第30話「パーティー当日」
あれからあっという間に当日になった。
本当に何もないことを祈るしか・・・。
集合時間より少し早く着いてしまいそんなことを考えていると、少し遠くから声がした。
「おまたせ!」
花柄のワンピースを着た恵が近づいてきた。また前のように腕を組んできた。この間までの距離感が愛おしい。
「お、おはよう。」
「嫌われてるかと思ったから、一緒に行こうって誘ってくれて嬉しかったよ。」
嫌う?俺が恵を・・・?
鬱陶しいと思うことはあっても、理由はどうであれ自分のことを好いてくれている子を嫌うことはない。
俺の能力も認めてくれている訳だし。
なんだか申し訳ないな・・・。
「勘違いさせたならごめん、別に嫌いじゃない。」
言葉では何も言わなかったが、ニッと笑い上機嫌になったのは分かった。案外可愛いところあるな。
そうすると、今度は例の2人が来た。
「おはよう、恵早かったわね。」
「おはよう、省汰。」
・・両方向に悪意感じるな。まぁ平穏に終わればいいけど。
「おはよう、真梨絵。あとそこの無表情女さん。」
やばいやばい・・笑が鬼の形相に。
「はぁ・・人様ん家で絶対争わないでよね。」
浦並も面倒くさいのか、呆れ顔になるだけで止める気配はない。今日は疲れる1日になりそうだ。
そんなことを考えていると、小走りで爽馬がやって来た。
「皆、おまたせー!何とか間に合ったー!今日楽しみすぎてあんまり寝れなかったよ。」
少し困り顔でニコッと笑った。
今まで険悪だった雰囲気が一気に変わった。流石天然人たらし。
「よーし、じゃあ揃ったところで出発だー!」