第22話「自己紹介」
「おはよう、今日は編入生を連れてきたぞ。」
西田先生がにこやかに挨拶をしたが、とても歓迎ムードではなかった。コソコソ何か話している人もいる。耐えきれず隣を見たが、流石に堂々としていた。他校に乗り込んでくるだけのことはあるな。
「早速紹介する。久能省汰くん、遠藤恵さんだ。皆、仲良くするように。それでは二人とも、自己紹介と能力をよろしく。」
来た、自己紹介。まずは恵からだよな。
変なこと言うなよ。
「遠藤恵です。転校してきたばかりでまだ分からないことが多いけど、早く皆と仲良くなりたいです。能力は火属性、一緒の能力の人、話しかけてくれると嬉しいな。」
そう自己紹介すると周囲にニコッと微笑みかけた。
掴みが完璧すぎるし、美少女の自己紹介の後はきつい。これは早めに終わらせて・・・。
「遠藤さんよろしく、俺火属性だから教える!」
「遠藤さん、俺火の弱点の水属性だから弱点強化の練習付き合うよ!」
「遠藤さん、話しやすいね。恵ちゃんって呼ぶね!」
「恵ちゃんの炎の舞みたい!」
やばい・・自己紹介のタイミング失った・・・。西田先生何とかしてくれ!
「遠藤さん、早速馴染めて良かったね。」
・・訂正。信頼出来る先生だと思ったが、多分間違いだ。俺が自己紹介出来ず悩んでいることに気づいていない。
「先生、久能くんの自己紹介がまだです。」
人でも殺しそうな形相の笑が一言そう言うと、周りはシーンとなった。最悪の空気だが今言うしか・・・。
「えっと・・久能省汰です。時を止める能力です、よろしくお願いします・・・。」
俺の自己紹介は葬式のような最悪のムードで終わった。