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村長の力

騒いだ夜の後は静かな夜を過ごした。一人一つの個室を持って過ごせるのは豪勢なことだと感じた。もし一つの部屋に全員詰め込まれていたら、一人二人食われていただろう。蜥蜴のオネェに。


宴の気分が残されていたのか、いつもよりはやく起床した。窓を開けると外には剣を素振りするセラフィムと王鬼、槍を振り回すフリードとアルベルトがいた。


四人は元々武人なのか競うように振り回していた。それを眺めつつ、りんごのような食感の木の実をかじる。


いくらか汗を流した頃、彼らは共に武器を構え、模擬戦を始めた。初めは同じ武器持った者同士、それから素手での戦い、2対2のタッグ戦など、互いを高めあっていた。


彼らが日課を行い、十分に汗を流して井戸の方に向かっていった。それを見送っていると、ノックが打ち付けられた。


「村長さん、朝ですよ。朝食を食べませんか?」


声からしてバルトだ。少し眠そうにしていることがわかる声をしていた。おそらくはやく起きて朝食をつくっていたのだろう


「わかった。今いく」


窓を閉めて部屋の扉を開く。扉の前にいたのはバルトとサーラだった。


「そんちょーさん、いくです」


「あぁ、今いく」


サーラに手を引かれて食堂に向かう。サーラは昨日までそんちょーと呼んでいたが、今日になってさん付けになった。おそらくバルトの真似をしている。


「村長さんは席についてください。日課に向かったセラフィムさん達を呼んできます」


「あぁ、待ってるよ」


バルトが外に向かうと朝食を楽しみにしていたサーラも釣られて出ていった。よっぽどバルトのことを気に入っているのだろう。


食堂にはすでにライゼルとコボルト達がいて、ライゼルのお世話をマールがしていた。その隣でモルトともう一人のコボルトが眠りこけていた。


今日の朝食はなにかと楽しみにしていると、食堂の入り口からアッシュとワークマンが頭をかきながら入ってきた。二人はまるで二日酔いのごとくだるそうにしていた。


二人がそのまま席に着こうとすると、世話焼きのマールが二人に「顔を洗ってきなさい」と言って井戸の方に連れてってしまった。


それとは入れ違いにラビが入ってきた。


「そんちょー…おはよ」


「おはよう」


「ごはん…れす…」


ラビはうとうとしながらなんとか席にたどり着いて、コボルト二人組と同じく眠りこけてしまった。


これほど眠そうなのは昨日、遅くまで騒いだからではなく、起きるのが早すぎるからだ。時間は感覚としては朝の6時だ。もう少し寝ていても問題ないはずだ。


それでも起きてきたのはみんなが起きているからだろう。まだサイスが起きてこないが、全員揃ってないのでいいだろう。


あれからいくらか時間が経ち、朝の日課組が帰ってきて、おっさん二人とマール、寝坊のサイス、最後に料理を抱えたバルトとサーラが入ってきた。


出された料理は昨日の残りの魚と採取してきた木の実に香草でつくったソース、それから果実を搾った果実水だ。皿やコップは食堂を探索したら備え付けられていた。


「さぁ、召し上がってください」


バルトがそう言うと皆が好きなものを食べ始めた。私も「いただきます」と言ってから食べ始めた。


どれも1日で手に入れたものにしては手の込んだ料理が出てきた。ソースなんかも何種類かの植物が使われていることがわかる。


朝食を楽しみながら皆の様子を伺う。誰もが疲れた表情をしておらず、料理を楽しめているようだった。


料理を食べ終えると満足した表情で腹をさすっていた。


朝、起きてから考えていたことがあったので、システムウインドウを開いた。これはこのゲーム、この異界で使えるゲーム要素の一つだ。


もうあの世界に戻らないとはいえ、ゲームベースでこの世界に来たので、いくらかゲームシステムは残されている。


そこで忠臣達のステータスを除くことにした。


まずは王鬼から。王鬼は今のところ覚えたスキルはないが、不思議なものを見つけた。それは覚えられる可能性があるスキルというやつだ。


それをタッチしてみると、【気配察知Lv0.52】【集中Lv0.38】【剣術Lv0.77】【睡眠耐性Lv0.61】と表示された。


これが掲示板で書かれた続けていけば手に入るスキルだろう。武器を振り回せばその武器に関するスキルを手に入れられる。


今のところタッチしてもレベル不足で覚えることはできなかった。


今度はスキル枠をタッチしてみると無数のスキルが並べられた。ここからは好きなスキルを取得できるようだ。


スキルを1つタッチするとそのスキルの使い方やメリットデメリットを教えてもらえる。取得するにはスキル枠を消費するようだ。このまま取得してもいいが、スキル枠の手に入れ方がわからない以上、スキル枠は貴重なので今回は取得しない。


次はワークマンだ。彼はおっさんだが働き者だ。スキル枠をタッチして取得可能スキルをみる。【採掘Lv0.86】【木こりLv0.45】【気配遮断Lv0.12】【斧術Lv0.56】とあった。


一通り見終わると、全員の取得可能スキルを並べてみることにした。


王鬼

【気配察知Lv0.52】【集中Lv0.38】【剣術Lv0.77】【睡眠耐性Lv0.61】


ワークマン

【採掘Lv0.86】【木こりLv0.45】【腕力Lv0.74】【斧術Lv0.56】


アッシュ

【斧術Lv1.28】【木こりLv1.16】【腕力Lv0.63】【集中Lv0.55】


セラフィム

【漁Lv0.57】【紳士Lv1.38】【聖気Lv1.65】【剣術Lv0.43】


ライゼル

【嗅覚Lv1.22】【漁Lv0.37】【観察Lv1.41】【解体Lv0.73】


ラビ

【採取Lv1.30】【腕力Lv0.67】【観察Lv0.52】【脚力Lv0.69】


フリード

【斧術Lv0.54】【木こりLv0.31】【女子力Lv1.12】【槍術Lv0.22】


アルベルト

【漁Lv0.17】【魔獣使いLv0.93】【遠見Lv0.53】【槍術Lv0.50】


バルト

【魔獣使いLv1.29】【採取Lv1.45】【観察Lv1.03】【料理Lv1.52】


サイス

【採取Lv1.59】【観察Lv1.17】【採掘Lv0.42】【気配遮断Lv0.78】


これを見てわかることは取得可能スキルは四つまでで1.0を越えても取得しなければ生えてこないということだ。つまり、スキルの取得には村長である私が逐一チェックしなければならないのだ。

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