戦車への失望
すいません!投稿ミスで、先に第七部を投稿してしまいました。今後、このような事の無いよう、心がけますので、どうか、御容赦願います。
初対面だというのに最悪の言葉使い。加えて、最悪な態度と身なりで登場した戦車殿は、いかにも機嫌が悪そうに見える。
「だから、言ってんだろぉがぁ! 聞こえねぇのかぁ?」
さすがに、レイア将官はガッカリするだろう。という訳で、報告を始める。
「レイア将官殿、エイブラムスは、今やただの酒臭い中年のおっさんです! 言葉使いも最悪。こんな人材が今、本当に必要なんですか!?」
少々の怒りが入り混じった二言。レイア将官は、自分を諫めるように、
「まあ、待て。そいつだ。とにかく連れてこい。彼とお前たちが、今は世界の希望だ。」
世界の希望?レイア将官、何を言っているのだろうか。
「いや、あの、希望というのは?」
レイア将官はすぐさま答えた。
「異獣の集団行動が見られた今、異獣たちは集結しつつあるというのが研究者の見解だ。異獣が本気になって攻めてくるのなら、こちらも最強のチームで対抗するしかない!」
そうか、そういうことだったのか。と、槍次はようやく理解できた。一〇五中隊からの転属。エイブラムスの捜索。全て――まあ、二つだけど――
つじつまが合った。
「槍次、こういうのはあまり好きではないのだが、エイブラムスに代われ!」
レイア将官がお怒り気味の様。
「おい、エイブラムス! 機構のレイア将官殿からだ!」
エイブラムスは通信機を奪い取るように、実際に奪い取って、
「おい、なんだ! 尼ぁ! こちとら、もう、戦場はうんざりなんだよ!」
酒臭い彼のまっとうな言葉。さすがにこれには反論できまい。
「おい。」
レイア将官の声が低く、重くなった。
「私だけじゃない。今お前を必要としているのはこの世界に住む全ての人々だ! お前の都合で事を決めるなど、断じて許さん! 世界の命が掛かっているのだ。その重さが分からないやつではないだろう、ブラスト〇一!」
……ブラスト〇一。この名は、世界で誰一人として知らない社会人はいないほどの知名度を誇る名だ。この名にあこがれて機構に入った者もいる
くらいで、実際に、自分がそうである。
そのブラスト〇一がこの様だ!まったく、この世は諸行無常。あの英雄が、今や酒の匂いしかしないおっさんとは!
「ううむ、あまり感情的になるのは気が退けるが……。」
レイア将官、激しく同意いたします!心の中でそう呟く。
「いいか、よく聞け。お前には義務がある! これは将官としての命令だ! 軍人ならば命令順守! 解ったな!」
通信機が切れた。そこに唖然とした青年と中年とホテルの受付。
最悪に悪い空気の中で、エイブラムスは一度、詳しく話しをしてくれ、と言い出し、槍次は自分の部屋に案内することになった。
槍次は今までの経緯をすべて簡潔に説明した。と言いつつも、槍次も特に詳しいことを聞かされていないため、エイブラムスからの質問にはそれ
ほど多くは答えられなかった。