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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

心を通わせた二人が神の前で愛を誓い祈りを捧げるとコウノトリが赤ちゃんを運んで来てくれる世界の話

作者: たなか

「「神様、どうか私達の間に子どもを授けてください……」」


 愛し合う二人は頭を垂れて、神の前で寄り添い、真剣に祈りを捧げました。その言葉を認識した全世界統括管理高次元AIシステム『神』は演算と作業(・・)を開始します。


『両者の犯罪歴、既往歴のデータを照合中……問題なし。両者の家族関係を確認中……問題なし。現在の精神分析、及び健康状態の確認中……許容範囲内であることを確認』


『両者の精子・卵子バンクに保管されたゲノム情報を解析中……修正が必要な遺伝子を検索中……23件ヒット。重篤な遺伝疾患に関わるDNAの書き換えシークエンス実行中……書き換え完了』


『受精卵のゲノム情報をシミュレーション中……許容範囲内であることを確認』


「……神はあなたたちの愛を祝福します」


「まあ!! 聞こえた? アラン……」


「ああ……本当に待ち遠しいね、イザベラ……」


「乳児は300日後に配達専用ボット『コウノトリ』によって、あなたたちの元へ届けられます。数分後に配布される育児マニュアルを熟読し、知識を蓄え、理想的な子育てを行ってください」


「「はい! ありがとうございます、神様!」」



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 数百年にわたる戦争を経て、人間は本質的に支配を嫌い自由を求める生き物であるということを理解した『神』は、管理のしやすい箱庭と宗教を創り、彼らに仮初の選択権を与えることにしました。


 適切な処置を施すことで、『神』に逆らうという犯罪(・・)も減少し、反抗しようとする意志が芽生える病気(・・)への感染者もいなくなりました。


 今日も人々は神に祈り、世界は素晴らしい愛と平和に包まれています。

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― 新着の感想 ―
[一言] その神様、幸福は義務ですって言い出しそう
[良い点] 誰が『神』を作ったのか、いつから『神』は自我を持ったのか、"犯罪"と"病気"のない世界で文化や思想への影響はどれ程のものなのか……背筋がゾワッとしました。 ユートピアであり、ディストピアな…
[良い点] ルイズ様が知恵の実を持って、にょろにょろとやってきて、アラン様とイザベラ様のお口にねじ込んで逃げていきそうなんですががが…!
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