第25話「なんで俺」
怒涛のAクラス編入から数日経った。
仲の良い友達も出来て、以前いたクラスへの恋しさもだいぶ薄れてきた。
気になるのは、彩夏ちゃんは今日もいない。
アイドル活動の準備で忙しいんだろうな。
「はぁ・・早く本物の彩夏ちゃんと話がしたい。」
「おいおい、心の声が漏れてるぞ。まぁ、あいつも忙しそうだけどそろそろ会えるんじゃないか?」
苦笑いで爽馬がそう言うと、もう一人のクラスメイトが近づいてきた。
「やぁ、二人とも。楽しそうな話をしているね。」
爽やかな面で声をかけてきたのは愛内琢磨。
爽馬と仲が良かったからか、こいつともすぐ打ち解けた。
爽やかな面で学園のアイドルとして大人気のイケメンだ。
「省汰が彩夏に会いたいんだとよ。」
「なるほどね、俺が遠藤さんと話したい理由と同じかな?」
恵に興味があるのか、意外だ。
モテる奴だし、誰か一人に興味持つイメージがなかった。
こんなイケメンでも普通の男だと思うと少し安心するな。
「恵は普通に声掛けても大丈夫だと思うぞ。いつも抱きついてくるくらいだし。」
「逆に話しづらいよ、省汰以外には塩対応で有名だし。」
知らなかった、あいつもしかして本当に俺のことを・・・?嬉しいような、迷惑なような複雑な気分だ・・・。
「はいはい!俺、最近恵ちゃんと話す機会があって仲良くなったから聞いてくるよ。省汰が声掛けるより拗れないだろ。」
爽馬はニッと笑いながら言った。
いつの間に仲良くなったんだよ・・なんだ、このモヤッとした感じは。
「爽馬助かるよ、ありがとう。ついでに、「君に興味がある」と伝えてくれ。」
・・・はいっ?!?!
それ絶対告白だろ・・大胆すぎる。
「ダメ!俺も恵ちゃん狙ってるんだから、紹介だけ!」
「それは残念だ、では普通に紹介してもらおうかな。」
恵を取り合っている・・そんなに人気なのか、あいつ。
だとしたら何で俺なんか・・・。