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5.見習い天使 みう


アパートまでそんなに距離はない。

別に近所に知り合いもいないけど・・・・・

コスプレイヤーのような姿のみうを連れて歩くのは少し目立った。


部屋の鍵をあけて、みうを招きいれる。

みうは物珍しそうに俺の部屋をみてキョロキョロしていた。


「適当に座って待ってて。

 嫌いな食べ物はない?」


「はいっ、人間の食べ物は勉強してきました!

 大丈夫です!}


「人間の食べ物て・・・・・w」

なりきってるなぁ。

まぁ、いいや。


さっき買い物してきたから2人分くらいは作れるな。

んー、昼にドリアを食ったから、夜は和食にしようと思ってたけど・・・・

今の若い子、和食なんか好きかな・・・・?

てか、あの容姿からみて、外国人かもしれない。

パスタの方がいいかな?

和風パスタなら食べれるか??

お腹すいてるなら、早く出来るものがいいよな。

どのくらい食べれるかわからないけど、多めに作ろう。


・ツナと大葉の和風パスタ

・ミニトマトとモッツァレラチーズのサラダ

・卵とわかめのスープ

を作ることに決めた。


パスタは塩を適量入れて、3人前を固めにゆでる。

スライスした玉ねぎをオリーブオイルで炒め、油を切ったツナ缶も入れる。

その中にパスタを入れて、味付けは簡単にめんつゆで。

上に刻んだ大葉をちらして出来上がり。


ミニトマトは半分に切る。

器にモッツァレラチーズと一緒に入れて、オリーブオイル、塩、ブラックペッパーで和える。

スープは粉末の鳥ガラと塩で味付けして、乾燥わかめと卵を溶いて入れる。


「お待たせー」

20分ほどで3品を完成させ、ぼんやり座っているみうの前に置く。

それまでボーっとしていたみうの目がパッと輝く。


「あぁ・・・・すごい・・・・

 ご飯がキラキラしてる・・・・」


「キラキラって、大げさな。

 みうちゃんの口に合うといいんだけど」


ほぼ新品のカラトリーとコップがあったから、それも一緒に並べる。

俺1人なら箸とマグカップで充分だな、となり、買って以来ほとんど使ってなかったものだ。

このアパートにきて初めての、それも女性の来客に、ちょっとだけ見栄をはる。


「はっ!!!

 えっと・・・・何でしたっけ・・・・

 ご飯を食べるときの、呪文があったような・・・・」


「呪文・・・・?

 あー、いただきます、のこと?」


「それです!

 いただたきます!」


「なんか一個多いようなw

 まぁいっか。

 いただきます」


俺が手を合わせると、みうもそれを真似して手を合わせた。

2人でパスタを口に運ぶ。

うん、ちょうどいい味付けになってる。


どんな反応するかな?

チラッとみうの方に目をやると・・・・


「!?」

泣いてる・・・・

大きな目からぽろぽろ涙がこぼれていた。


「だ、だいじょうぶ?

 おいしくなかったかな・・・・」


「らいじょぶれす・・・・・

 おいしいれすぅうう・・・・・」


涙と鼻水を垂らしながら、ひたすら食事を続けていた。


「はい、ティッシュ」


「ずびばせん・・・・」

と言って、チーン!と豪快に鼻をかんだ。


それからは

「おいしい!おいしいです!!!」

と言って、全部を綺麗にたいらげた。

俺は料理が口にあったようだと、ほっとする。


食事が終わって一息ついたところで、俺は彼女に問いかける。


「えーと、みうちゃん?

 聞きたいことがあるんだけど・・・・・

 いいかな?」


「はい!なんでも!」


「そっか、ええっと・・・・・

 まず、みうちゃんはどこに住んでるの?」


どう見ても20歳には見えないこの子を、早く家に送り届けた方がいい気がして。


「みうは、天界から来ました!」


「てんかい?えっと、それは何県?

 もしかして日本じゃないところ?」


「天界は、空のずうっと上です!

 みう達みたいな天使が沢山住んでるところです!」


「天使・・・・・

 みうちゃんは、天使なの?」


「はい!そうです!

 今は見習いですけど・・・・・

 背中の羽が見えますか?

 これが証拠です!」


閉じられていた羽がふわっと動いて、部屋の中に広がる。


「お、おお・・・・・」


「人間界にくるときに、しまってきたハズだったんですけど・・・・・

 お腹が空いてたのと、あるじ様のところにくるので力を使ってしまって・・・・・

 でも今ならしまえるかも!

 えい!!!」


ぎゅっと体を縮めると・・・・・


「いたぁ!!」


と悲鳴を上げた。


「どうしたの!?」


「すみません・・・・・

 なんか痛くてしまえませんでしたぁ・・・・」

と涙目。


「なんでぇええ・・・・」


うーん、どこまで本気なのか・・・・


「んー・・・・・ちょっと見てもいいかな?」


この子が嘘をついてるとは思えないけど・・・・・

俺もそれをまんま信用するほど人がいい訳ではない。

背後に回って背中を覗く。

・・・・・・

うーん、背中にくっついてるように見える。

生えてる、と言った方が正しいか。


羽は生き物のそれのように、温かさと艶があった。

綺麗だ・・・・・思わず手に触れてみたくなる衝動にかられたが、我慢する。

羽をまじまじと見ていると、一部だけ不自然に外側に出ているところがあった。


「あぁ・・・・もしかしたら、ここが打撲みたいになってるかも・・・・

 折れちゃってたら固定しないとかな・・・・

 もしかして、俺とぶつかった時かなぁ・・・・」


昔飼っていた小鳥が、うまく飛べなくなって心配した時のことを思い出した。

幸い2~3日様子を見たら、またちゃんと飛べるようになったんだけど・・・・・

それと一緒にしてもいいものかどうか。

てか・・・・・この子本当に天使・・・・・なんだな?


「ここは天界じゃないから、力がちょっと弱まってて、自分ですぐに治せないかもです。

 でも、ちょっと休んだら、多分だいじょぶです!」


「ん、そっか。

 ごめんな、俺も天使のことはよくわからんから・・・・・」


「いいえ!

 あるじ様のお側にいるので、みうはだいじょぶです!」


「あー・・・・ちょっと待って。

 その主ってのは、俺のこと?」


「はい!みうの主様です!」


頭がクラクラしてきた・・・・・


「ごめんね、俺、よくわからないから教えてくれる?」


「はい!

 主様が、天使を見つけてくれたから、みうは飛んでこれました」


「見つける・・・・・?」


「はい、これで」


ワンピースのポケットから、スマホを取り出した。

今どきは天使もスマホ持ってんのか。


「主様が【天使】を選んでくださって、みうにお返事くれました!」


スマホにはエンジェル・マッチの画面。

好きなものカード【天使】・・・・・


「【天使】が見えて、それを選んでくれた方しか、主にはなれません。

 エンジェル・マッチは、神様が天使の主を探すために作られたものです」


「え・・・・・

じゃあ俺は、このマッチングアプリで天使とマッチングしたってことなのか!?」



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