第6話「幼馴染の優等生」
ボム女が転校して来て数日。
何故か相変わらず懐かれている。
男として悪い気はしないが、あんな正気の沙汰ではない女は好きになれない。
みんなあんな奴受け入れ始めてるのすげぇよ・・しかも結構人気って。
「はよ〜!お前めぐちゃんに好かれてるんだろ。いいよなぁ・・・。しかも笑様と家が近所って環境やばすぎるだろ。」
そう、俺が声を掛けられて羨ましがられる原因はボム女だけではない。
杉原笑、最強の闇属性を持つ能力者。
そして超美人。
お陰でというかせいというべきか、俺はこの女が原因で将来一般人になることを考えている。
家も近所、同じ小学校に通っているのに、何も勝てたことがない。
そんな完璧な彼女は「笑様」と呼ばれ称賛されている。彼女とペアの浦並真梨絵を筆頭に悪役令嬢の如く囲いも多い。
「あ、お前のご近所さん来たぞ。」
噂をすれば・・笑と囲い達。
「おはようございます、笑様。」
「笑様、今日もお綺麗で。」
「笑様、今日もクールですね。」
だが俺は笑の唯一の欠点を知っている。
多分俺と浦並くらいしか知らない。
「おはよう。」
そう、彼女は人前が苦手な所謂コミュ障。
大人数いるとなかなか話せない為、勝手にクールキャラ扱いされている。
もっと嫌な奴だったら恨めたかもしれないが、囲われながら常に気を張っているのが大変そうで同情のほうが強い。
「しょ、省汰おはよう。」
こういう風に、たまに玄関で会うと少し目を反らして挨拶をされる。美人から挨拶されるのは光栄で嬉しいことだが、いつも後ろの視線が殺意に満ちているのが気がかりだ。
「笑、おはよう。それから浦並も。」
「おはようございます。」
俺はだいぶ浦並に嫌われている。
理由は分からないが、俺が笑の家の近くに住んでいるとかそういう理由だろう。
本当はもう少し仲良くできるといいけどな。
笑達に挨拶をしていると後ろから元気な声が聞こえた。
「省汰君おはよう!」