第37話「双子」
あの事件から俺達はかなり警戒態勢を取っていたが、驚くほど何もなかった。
ただ一つ分かったことは、先生達の前で例の事を報告しようとすると、忘れて報告が出来ないと言うことだけだ。
やっぱり記憶が操作されているんだろう。こんな恐ろしい能力なら笑達と張り合えそうなものだけど、そんな話聞いたこともないな。
しかも、彩夏ちゃんが登校した日も特に何もない。むしろ前回の一件から、彩夏ちゃん、恵、才羽、上田は仲良くなっていた。そんな事を考えていると、あの四人の会話が聞こえてきた。
「おはよう、今日も平和で何より。」
「おはよう、本当にね。もうあんな目に合うのは二度とごめんだわ。そういえばあれから何も無いの?」
「冷ちゃん、愛名ちゃん、おはよう。特に何もないよ。私としては二人とも仲良くなれたし、悪いことばっかりじゃなかったよ。」
「私も仲良くなれたのはいいけど、彩夏ちゃんが心配よ。」
「おっはよー!大丈夫、私が守ってやるわよ。彩夏のボディガードだしね。」
「恵、おはよ。恵が言うなら心強いね。」
一蓮托生ってやつなのか?女子はすごいな。
「おはよう、省汰。難しい顔してどうした?」
聞き耳を立てていたので、琢磨から話しかけられたことに気づかなかった。
「おはよう、考え事してただけだよ。」
「そうか、省汰は真面目だから少し心配になるな。そしてそんな君に朗報がある。俺の助っ人が他クラスにいて、彼が協力してくれるんだ。爽馬も面識があるから、後で紹介するよ。」
「そうなのか!他クラスにツテがあるの心強いな。」
でも普通は助っ人はだいたい一緒のクラスになるんだが、なんで他クラス?何か事情があるのか?
「あはは、君は顔に出やすいな。双子だから自動的にペアになったんだよ。一緒のクラスだと少し気まずいから別のクラスに分けてもらっているんだ。」
「なるほどな・・って双子なのか?!全然知らなかった。」
「実は爽馬も知らないことなんだ。あまり広めたくなかったけど、こうなった以上後でみんなに紹介するよ。」




