第1話「これからの道」
犯罪が横行する現代、
科学は人工的に能力者を生み出す力を完成させた。
火、水、闇、地、時を司る戦士を生み出す技術。
ただし、どの能力者になるかは不明。
生まれる前に脳に特殊信号を送られた者は能力者となるが、勉強や運動等と同じように、個人の努力、才能によって強さが決まる。
そして、小学校から高校までの一貫教育の中で残れた者だけが、警察や自衛隊員となり国を守る。
だが、「国を守る」という感覚は彼らにない。
彼らはゲーム感覚で日々能力を高めあっていた。
これは、そんな彼らの日常ストーリーである。
俺の名前は久能省汰。最近小学6年生になった。
東と西にある能力者育成学校のうちの東に通っていて、A〜DクラスあるうちのDクラス。ちなみにお察しだとは思うが、Aから成績順になっている。
自分でも才能がないのは分かっているが諦めが悪く、中学の進路を迷っている。
続けてもどうせ落ちぶれて付いて行けなくなるのは分かっているし、実際、高校を卒業し、能力を活かして働けるのは1万分の1しかいないと言われている。ここのクラスにいる大半も普通の中学を選択する。俺もその選択をするべきなのは分かっているのだが・・・。
「はぁ・・・」
「どうしたんだよ指揮官、ため息ついて。」
「おう、まだ進路決めてなくて。」
「そっか、指揮官は意識高いから続けてもいいんじゃないか。中学で辞めるやつも結構いるしな。」
そう、俺がやめられない理由はこの指揮官という呼ばれ方にあった。
指揮官とはクラスをまとめるいわば学級委員のような役割である。俺は目立つことが好きで、自分で言うのもなんだが、指揮官には向いていたと思う。才能がないものが集まるクラスだが、みんなから信頼を集め、クラスをまとめた経験は自分にとってかけがえのないものだった。中学生になったら指揮官にはなれないが、このまま続けるのも悪くないと心のどこかで思っている。
「そうだな、ありがと。授業始まるからまたな。」
確かにこの中では意識が高い方かもしれない。俺がどこまで本気で向き合えるのか、俺自信まだ把握出来ていなかった。