60秒物語 言の葉
「恋」を知らない私が、「恋」をする。
SNSで誰もがつながる世界。 人の気持ちを言葉にするのが苦手な女子大生・紗耶は、ひょんなことから恋愛相談アプリの開発に携わることになる。 ユーザーの乙女心を汲み取り、「言葉」を紡ぐ日々。 だが、紗耶自身には、まだ名前も知らない感情が芽生えはじめていた――。
乙女心を解きほぐす、新時代の青春ラブストーリー。 あなたの心に眠る感情を、今、編み始めよう。
SNSやアプリを通じたコミュニケーションが日常化した世界。
主人公のプロフィール: 山城 紗耶(21歳) 地方から上京した内気で真面目な女子大生。文学部所属で言葉への関心はあるが、自分自身の感情表現は苦手。他人の感情を汲み取る繊細さを持ちながらも、自分の恋心に気づけないでいる。
東京で大学生活を送る紗耶は、授業やアルバイトに淡々と取り組み、目立つことを避けている。彼女は自分の感情を言葉で表現することに苦手意識を持ちつつも、人一倍繊細な感性で他人の感情を察知できる特異な才能を持っている。
ある日、紗耶の親友・莉緒に誘われ、新しい恋愛相談アプリの開発プロジェクトに参加することに。最初は乗り気ではなかった紗耶だが、自分の言葉で他人が喜ぶ姿を見て徐々にやりがいを感じ始める。
しかし、自分自身は恋愛経験がなく、ユーザーの乙女心を汲み取って適切な言葉を提供することに限界を感じる。そんな時、紗耶の前に現れたのは、同じプロジェクトに参加する大学院生・櫻井 陸。人懐っこく明るい彼に次第に惹かれていく自分に気づき、紗耶は戸惑う。
紗耶は陸との交流を通じて、初めて自分自身が抱える感情を自覚し、アプリ作りにより一層熱意を込めるようになる。陸もまた紗耶の内に秘められた言葉のセンスに気づき、二人は協力してアプリの完成を目指す。
二人の距離が縮まる一方、紗耶は陸に対して抱いた感情を恋だと認められず、戸惑い続ける。それでも陸との時間は、自分の内面を理解する鍵となり、自身の感情と言葉を深く掘り下げるきっかけになる。
アプリは話題を集め、多くのユーザーが紗耶の紡ぐ言葉に感動する。紗耶は次第に自信を深めていくが、陸に恋人がいるという噂を耳にしてしまう。彼女は動揺を隠しつつも、仕事に没頭することで気持ちをごまかす。
アプリの人気が爆発的に高まり、大企業から提携話が舞い込む。プロジェクトメンバーは喜ぶが、アプリの方針を巡って紗耶と陸は初めて激しく意見が対立。互いの感情が絡み合い、関係がぎくしゃくしてしまう。
紗耶は自信を失い、自分の紡ぐ言葉に疑問を抱き始める。さらに陸と恋人の存在に傷つき、心を閉ざしてしまう。アプリの開発は停滞し、紗耶は自分がプロジェクトにいる意味を見失いかける。
紗耶はプロジェクトから離れ、元の孤独な日常に戻る。しかし、ユーザーから寄せられた感謝のメッセージや、莉緒からの叱咤激励を受け、自分の感情と向き合う決意をする。
自分自身の弱さや陸への気持ちを受け入れた紗耶は、初めて心の底から言葉を紡ぎ出し、アプリの最終アップデートを一人で書き上げる。
紗耶の作った最後のアップデートが大反響を呼ぶ。その文章を見た陸は紗耶の本当の気持ちに気づき、彼女を追いかける。
陸は紗耶に自分も恋人はいないこと、そして紗耶に惹かれていることを告白。紗耶は初めて自分の気持ちを言葉にして伝えることができ、二人の心はつながる。
自分自身の心を認め、感情を丁寧に編むことで、紗耶は恋だけでなく自己成長も手に入れ、新たな世界へ踏み出していく。
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