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ぬすっと物語14 ころがる

 ちゃりん。

 ちゃりん。


 むむぅ〜。


 ちゃりん。ちゃりん。

 ちゃりん。


 おいらはむくりと身体を起こし、目を両手で擦る。


 大きく背伸びをして、大きなあくびをした。

 勢いあまってそのまま後ろにこけた。


 ちゃりん。

 ちゃりん。ちゃりん。


 ちゃりんちゃりんと聞こえてくる。

 もう朝なのかな?


 おいらはゴーレムアイを使って、卵の外の様子を見てみる。

 おわ、人がいっぱいいる。


 卵の外は結構明るい。

 もう朝じゃなくて、昼が近いのかな?


 ぐぅ〜。

 おいらのお腹の音が聞こえてきた。


 お腹空いた。


 でも、おいらは食べ物を持ってない。

 赤い果物はもう昨日食べちゃった。


 おいらはお腹の袋の中をまさぐるが、食べ物はない。

 金色のお金を取り出してみる。


 かじってみた。


 うん、やっぱり、食べられない。


 ぐぅ〜。


 おし、また食べ物を探しに行こう。


 おいらはゴーレムアイで外の様子をもう一回見てみる。

 昨日と同じくらい人が多い。どのタイミングで外に出たらいいのだろう。


 ぐぅ〜。


 おいらのお腹の音が聞こえてくる。


 昨日も気付かれなかったし、今日もゆっくりと外に出たら大丈夫だよね?

 おいらの姿が見えなければ、多分気付かれないはず!


 見えなくなーれ。


 おいらの姿が銀色の壁に映らなくなった。

 おし、これで行ける。


 おいらは扉に手をかけて、ゆっくりと開ける。

 音がならないように、ゆっくりとゆっくりと開ける。


 ちゃりん。

 ちゃりん。


 お金の音も聞こえてくるから、気付かれていないはず。

 おいらはそっと卵の外に出て、卵の扉を閉めた。


 問題はここからだ。

 昨日は、お金に滑って落ちて大きな音を立てちゃったから、気をつけないと。


 おいらは、卵の置かれている台をすーっと降りていく。

 こけないように気を付けて、と。


 できるかな?


 そうだ!

 こけないように、最初から転がっていけば良いんだ。


 おいらは横に寝転がり、両手と両足をピンと延ばした。

 おいらは広間の外に向かって転がっていく。


 ころころころ。

 チャリチャリ。

 ころころころ。

 チャ、チャリ。


 なんか、チャリチャリ聞こえてくる。

 大丈夫だよね?


 おいらはそのままころころころと転がる。

 チャリチャリ。


 しばらく、ころころころと転がると広間の端の方まで近づいた。

 端の方だとお金がないのでチャリチャリと鳴らない。


 おいらは、ぴたりと止まり、さっと起き上がる。


 ぐぅ〜。


 お腹が空いた。


 とりあえず、厨房に行こう。

 おいらはたったたたったと走って厨房に向かった。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 昨日と同じように赤い果物をもらおう。


 おいらは厨房の中に入り、赤い果物が入ったカゴを探す。


 きょろきょろと厨房の中を見る。


 あれ?

 おかしいな、ない。


 昨日はあったのに……。


 ぐぅ〜。


 おいらは何を食べればいいんだ。

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