第33話「彩夏登場」
あ、あ、彩夏ちゃんだと?!
来るとは聞いてたけどこの衣装はまさか・・・。
彩夏ちゃんはケーキをテーブルに置くと、くるっと後ろを向いた。そして・・・。
「1,2,3!ハイっ!今日は2人にとって特別な1日!私たちが祝福するよー!とびっきりの愛を込めてフォーエバー!どんなに辛いことがあってもーみんな一緒だから前を向いて一緒にー!雨の日だって、嵐の日だって、乗り越えていけるからー!こんなに嬉しい日がずっとずっとずっとずっとずーっとーっ続きますようにーっ!ありがとう…私達と出会ってくれてー♡」
「いいよ、彩夏ー!最高!」
嬉しい、可愛い、一生聞きたい。
俺の為に彩夏ちゃんが歌って踊ってくれた・・最高だ。
「嬉しすぎて窒息しそう・・・。」
恵が目を細めて睨んでいる・・だってしょうがないじゃないか、推しに会えた時はみんな冷静じゃなくなるんだ・・・。
「サプライズは嬉しいけど、そこのアイドルさんは一体誰なの?」
爽馬は「そういえば」とでも言いたげに、彩夏ちゃんの自己紹介を始めた。
「こいつは彩夏。俺らのクラスの一人なんだけど、今はアイドル業に専念していて出席が少ないんだ。そんな感じだから変なやつに絡まれることも多いからさ、来てたら声掛けてくれよな。」
「もう、爽くん!余計なこと言わないでー!」
「悪い悪い、でも本当のことだろ?少しでも味方作っとこうぜ。」
・・彩夏ちゃんとは違うんだろうけど、俺もそういう経験あるから分かるな。特に一番下のクラスから来た奴なんてみんな面白くないし目付けられてるもんな。でも・・・。
「あーもうっ!そんな鬱陶しい奴私がぶっ飛ばしてやるわよ!だから彩夏、私を頼って堂々と出席しなさい。」
そうだ、恵は俺だけじゃなくて誰にでもこんな感じなんだ。鬱陶しいときもあるけど、心強いな。
「恵ちゃんって格好いい・・。ありがとう、仲良くしてね。」
こうして俺達は楽しいひとときを過ごせた。
心配なんてなかった、良い仲間に出会えて良かった。