襲撃開始
大隊への挨拶から一カ月、まさに恐れていた事態が起こるのだった。
東京にて、
「ねぇねぇ、今度どこ行くぅ?」
「ううん、どこ行く?」
「質問に質問で返すな!」
男女が他愛無く話をしている。すると、そこへ何やら大きな叫び声が響く。
「……ろー。逃げろー!」
何事かと、声のする方向を向くと、何やら、黒い大きな塊がこちらへ向かってきて、声の主だろう人を飲み込んだ。
「ん? あれって……。おい! あれって、異獣の大群じゃないか!?」
「異獣って何?」
彼の方は異獣がいかに恐ろしい存在かを知っていた。そのため、彼女の方を連れて、走った。その次に、鳴り響くサイレン。地獄が始まった。長い長い地獄が。
アルテミス大隊専用作戦本部。
「現状を説明する。現在、アメリカ、インド、ロシア、日本、中国、ブラジル、エジプト、南アメリカ共和国にて、異獣が大量発生している。加えて、アメリカの大統領、クリス・ホワイト氏がホワイトハウスに拘束されている。」
現状悪いな、おい!しかし、言葉に出すわけにもいかず、
「では、とりあえず、大統領の救出を最優先にしますか?」
まあ、妥当だろう。
「いや、大統領救出は私が行う。新編成したてのお前たちにこのような大役は任せられん。」
ええと、大役任せるためにこの隊を作ったんじゃないでしたっけ?
「では、私たちは何処に?」
「日本だ。あの国には軍がない。お前たちが行ってやるのがいいだろう。」
「……了解しました。」
「早く運べ! 各々好きな武器を持っていくんだ。」
この隊には好きな武器を使わせている。規制が掛かっていないものだけ使う、が唯一のルール。
「ん? お前、なんで剣なんか持っているんだ!」
目についたのはおおよそ三十そこらの男性。剣を腰にぶら下げ、強化装甲を着ている。まるで、武将の様だ。
「ぬ、こやは刀ではなか。刀と言もす。」
こ、これは、薩摩弁だ!かの戦闘民族、島津さん一家を輩出したりする、言わずと知れた日本の一県。
「ん、お前って鹿児島の人か?」
「ええ、そん通いです。いやぁ、日本人がいて、おいは嬉しかぁ。」
ふふ、個性派揃いか。面白い、やってやろうじゃないか!まあ、まじめにやんないと、死ぬ仕事だしな。……そう言っても、大丈夫だろうか、この部隊。