第20話「別れ」
あの戦いの後、俺は恵にAクラスに編入するよう誘った。俺の心配とは裏腹に、
「省汰くんと一緒なら何処でも行くから!」
と気前の良い返事をしてくれた。
こいつと居ると良い意味でも悪い意味でも何とかなりそうだから怖い。
Dクラスにもすぐに馴染んでいたし、人間関係は問題ないだろ。
手続きに関しても、笑と杉並が手を回したのかスムーズに終わった。そして本当にあっという間に俺達はクラス編入の日を迎えた。
「指揮官、恵ちゃん。本当に行っちゃうんだな・・・。」
「省汰、恵ちゃん、クラスがばらばらになっても遊んでくれよ。」
「お前らがいなくなっても安心出来るように俺達頑張るからさ、向こうでも頑張れよ。」
「ありがとう、行ってくるよ。」
Aクラスに移動するだけというのに、まるで引っ越しでもするかのような別れの挨拶。
それは俺達の、Dクラスの絆の強さと、住む世界が変わることを意味していた。
「省汰、指揮官やってくれてありがとう!後は任せろ!」
「ありがとう、よろしく。」
その言葉に視界が滲んで、そう言うのが精一杯だった。俺にとってはこのクラスが全てだったから。でもこれからは違うんだ。
「省汰くん、これから頑張ろうね。」
恵の言葉に安堵した。
大袈裟かもしれないけど、隣にいる仲間と共に戦場に赴く気分だった。