したんですけど、そのあと1人が重い病気にかかっちゃって。
しかも悪いことに手術途中に神経を傷つけちゃったらしく、全身麻酔をしてたのに覚醒して痛みでショック死しちゃったんです。
その時はみんな酷い不運だったなーって話をしてたんですが、今度は他のもう1人がバイクに乗ってる時にトラックと正面衝突しちゃって。
勢いよく吹き飛ばされて、身体から千切れて頭だけがてん、てん、てん、とゴムまりみたいに転がって。
事故現場から、ちょうど三本目の街路樹だったんです。
--そういった亮平くんは、深いため息をつきました。
「俺、和也のこと1番の親友だと思ってたんスよ。でも、直人が事故ってからは俺とは会いたくないってなっちゃって」
「和也くんからは、俺が亮平に殺されたら次は亮平の番になっちまう、って聞いてますよ」
「はは、そうっスよね。アイツはそういう奴なんすわ」
2人はその一件から改心して、今では身寄りのないご老人の生活の手助けをしているボランティアに従事しています。
和也くんと亮平くんが安らかな最期を迎えられることが、わたしの今の願いです。




