思っていた転生と違う!!
なんとなく、異世界物を書きたくなったので書いてみました。
第一章始まり
今、俺は窮地に立っている。知らない場所、得体の知れない生物。そして、よく分からない俺の体。この状況になった経緯は少し前に遡る。
それはとある夏の帰り道。仕事が長引き夜遅くになっていた。俺、瀬海陽は、社会人二年目。二年前までは大学生活を謳歌していたが、医療職に就職してからは慣れない環境、上司、患者との関りで疲れ果てていた。周りからは良く見られる様にふるまい、家族にも今の生活が充実しているかの様に見せるのに必死だった。一年目はなんとかやれていたが、今年に入りこの生活を続けていって本当に幸せなのか疑問に思うようになった。どこで選択を間違ってしまったのか、そもそも人間として生まれてきたことも間違いではなかったのかと感じてしまっていた。
「人間って本当に面倒くさい、ロボットだったら何も考えず幸せなのかな」
つい思っていたことが口から出てしまった。
「そんなに嫌なら、違う人生を送ってみますか?」
夜の帰り道の中、独り言を呟いていると、声が聞こえた。すると少し先に普段、見たことない占い屋が夜分遅くに出店していた。外灯に照らされて少し不気味に見えた。しかし、なぜだか自然と占い屋に足が進んでいた。俺は先ほど聞こえた違う人生というのに興味があった。そのために占ってもらうことにした。
「すみません、占ってもらってもいいですか」
「どうぞ、かまいませんよ」
そういって彼女は水晶に両手をかざして占いを始めた。彼女と言ったのは、声の質、容姿から女性に見えたからだ。
「あなた、今の人生に疲れていますね」
「はい……」
「違う人生に興味はありますか」
「第二の人生を送りたいとは思ったことはないですか」
「思ったことはあります」
彼女の言ったことのように本当に第二の人生を送れるのであれば違う世界で人生を謳歌してみたいと感じ、質問に対して正直な気持ちを答えた。すると、彼女の口から次のような言葉が帰ってきた。
「では、違う世界に連れて行ってあげましょう」
「準備はいいですか」
「ちょ、、まって、、心の準備が……」
彼女は僕の手を勢いよく掴み、水晶に手をかざした。すると、水晶が光輝き俺はその光に吸い込まれていった。光に包まれながら彼女の声が聞こえた。
「あなたはこれから違う世界に転移します」
「行った先では楽しく第二の人生をお送りください」
「あと、少しばかし転移先で困らないように準備してあるから楽しんでね」
「じゃ。説明終わり。」
「えっ。それだけ!」
唐突に知らない占い師に異世界へ転移させられてしまった。これからどうなるのか考えていると、また光が強くなった。光が弱くなり目を開けると、周囲は木々が生えている森に転移していた。
異世界に来たことに対して実感はなかった。しかし、俺も暇なときは異世界物の小説や漫画、アニメを見ていた。いきなり異世界に飛ばされたことには驚いたが、せっかく異世界に来たのだから楽しまないともったいないと感じた。
まず、確認したいの自分のステータスが知りたくなった。
「ステータスオープン」
声に出して言ってみたがステータス画面は出現せず。どうやってもステータスは確認することは出来なかった。能力値がわからない。となれば次は魔法だ、ちょうど良い木の的に対してなんとなくの魔法を唱えた。
「ファイヤーボール」
「ウォーターボール」
「サンダーボルト」
「まさか、魔法が使えない?」
知っている技名を唱えたが何も反応しなかった。まさか、異世界に転生したのに魔法が使えないなんて、少しショックだ。異世界に来たのに異世界らしいことは何もない。もしかて異世界に転移していないんじゃないか、現実世界の違う場所に移動しただけではないか俺は現実世界でこんな恥ずかしいをしていたんじゃないかと思うとどこか穴に入りたい。
一人で恥ずかしさに悶えていると、茂みから音が聞こえた。やっと人に会えると期待していると、茂みから何かが出てきた。声を掛けようとしたが、声は止まった、それもそのはず目の前にいるのは人ではなく、ましては俺が知っている動物でもない、見たこともない何かが俺の目の前に立ちはだかった。
そして現在に遡る、クマに近い姿だがクマよりも二回り大きく、爪は鋭く、一回での当たれば即死だと感じた。目の前にいるモンスターに対してどうすることもできない。
「もう第二の人生が終わるのか、こんなところで」
「諦めるしかないのか」
この状況に対しての対処方法は逃げることだが、明らかに逃げることは出来ない。迫ってくるモンスターに対してすり足で後ずさりすることしかできず、背中に木が当たった、これ以上は何もできない。腰が引け、膝から崩れ落ち、最後の抵抗で手を前に突き出した、それも虚しくモンスターが手を振り上げて俺の左肩から振り下ろそうとしていた。もう駄目だと思い諦めかけてとき、俺の体からブザーがなった。
『生命の危険を感知しました、対応を開始します』
俺の体から音が鳴った。その次の瞬間、俺の右手は大砲に変形しレイザーらしき光線が発射された。発射されたレーザーはモンスターの顔面を打ち抜き仰向けに倒れた。モンスターを倒したこと、自分の腕が対応に変形したこと、レーザーが発射されたこと、今起こったことが多すぎて情報が処理できなかった。
「一旦、落ち着こう。」
「てか、腕!」
落ち着こうとしていたが自分の腕が変形していることを確認しよう右腕を見ると、戻どうりになっていた。起こったことのほとんどを理解できなかったが、ひとまず危機を乗り越えたことに安堵していた。
少し落ち着いたところで街を探しに移動を開始した。モンスターを倒した後、他のモンスターと会うことはなく、何事もなく移動していると、少し前の方で戦闘が起こっていた。俺は移動中もレイザーがもう一度出現するか試していたが一度も発言することがなかった。そのため、少し様子を見ることにした。交戦しているのはモンスター一体、女性三名のパーティーだった。
「ジュリー、攻撃、敏捷を付与して」
「わかりました」
「パワーアビリティー、スピードアビリティー」
「ありがとう、ジュリー」
「シュア、回復魔法も準備しておいてね」
「わっっ、かりました」
短刀をもっている彼女に付与魔法をかけている。かけてもらった彼女はモンスターに目がけて突っ込んで行った。攻撃は決まり、モンスターは倒された。彼女たちはとても喜んでいたが、相手は俺が倒したモンスターよりも小さく大型犬程度の大きさのモンスターだ。少し残念そうなメンバーだが、連携はうまくいっているようにみえた。
しばらく眺めていたが少し動いた際に小枝を踏んでしまい、小枝を踏んだ音を聴いた彼女たちが俺の方を見て警戒した。それに対して警戒をといてもらうように茂みから出て弁解を行った。
「俺は怪しいものではありません、話を聞いてください」
「そんなこと信用できるか」
「装備も何もしていないものがこの森にいるはずがないだろう」
「新種のモンスターじゃないか」
警戒を解こうとしたが、更に警戒されてしまった。俺は再度彼女らの警戒を解いてもらうために、これまでにあったことをすべて話した。
その話を聞いて彼女らは少し相談したのちに、俺を町まで連れて行ってもらった。移動している間に詳しい説明をしてもらった。
「ここはチカ大陸のバレフスワ王国の領土だよ」
「四つの大陸の中で一番平和な大陸だよ」
「でも災難だね、着の身着のままで投げ出されて」
「あなた、さっきから話しているけど表情が全然かわらないね」
「なんか無表情で怖い」
「そうなのか、笑ったりしたりしてたけど」
彼女らに言われて疑問に思っていたが、鏡を貸してもらい自分の顔を見てみると以前の自分姿ではなく、まったく別人の顔になっており、表情も何もなく、表情筋がほとんど働いていないように見える。まるでアンドロイドのように見えた。
「なんだ……、これは」
「これが俺?」
もしかして俺は人間ではなくアンドロイドではないかと感じてしまった。俺が異世界に飛ばされて数時間しか経過していないがこれからのことに不安を感じながら街へと移動した。これから始まるセカンドライフはうまくいくのか……。
次回、女性パーティーなど紹介や転生後の世界などに触れていきます。