始まりを告げる咆哮
この物語は実在の団体や兵器を扱っていますが、事実とは異なります。
始まりを告げる咆哮は突然やってきた。
「緊急事態発生!警備隊は至急、正面玄関に集結せよ。」
緊急事態宣言。ヒール社の中に突如として鳴り響く警報。窓から外を見て驚く同僚たち。
何があったというのだ?
「おい、いったいどうし…。」
私は、そう言いかけ、窓を見た瞬間、顔から血が退いた。玄関では、見たことのない大きさの狼、鷹、ゴリラが警備隊と交戦している。あれはなんだ。嘘だろ。などと、驚きを隠せずに声を上げる同僚たち。
その時は、夢でも見ているのかと思った。しかし、それは違った。あの巨大な獣たちが駆除された後、国連はあの獣を異獣と名付け、度々現れては人を襲う異獣への対処として、異獣駆除国際法を定めた。
四年後、私の家族はいたって普通だった。あの機構が創られるまでは。
異獣駆除の指令を受けた組織、異獣駆除機構によって、私は息子二人を連れていかれた。いや、正確には彼らから行った。しかし、それからというもの、息子たちと十年も会えなかった。しかし、結果的には、息子たちに助けられることになる。
そう、それは今から少し前のことだ。