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第五章

一ヶ月以上もかかってしまいました…

よろしくお願いします。


 次の日の朝。『ああああ』に起こされて目覚め、ベッドで伸びをした後窓の外を見る。昨日まで晴れ渡っていた空は灰色の雲に覆われていた。




 「あら、天気が悪くなっちゃったのかな?」




レイラがそう呟いていると『ああああ』が昨日のアイドル『モモ』について語り始める。




 「え?モモちゃんのファンになっちゃったの?確かに凄く可愛らしかったし私も好きになったけど……あ!そうだ!」




レイラはベッドから飛び起きると、『ああああ』は不思議そうな表情を浮かべる。レイラはそのままベッドの上を跳ねる。




 「もしかしたらモモちゃんも転送された人かもしれないじゃない!本の能力を悪用してる人達が狙ってる可能性もあるわ!」




『ああああ』はレイラの言葉を聞いて驚く。しかし、その可能性があるならば放っておく訳にはいかないと考える。




 「そうだ!それなら探してみようよ!モモちゃんに直接会って確かめてみたら何か分かるかも!」




レイラは『ああああ』と部屋を出て宿屋の主人に挨拶し、モモを探すために宿を出る。彼女が出演する予定のイベントは今日は無いようなので村で目撃情報でもあれば良いが……と考えながら村を回るレイラと『ああああ』。




 しばらくするとピンク色の服を着た村人と出会う。その村人に声を掛け、モモの居場所を聞いてみると何処かで聞いた声だと思った途端にレイラの肩に手を回してくる。昨日見かけたピンク色の服の男性村人だった。




「やぁ!君達は昨日も来てくれたお客さんだね!モモちゃんに会いたいのかい?」




レイラは少しゾッしたが、生きていた時に何度か経験したセクハラに比べるとこれくらい屁でもないようで




「あっ……あー……そうなんです!モモちゃんとお話したいなって思って!昨日は時間がなくて喋れなかったので!」




 彼は上機嫌でモモの居場所を教えてくれた。




「なるほど!モモちゃんは今村長さんの家に居るみたいだよ!行ってみて!」




「ありがとうございます!では失礼します!」




村人は笑顔で二人を見送るが、レイラと『ああああ』はお礼を言い、足早に村長の家に向かう。




しばらく歩くと見えてきた一軒の家。家の前に立つと看板があり、「村長」と書かれているようだ。レイラが恐る恐るドアをノックすると中から村長と思しき女性の声が聞こえる。




 「はいはい~どちら様ですか?」




 「あの……モモちゃんはここに居ると聞いたのですが……」




すると扉が開き、中から昨日モモのショーを勧めてきたピンク色の服を着た女性が現れる。




「あら!あなた達昨日の観客の方々ね!どうぞ中に入って頂戴!」




レイラと『ああ』は女性の誘いに乗って中に入る。中は広々としており、とても豪華な内装が施されている。二人が通された応接室にはソファーやテーブルが置かれており、正面には暖炉がある。レイラと『ああああ』が座って待っていると女性が紅茶を淹れて持ってきてくれた。レイラと『ああ』は紅茶を飲む。紅茶の香りが部屋中に広がる。




「美味しい……これハーブティーですか?」




「そうよ。よく分かったわね。でも私の紅茶のブレンドは特別なのよ。モモちゃんが大好きなハーブを使ってるのよ!」




女性が笑顔で説明する。レイラは女性の話を聞きながら彼女とモモとの関係性について考えていた。どうやら女性は村長で、モモを心から慕っているようだ。モモは恐らく転送者だろうと、そんなことを考えていると扉が開く音が聞こえた。振り返ると昨日のステージに立っていたピンク髪の少女が立っている。




「こんにちは!モモです!私に会いに来てくれたんですね!嬉しいです!




彼女はそう言って頭を下げる。レイラは彼女が転送者かどうか確かめるため質問してみる。彼女は笑顔で答えた。どうやら彼女は転送者らしい。レイラは安心した表情を見せる。そして彼女に今まで何をして過ごしてきたのかを聞く。彼女は自分のことを少しずつ語り始めた。




彼女は転生する前は地下アイドルグループのメンバーだったらしい。しかし病気で倒れてしまい夢を追いかける事が出来なくなってしまった。




「私は歌うのが大好きだったんです。でも身体を悪くしてアイドルとして活動を続ける事が難しくなってしまって……」




彼女は悲しそうに呟く。レイラは彼女の境遇に同情しつつも彼女の歌声に感動していたことを伝えた。




「でも、あのステージで歌を聴いて私はあなたに興味を持った!モモちゃんの歌声には心が震えるものがあるよ!」




レイラは興奮しながら語る。モモは照れ臭そうに笑う。しばらく彼女との会話が続く。『ああああ』は黙って彼女の話を聞いていた。レイラは彼女が転送者であることが分かり安心すると同時に彼女の夢を応援したい気持ちになる。レイラと『ああああ』は彼女との会話を楽しみながら過ごす。しばらくすると彼女は申し訳なさそうに言った。




「あの……今日は練習がありますのでそろそろ準備をしなければいけません……」




「あっ!ごめんなさい!引き止めちゃって……」




「いえいえ全然大丈夫ですよ!それじゃあ今日はこの辺で失礼しますね!」




レイラと『ああああ』は立ち上がり彼女にお辞儀をする。彼女もまた頭を下げてお礼を言う。




「ありがとうございます!またいつでも遊びに来て下さいね!」




「うん!また来るね!」




二人は村長としばらく話をした後、宿に戻ろうとすると村長は見送る為に玄関まで来てくれた。




「良かったですね!モモちゃん。この村に来てくれて」




「ええ本当に。でも彼女の歌に救われたのは私だけではないわ。彼女のお陰で毎日が楽しいもの。本当に素晴らしい娘だよ」




村長の言葉にレイラも同意する。




「そうですね。モモちゃんはとても魅力的な女の子だと思います」


するとレイラは思い出したように言った。


「そうだ!モモちゃんとお友達になりたいんです!よろしくお願いします!」


「ええもちろん!モモちゃんもきっと喜ぶと思いますよ!」




村長は微笑んで言う。レイラは嬉しくなって笑顔を見せる。そして二人は村長に挨拶をして別れた。




その後、宿屋の前でレイラと『ああああ』が会話をしていると、そこにモモが走ってくる。




「あの!レイラさんですよね!?良かったら一緒にお話しませんか?昨日お話してみたいって思ってたんです!」




モモは笑顔で提案する。レイラは少し驚きつつも、彼女の問いに頷く。そして三人で並んで歩き出す。




「ふふっ、なんだか賑やかになりそうですね!」




『ああああ』も嬉しそうに笑う。こうして新たな出会いが始まろうとしていた。

モチベーションが…

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