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ぬすっと物語4 いやがらせか

 おいらが聖なる獣についての考えを巡らせていると、ざわめきと共にちゃりんちゃりんという音が外から聞こえてきた。


 なんだ、このちゃりんちゃりんという音は。

 おいらは銀色の壁際に近寄り、壁を擦って暖める。


 おいらは同じ過ちは繰り返さない。

 おいらはしばらくこすこすこすと壁をこすった。


 おし、暖まった。


 おいらは耳をぴとっと壁にくっつける。


「おい、卵が銀色になってるぞ」

 ちゃりん。

「本当だ、どういうことだ?」

 ちゃりん。ちゃりん。

「神官様は何か言われてたのか?」

 ちゃちゃりーん。

「いや、何も言われてないぞ」

 ちゃりちゃりん。。

「何があったんだ?」

 ちゃりん。


 おいらがいる卵が銀色になったことで外側はざわついているみたいだ。

 ただちゃりんちゃりんという音がよくわからない。


 なんだ、このちゃりんちゃりんという音は?


 おいらはいったん壁から耳を離し、部屋の中をてくてくと歩いて回る。

 ちゃりんちゃりんは何の音だ?


 うーん、外の様子が見えたらわかるのに。


 ……。


 …………。


 はっ、見えるよ!


 ゴーレムアイを使えば、おいらには外の様子を見ることができるよ。


 おいらはゴーレムアイを使う。


 おし、外の様子が見えるぞ。


 おいらはてくてくと歩きながら部屋の外の様子を見た。


 ガン!?


 いた! 痛くはないけど、何だ!?


 おいらは目の前を手でぺたぺたと探ってみる。

 むむ、この固い手触り。


 これは、壁だ。


 ゴーレムアイで壁の外を見てたから、壁に気づかなかったのか。

 歩きながらのゴーレムアイは危険だ。


 おいらは顔をさすさすとさすり、気を取り直して外の様子を見た。


 おぉ、なんか人がいっぱいいる。

 取り囲まれているって感じだ。柵の向こう側からこっちを見てる。


 ちゃりん。


 ちゃりんと音が鳴った方を見ると、なんか丸い物が転がっている。

 なんだ? あれ。


 おいらは壁にはりついて外の様子をじっくりと見た。


 どうやら、ちゃりん、ちゃりんという音は、柵の向こう側にいる人たちが丸い物を投げているかららしい。


 物を投げてくるとは。


 これは、まさか……。


 おいらへのいやがらせか!?


 丸い物を投げておいらを追い立てようという作戦か!?


 おいらはいやがらせで投げられている丸い物を見る。


 んん?


 茶色が多いけど、たまに銀色もある。

 あれ、あの小さいのは金色?


 茶色、銀色、金色、丸い。


 ……。


 …………。


 はっ!?


 おいらは気づいた。この投げられているのってお金じゃない?


 お金は大事。


 そう、お金は大事。


 その大事な物を投げるとは。

 人がすることはよくわからない。


 ただその大事なお金を投げてくるということは、いやがらせじゃないのかもしれない。


 じゃあ、なんのために投げているのだろうとなるが、よくわからないな。


 おいらは壁から離れて、おなかの袋からノートを取り出して書いた。


 ちゃりんちゃりんはおかね。

 おかねはだいじ。

 なぜ、なげる?


 おいらはノートを見ながら首をひねった。

 やっぱり、なぞだな。

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