しこうていし
三題噺もどき―よんひゃくはちじゅうきゅう。
痛々しい日差しが降りそそぐ。
所々むき出しになっている肌を針で刺されている感覚。
髪を短くそろえているので、首筋なんかものすごく痛い。
「――っつい」
ジワリと吹き出る汗がものすごく不快だ。
念の為と思って帽子をかぶってきたのだが、額のあたりとかものすごい気がする。
時折影に入っては帽子を脱いで、汗を拭いて軽く仰いでみたりもしていたが、たいして効果はない気がする。
「……」
これでもたいして暑くないだろうと言う時間帯に出たはずなんだけど。
陽が沈むのがあまりにも遅くて、この時間でもこんなに暑い。
梅雨が明けていないのが影響しているのか、湿気もある感じがして不愉快極まりない。
じっとりとまとわりつくような暑さは勘弁願いたい。
「……」
ちょっとすぐそこのドラックストアに行こうと思っていただけなのに。
こんなに汗をかくとはだれが思うよ。
私も手持ちの小さい扇風機とか買おうかな……多少はマシになりそうだ。
百円ショップとかにたくさん売ってるよな……というか買ったような気もするんだけど。どこに直したかな。探してなければ買いに行こう。
「……」
先程通り過ぎた公園では子供たちが楽しそうにはしゃいでいた。
よくあんなに元気に走り回れるものだと少々羨ましくもなる。
今日はイヤホンをつけていたので、声までは聞こえなかったが、あれだけ笑顔を振りまいていて楽しくないなんてことはそうそうないだろう。
ノイズキャンセリングをして音楽も何もかけずに、無音が広がっているだけだが。
「……」
ブランコに乗っている子供は、風を受けるのが楽しいのかもっともっとと、親にせがんでいた。その親はもう、暑くて暑くて仕方ないと言う雰囲気だったけど。この後また家まで帰って食事を作ったり風呂に入れたりするんだろうなぁと考えるだけで頭が上がらない。
「……」
きっと彼らはそのおかげで不摂生なんてすることなく生活しているんだろうな。
……私は不摂生のおかげで、こうして暑い中でドラッグストアに行くことになったんだが。
いやまぁ、通販でもいいんだけど……それはそれで申し訳ないと言う気持ちになる。こんな暑い中であっちへこっちへと配送しているのとかもう。
たいした距離ではないし、自分で行けるのだから自分で行く。
「……」
しかし暑い。暑すぎる。
夜も寝苦しい日々が続くせいで、たいして眠れても居ない。
最近色々と用事が重なったり、大詰めになっていきていて、変なストレスもかかっている。
そのせいでさらに眠れなかったり、食欲が激減していたりもして。
不眠とまではいかないが、睡眠不足の日々である。
「……」
おかげで肌が荒れまくっているのだ。
知らぬ間にニキビができていた。
そこまで気にしすぎる性格でもないのだけど、さすがに。
自分でもやばいなぁという感じだったので……それに人と会うことがままあるので、治しておきたいのだ。
「……」
まぁ、ついでに。
冷えピタとかも買っておきたいので、こうして暑い中で外出することになった。
……もう少し暑さ対策をしてから出るべきだったなぁ。とはいえ、じゃあ何をどうするのかという感じではあるんだけど。
「……」
いやまぁ、とりあえず。
さっさと涼しい店内に行かなくては。
もう看板は見えている。
倒れる前に、涼ませてもらおう。
お題:ブランコ・ニキビ・無音