第56話「このままじゃ帰れない」
爽馬も合流したので、琢磨は事情を説明した。
「なんだよ、そういうことか。笑ちゃんが操られてたなんてな・・全然気付かなかった。」
「静かな笑にしてはよく話してたでしょ。違和感ありまくりよ。その場では合意したけど、すぐに琢磨に報告したってこと。・・それよりもさぁ・・さっきからずっと思ってたけど、二人距離近くない?」
ニヤニヤしながら指指して真梨絵は恵と遥の方を見た。
二人は顔を真っ赤にしてそそくさと離れた。
「あらあら。」
「真梨絵ちゃん、俺の弟をからかわないでくれよ。でも流石双子だな。俺も恵ちゃんに興味あるから、遥の気持ち分かるよ。」
琢磨も遥の方を見てにっこり笑った。
「ペアになったから励まし合ってただけだ。」
「そ、そうよ。それに私には省汰くんいるし・・・。」
「まぁまぁ、君達小学生なのにませてるね。とりあえず今は先生もいるから、若者の会話は後にして欲しいかな。愛内くんから聞いたけど、久能くんはまだ見つかっていないんだね?」
恵は俯きながら頷いた。
「分かった、ここから先は危ないから家に帰りなさい。久能くんと佐渡さんは先生の方で探すから。」
それを聞いた恵は形相を変えた。
「ふざけないでよ!今まで関わってきたのに突然帰れなんて、無理に決まってるでしょ!省汰くんのこと心配なんだから帰ったって休めないわよ・・・。」
恵はその場で泣き始めた。
帰った方がいいと頭では分かっているが、どうしても省汰を救いたい気持ちが強くある。遥はそれを察して恵の方に駆け寄った。
「先生。大人にも事情があると思うんですけど、俺達もこのままじゃ帰れません。学校に帰ったら先生のお手伝いたくさんします。だから、よろしくお願いします。」
西田先生はため息を吐いて、「降参」とでも言いたげに手を挙げた。
「はぁ・・君達の熱意に負けたよ。副校長に怒られる覚悟がたった今出来た。実を言うと本当は手を借りたかったからちょうどいい・・一緒に行こうか。」




