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「私とお付き合いしてください」

 アイの衝撃告白で、俺はフリーズした。


【朗報:俺氏、告白される。しかも、AIに……】

 このスレは、燃える。色んな意味で……。


 そうか、まだ起動したばかりで、日本語が不自由なんだな。

 きっとそうだ。


 たぶん、「不束者ですが、よろしくお願い致します」的な意味だな。

 挨拶なんだ、そうに違いない。


「えっと、お付き合いって?」

 俺は、聞きなおしてあげた。


「男女交際ですけど?」

 AIさんは、シレっとそう言った。


「のおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 AI半端ないって。

 この人、日本語ペラペラだよ。

《男女交際》なんて、そんなんAIが言えへんやん、普通。

 言えるなら、言っといてやー。


 俺は、ひとりで脳内コントを繰り広げた。


「あの、大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です」

「本当に?」

「はい、あれはペンです」

「完全にダメじゃないですか」

 

 おわかりいただけただろうか?

 このAIさんは、俺の淡い期待を簡単に打ち崩した。


「あの、どうして、俺なんですか?」

「一目惚れです」

 あー、一目ぼれね。

 知ってるよ、たしかギリシャ神話とかの世界の概念だよね。

 さすが、最新AIさんは賢いな。


「俺に一目ぼれ!?」

 そんな神話世界だけの概念のはずが……。

「はい、ゾッコンラブです」

 彼女は自信満々にそう言った。

 俺は眩暈をおぼえるのだった。


 そして、この仕掛け人は……。

「教授めえええええええええええええ」

 俺は、怒りの悲鳴をあげた。


 教授の連絡先に電話をかけようとするも……。

「《お父さん》なら、夕方からアメリカに行ってますよ。たしか、国際学会で二週間は向こうです」

 AIさんは、無情な言葉でその事実を俺に伝える。


「はかったな。あのマッドサイエンティストおおおおおおお」

 これで、俺は完全に逃げ場を失った。


「というか、今、《お父さん》って言わなかったか?」

「はい、教授は私をつくった人なので、《お父さん》って言いなさいと言われました」

 あの変態おやじは……。


「なので、中村さん。不束者ですが、末永くお世話になりますね。どうぞ、私のことは気軽に、アイって呼んでください!」

 

 教授からメッセージが届いていた。

 なんだ、ちゃんと気にしてくれてるのじゃないか。

 あんまり、心配させないで欲しいものだ。


 アプリを開くと、そこには一言だけ書かれていた。

「止まるんじゃねえぞ」

 もう嫌だ、この親子……。

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