㉗
そして、俺は再び「夢の国」へと到着した。
二日連続、三回目の夢の国。
「やったー。夢の国!」
アイはひとりで、喜んでいる。
昨日は別の女の子とここでデートして、今日は美少女AIと遊びに来る。
この状況、完全に俺は男の敵である。
「先輩、なに浮かない顔をしているんですか? 今日は一緒に楽しみましょうよ。昨日のことは忘れて」
もう、俺のライフはゼロだよ……。
※
「ところでさ、アイ。来たのはいいんだけど、アミューズメント施設ではスマホ禁止じゃないのか?」
「それくらい知ってますよ。だから、一緒にショーやショッピングを楽しみましょうよ」
アイは、そう言って微笑んだ。
「さあ、行きましょう」
いないはずのアイに、手を引かれている感じがした。
※
「先輩、これなんてどうですか?」
売店にあったピンクのドレスを指定してアイは叫ぶ。
「いいんじゃないか~」
俺は、適当に答えた。
「じゃあ、着てみようっと」
アイはルンルンにそう答えた。
彼女は少し画面からフェードアウトすると、ピンクのドレスを着て再登場した。
その姿は、とても、とても……。
「あれれー先輩どうしたんですか? 変な顔で黙っちゃって」
「う、うるせー」
「もしかして、見惚れちゃったんですかね? かわいいー」
「おまえ、そんな機能あったんだな」
「ごまかし方がわかりやすすぎますよ。まあ、最新AIなんで~」
「おい、次行くぞ」
「先輩? なにか忘れていませんか?」
「えっ?」
「せっかく、女の子ががんばって着飾ったんですよ。一言くらい感想が、欲しい、かなって」
俺は少しだけつばを飲んで、アイに対して口を開く。
「とってもかわいいよ」
アイは満面の笑みを浮かべた。
これまで見た中で、最高の笑顔だった。
「ありがとうございます! 先輩! 大好きです」




