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㉚
「ここは……」
俺は息をのみこんだ。
データ上の存在だったアイの部屋がどうしてここに……。
「ここは、アイの部屋なんですか?」
俺は教授に聞く。
教授は少しだけ頭を横に振った。
「いや、ここは私の娘、愛の部屋だよ」
そう言って、教授は部屋の扉を開いた……。
そこには……。
かわいらしい女の子の部屋が広がっていた。
ランドセルや調度品をみるかぎり、部屋主はだいたい小学生くらいだろうか?
「どうして、娘さんの部屋を?」
俺は聞く。
「マナはね。アイなんだ……」
教授は重い口を開きはじめた。
「おぼえていないかね。中村くん? マナのことを?」




