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 俺たちは、花火を見ていた。

 場所は、俺たちの部屋だ。


 金魚すくいが終わった後、アイは「突然帰りましょう」と言い出した。


「どうして?」

 俺は聞く。


「花火は部屋からでも見えますから」

 彼女は曖昧にそう言った。


 そして。俺たちは部屋に移動した。


「うわ~、きれい」

 花火は、高く打ち上がり、きれいな華をさかせて、消えていく。

 何度もそれが繰り返されている。


「わたし、生の花火ってはじめてみました!」

 そりゃ、そうだろ。

 おまえは、生後何ヶ月なんだろうからな。


 俺は、そんな無粋なつっこみをのみこむ。

 

 絶対に余計なセリフだ。


「なら、お祭り会場で見ればよかったのに。そのほうが、もっと近くできれいにみえただろう」

「それも、そうなんですけどね……」

 恥ずかしそうにはにかんでいる。


「花火だけは、先輩とふたりっきりで見たかったんですよ……」


 ※


 さっきの会話のせいで、先輩は恥ずかしそうにうつむいている。

 花火はきれいに空を彩っていた。


 ふたりだけの、部屋は沈黙に包まれている。

 でも、それは居心地の悪い雰囲気ではなかった。


「ねぇ、先輩。どうして、私が金魚を欲しがったかわかりますか?」

「どうして?」


「金魚なら、お祭りが終わった後でも、先輩と一緒に眺めることができるからです」

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