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JKふらり旅第2話

『おーい、おんたらぁ。どう、なにか分かったぁって……なぁに泣かしてんだいあんたらァ!!』

「●、●▲⊂!?」

『言い訳は聞かないよ、とりあえず外出(そとで)なぁ!!』

「「ڡ□、▽▼灬♀△ΣΣ!?」」


 いきなりドアが開いて、エプロン姿の二足歩行するトカゲが来たかと思ったら、一喝して兵士(仮)さんたちを外に放り出した。え、なんなのこれ。

 というか。


「トカゲの言葉が分かった……!? …………はっ、そうか! 私実はトカゲになってたのか!!」

『ははっ、お嬢ちゃん、トカゲはないよ、トカゲは。あたしゃ誇り高いドラゴニュートなんだから、トカゲ野郎(リザードマン)なんざと一緒にするんじゃないよ!』


 また喋った!!そして通じてる!?

 やれやれだぜ、とでも言いたげに肩をすくめるトカゲ野郎改めドラゴニュート?さん。関節どうなってるんだろう。


『まあそんなことよりも、だ』

「? なにか、問題でも……?」


 笑っていたかと思えばコロッと真剣な顔つき(おそらく)になった。つられて私も意識を切り替える。

 色々あったけど、これが初コミュニケーション。とちるわけにはいかない……!


『着替え、いるかい?』

「着替えですか?」


 はて、どういうことか。私の服装に何かもんだいあった…………あっ。


「ください……」


 お漏らししたの、頭から消えてました。やめてそんな目で見ないで恥ずか死んでしまいますごめんなさい。


 ※ ※ ※ ※


 顔を真っ赤にして固まっていると、目の前に服が差し出された。綺麗な薄緑の鱗で覆われた爬虫類っぽい手。そこから辿ってみると、着替えを取ってくると言って出ていった人だった。

 ……爬虫類の顔とか判別できないけど、たぶんおそらくきっと同一人物だと思う。


「あ、ありがとう、ございます……? えっと、さっきの人、ですよね?」

『ああそうだよ。人族にゃあたしたちの違いは分かりにくいらしいからねぇ、気にすることはないよ』


 あってたらしい。よかったよかった。

 さて、おしっこで濡れてる服なんて着ていたくないし、着替えたいのだけど……。


 チラッチラッと視線をやって、アピール。私着替えたいなー、人がいると着替えにくいなー、みたいな感じを出してみる。

 よく分からないのか、はてなマークを頭に浮かべるドラゴニュートさん。

 顎に手をあてて首を傾げる。


『あぁ、着方がわからないんだね、あんた! しょうがないね、あたしが教えてあげるよ。ほれ、さっさとその妙ちきりんな服脱ぎな』


 勘違いされた。


『……脱がないのかい? よし、あたしが脱がしてあげるよ!』


 悪化した。


 というか、え、何を言ってるんだこの人は。

 そう思っても、戸惑っていて何も言わなかったからか。するするっと服を脱がされた。

 流石に、待ってと暴れて抵抗しようとしてみるも、難なく鎮圧された。この人、(力)強い……!!

 抗えぬのなら楽しむのだ、っておじいちゃんが言ってた。

 だから、私も誰かに着せ替えされるなんて久しぶりのことだったし、調子に乗ってあーれーなんて言ってみた。くねくねしながら上を脱がされ、ジャンプしながらスカートを剥ぎ取られた。

 それから、質の悪いゴワゴワしたタオルで体(特にお股)を拭かれ白い、これまた質の悪いゴワゴワした貫頭衣を頭から被せられた。


 ……………………何をしてるんだ、私。



 ドラゴニュートさん。

 長い。しかも話し方的に、これ名前じゃなくて種族名みたいなやつだよね。呼びにくいし。そして名前知らないや。

 よし聞こう。


「あの、私、海山ソラ(うみやまそら)っていいます。17歳で、JKしてますっ、ソラって呼んでください、きゃはっ」

『…………あたしはノヅさ、よろしくね』


 流された!なかった事にされた!そんなに私の自己紹介は痛かったのか、そうなのか!?今年進級したときにやったときは大ウケしたのに!


 …………嘘ですみんなドン引きしてました。



 そんなことは置いといて。

 今私、会話が出来てる。なんて言ったらいいんだろ、言葉が通じて会話が出来る。ただそれだけの当たり前が、すごいうれしい。

 でも、何を話せばいいんだろうか。少し考えればすぐ分かるけど、兵士(仮)さんたちはコスプレしてる外人さんたちで、トンネルの先に道が無くなって森になってた。なんて設定で、無理はあるけど、ギリギリ納得できる。

 けど。けどさ!直立二足歩行するトカゲVer.会話可能エプロン付きとか、説明のしようがないんだけど!!


『それにしてもあんた、なんだってこんなとこにいたんだい? あいつらの話じゃ森んなかでふらふらしてたって言うじゃないか。冒険者かなにかかと思ったけど、それにしては見たことない生地の服や道具を持ってるしねぇ』

「え、えへへ……。なんででしょうねー……」

『ドンウ語も話せないみたいだし、お貴族様でもなさそうだしねぇ』


 服を触ったりじっくり見ながらノヅさんにそう言われた。

 って、それ、私のアレが染み込んでるからそうまじまじと見られたりすると恥ずかしいんですが。え、私の身元が不明で怪しい上に本人が挙動不審だから持ち物検査?

 ……返す言葉もありません。


 ひと通り、ノヅさんが私の物を調べ終えた。


『うーん、やっぱりあたしの知らないものしかないねぇ。…………ねぇあんた、一体何者だい?』


 うーん、と首をひねる。ここはなんて言うべきなんだろうか。私自身よく分かってないのに本当のことを話しても分かってもらえるか分からない。

 かといって辻褄の合ってる嘘をとっさにつけるほど私は頭回らないし。


 どうしよっかなぁ。


「なんか気づいたら居ました! ほかのことはわかりません!」


 正直に言ってみた。


『あんた……』

「あっ、そんな目で見ないで!? ほんとに何もわかんないだけなんですよお!! しーんーじーてーくーだーさーいー」


 さっきの兵士(仮)さんたちみたいに襟を掴むのは、見た目が怖くてできないからその場で地団駄踏む。


 私を見る目が見知らぬ不審者へのそれからアホの子を見るそれに、完全になった。

 なんでわかるか?初対面の人によくやられるからだよ!


『はぁ……。どうやら言葉は通じても意思疎通は簡単にはできなさそうだねぇ……』



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