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アイとの共同生活も二週間が、経過した。
そして、ついに今日は教授の帰国日だ。
俺は、空港まで遠出して、教授を待ち伏せた。
今日は絶対に逃がさない。
「いよいよですね」
なぜか、俺を嵌めたアイまでなぜだか緊張している。
「どうして、アイまで、緊張しているんだよ」
俺はツッコむ。
「だって、彼氏を、親に紹介するんですよ。緊張しないわけが……」
俺は無言の怒りをぶつけた。
だいたい、この変人親子はどうして発想がぶっ飛んでいるんだ。
親は大事な説明をしないまま、子どもを押しつけて海外逃亡するし……。
娘は、会ってすぐに告白し、押しかけ女房状態……。
これ、なんてラノベ?
「絶対に文句言ってやる」
俺は固く決心していた。
「もー、先輩ったら、そんなに緊張しないでくださいよ。大丈夫です、お父さんも許してくれますよ」
ああ、画面上の存在でなかったら、絶対に殴っている。
空港の入国ゲートから、ひとがどんどん出てきた。
ついに、この時は来た。
「あっ、あれじゃないですか? おーい、お父さん。こっちだよー」
アイは元気よく、教授を出迎える。
周囲の目を気にせずに……。
もう、俺のライフがもう尽きかけているんですが……。
周囲の目が痛い。
「おお、アイに中村くん。わざわざ、出迎えに来てくれたのかい?」
教授は、無垢な笑顔で喜びを表現する。
ああ、なんて紳士的な笑顔だ。
「出迎えなわけがあるかあああああああああああ」
俺は空港で、絶叫した……。




