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 俺は、スマホへダイブすると、アイが起動する前に即座に、電源を落とした。

 アイに武田の来訪を知られるわけには、いかないのだ。


 もし、知られたら……。


 俺は、明日にはネット社会で抹殺されているだろう。


 もしかしたら、アイは気がついているかもしれない。

 しかし、まだごまかせる。

 まだ、間に合う。

 きっと、大丈夫だ。


 俺はそう自分にいい聞かせて、スマホをそっとしまった。


「お待たせ~」

 そして、そそくさと武田のもとへ。

「大丈夫。なんかすごい音したけど」

「大丈夫。大丈夫。最近、運動不足だから、すき間時間を見つけて運動しているだけだから」

「えー、怪しい。もしかして、大人な雑誌とか隠していたんじゃないのか?」

「ソンナモン、アルワケナイジャナイデスカー」

 いえ、もっと危ないものです。


「ふーん、まあいいか~それじゃあ、お邪魔します」


「意外と片付いてるんだね。おとこのひとり暮らしなのに」

「だろう。俺、意外と家庭的な男なんだよ」

 ひとり暮らしだとは言ってない。

「それじゃあ、遊ぼうよ。ゲームとかないの~?」

 そう言って、武田は物色をはじめた。


「じゃあ、switchやろうぜ」

 おれたちはゲームに興じた。


「ちょっと、それ反則でしょ」

「オフホワイト」


「男なのに、手段が汚い」

「ゲームに男女は関係ない」


「きたああああ。ゴール前で、赤甲羅!」

「嘘だ、こんなの認めないぞ」


「楽しかったねー」

「そりゃあ、ぶっつけで、三時間も遊べばな」

「お腹空いたね~」

「じゃあ、ご飯でも食べに行くか」

 おれは提案する。


「あれ、本当に昨日のメール見てないんだね」

「えっ」

「ご飯作ってあげるよ! 台所借りるね」


(神さまありがとう)


「ご飯作ってあげるよ!」

「ご飯作ってあげるよ!」

「ご飯作ってあげるよ!」

 女子が遊びに来て、ご飯を作ってくれる。

 当たり前じゃねえからな、この状況。


 おれは至福の瞬間を味わっていた。


 そして、現実に引き戻される。

「ねえ、携帯なっているよ」

「おー」

 ん、携帯?

 携帯?

 ケ・イ・タ・イ?


 禍々しいバイブ音が部屋に鳴りひびいていた。

 当たり前じゃねえからな。

 当たり前じゃねえからな、この状況。

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