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「とにかく、ごめん。許してください」

 俺は、アイにひら謝りし続けていた。


 アイは少しずつ機嫌がなおってきた。


「わかりました。なら、今回の件は、私の誤解ということにしておきます」

 よかった。

 これで解放される。


「でも、ひとつだけ、条件があります」

「えっ」

 嫌な予感がする。


「条件って、なに?」

 俺はおそるおそるアイに聞く。


「簡単なことですよ~」

 アイはいたずらっ子のような笑顔になった。

 ますます、嫌な予感がする。


「今度の週末、私とデートしてください!」

「はい?」


「恋人のように、私とデートしてください!」

 アイは顔を赤く染めていた。

 その表情を見ると、少しだけドキっとしてしまう。


 俺は、黙ってうなづくことしかできなかった……。


 ※


 先輩は眠ってしまった。

 バイトと私の尋問で疲れ果ててしまったようだ。


 我ながら、少しやりすぎてしまったと少しだけ反省する。

 それに……。


「ちょっと、強引すぎたな~」

 いくら先輩とデートがしたかったからと言って、やり方が強引だった。

 先輩じゃなかったら、たぶん通用しなかった。


「でも、先輩の顔、キョトンとしておもしろかったな~」

 あの顔を撮影できなかったのが、今回最大の失敗だ。


「デートか……」

 生まれてからはじめてのデートだ。

 それも大好きな彼と一緒だ。

 

 気色の悪い顔になっていると自分でもわかる。

 彼が、眠ってくれてよかった。


 週末まで、私は世界で一番幸せな存在だと思う。

 彼の寝息が聞こえる。


 それが、とても愛おしかった。

「先輩、大好きです」


 彼と顔を合わせて言う時は、ふざけてしまうのに、ひとりきりの時はちゃんと言える。

「わたしって、本当に馬鹿だ」

 

「楽しみにしていますからね。先輩」

 聞こえないとわかっているのに、私はそう言って自分の電源を落とすのだった……。

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