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勇者になってもいいですか?  作者: 新城ミキヤ
第一章 異次元での冒険、始めていいですか?
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第一章5話 剣の扱い、経験していいですか?



「でりゃァァァァァァーーー!!」


 大きな剣を持って大きく振りかぶる村の人。


「ふう。これで10匹目だね。」


 俺と阿左美を含めて五人のパーティー。そのうちの三人は先程の店にいた腰を振りながら『やらないか?』と言ってくる男性。そしてその男性の友達だ。


 『やらないか?』と誘う男性(腰振り野郎)五十川達也(いそかわたつや)。特徴、それは黒い髪に黒い目。そして身長は俺よりも少し高い。


 達也友達の一人である男性、浜中翔太(はまなかしょうた)は男とは思えないくらいの少し長めの赤髪に鋭い目つきを持っている。


 そして達也や翔太の友達である女性、高松和菜(たかまつなずな)。ストレートな金髪で、赤い瞳をしている、美しい女性だ。


「これで俺のレベルも2になりました。ありがとうございました。」


 正直、あまり強くなったとは言えないだろう。だが、俺からしたらなれない剣の扱い方、そしてモンスターの情報を知ることもできた。


 そして、剣を使っていたらゴーレムなんて怖くない。少し前に自分が苦労していたのが、本当に嘘みたいで馬鹿みたいだ。


 ちなみにゴーレムの強さはDだ。だから俺一人で倒せる相手となる。


「どうだ?以外と難しいだろ。・・・いつか俺たちは強くなって、魔王を倒す日が来るのかもしれない。その時まで、お互い頑張ろうな!」


「はい!」


 そして俺たち5人は更に奥へ進んでいく。薄暗く、きみの悪い森の中だが、まだお昼くらいだから、全然明るい。


 そういえば、まだお昼を食べていなかった。


 絆のお腹から、恥ずかしいが『ギュルルー』っとなる。それに気づいた和菜は


「そろそろ、お昼にします?・・・誰かさんはお腹が空いているようですし。」


「すみません・・・」


「良いのよ!遠慮しなくても大丈夫だから!」


 そう言ってカバンから出してくれた料理。どうやらサンドイッチだ。


「やばい、美味そう!」


 大きな木の下で俺たちはサンドイッチを持つ。柔らかいサンドイッチの生地、そしてレタスや卵などが挟んでいて、持っただけでおいしい料理だと確信できた。


「「「いただきますー!」」」


 張り上げた声を揃え、俺らはサンドイッチにかぶりつく。


「うん、うめーー!!・・・柔らかいサンドイッチの生地が舌を撫でているようだ。そこを甘い卵が絶妙にマッチしている。そしてレタスのシャキシャキ感が音を響かせ、食べている俺の心を強く動かしている!」


 食リポ完了。初心者の俺でも、何が美味しいのか即答できるくらいだった。


「お口にあって良かった!」


「・・・しかし、いつもお前の作る料理は美味いよな。」


 達也はいつものように食べている和菜の手料理だが、それを当たり前のように褒め称えている。


「嫌だなー。そんなに上手くないって。むしろ簡単に出来るから作っているくらいなのに。」


 それを言わなかったら良かったのだかな。俺はそう突っ込みたくなってきた。


「さあ、まだまだあるから遠慮なく食べてね!」


 そう言われ、俺たちはサンドイッチをガツガツ食べていった。





「ひゃあーー!美味しかった!」


 美味しいと俺は連呼する。美味しい朝ごはんを食べた後で美味しい昼ごはんを食べれるなんて、俺は幸せだ。いっそ、早くこっちの世界に行きたかったと思うくらいに料理は美味しい。


「さあ、気を取り直して、再び敵を倒しまくるわよ!」


「「「おおーー!!」」」


 俺たちは手を天に強く上げた。


 そして俺たちは、再び森の中に入っていく。早速ゴーレムと出会い、俺は興奮する。


「絆くん、せっかくだし一人で相手してみない?勝てると思うし。もし負けそうになっても私達が見ているからさ!」


「そうですねー・・・では、そうしてみましょう。一度俺も、一人で倒してみたかったし。それと恨みもはらせることもできますし。」


 そう言って阿左美からもらった剣をみんなより1歩ほど出て抜く。それを見て構えるゴーレム。弱点はたしか、顔や手だ。


「おりゃァァァーー!!!」


 俺はゴーレムに向かって強く地面を蹴って走り出す。ゴーレムの頭めがけて俺は剣を強く叩きつける。しかしそれを腕でガード。やはりまだ直ぐには倒せないようだ。


「やっぱりうまくいかねーか・・・」


 そう言葉を漏らし、一度距離をとる。再びゴーレムの頭に向かって・・・と、見せかけて今度は右手に向かって攻撃。


「ゴォッッッ!!」


 思った以上に切れ味のある剣。そのおかげでかなりのダメージを与えた気がした。


「もう一発、くらぇぇぇーー!!」


 左手を更に剣で削っていき、ラストは顔へ。ゴーレムの首は俺の後方、つまり阿左美達がいる場所へと飛んでいった。


「うわ、気持ち悪!・・・こっち来んなーー!!!」


 渾身のケリを達也はゴーレムの顔におみまいする。顔は何処かへと飛んでいった。あの顔は、このあと一体どうなるのだろうか・・・。


「良いじゃねえか。ナイスプレイ!」


 俺に親指を立てる翔太。だから俺もお礼として親指を立て返す。褒められるのは意外と悪くないものだ。


「よし、俺も結構剣さばき、上手くなったのではないでしょうか!?」


 自分で言うのも何かと思うが、確かに自分は上手くなった実感がある。これで少しはまともに生き抜くことができるだろう。


「はい、そうですね。確かにうまくなりました・・・おっと、再び敵が出てきたよ。」


 アヌビスと呼ばれる敵、Dランク。骨をおることも容易いくらいの大きな前歯。そして鋭い目つきをしているが、落下ダメージを抑える肉球が手や足に付いている、犬と猫の合体したような動物。


「ガルルルルッッ・・・」


 敵は5匹。普通なら群れで行動するのだが、今回は少しアヌビスは少ない。


「では、少し本気を出すか・・・『ファイアブレス』!」


 翔太の手から飛んでいく火の塊。着弾と共に周囲は爆ぜる。これが神様の言っていた魔法だろうか。意外と何処にでもあるような感覚だ。これくらいならすぐに使えそうだ。


「凄いですね。魔法ですか?」


「ああ、そうだ。難易度的にはそこまで難しくはないけど。D位だ。」


 恐らく、魔法難易度もまたあの10段階評価のやつだろう。意外とそこらへんは統一されているようなので、こちらからすると助かる。


「俺も使いたいです、魔法。」


「・・・『ブースト』くらいなら、基本的に誰でも使えると思うよ。」


 そう提案してくる達也。なんだか、本当に初期っぽい名前に初期っぽい技。難易度はEだろう。


「とりあえず、イメージをするんだ。強く地面を蹴って、移動速度を上げる映像を脳内で行う。そして『ブースト』と唱えればいける。無属性魔法は誰でも覚えれるしな。」


 この世界には無属性もあるらしい。そう言う自分への強化専用の魔法だろう。


 俺は目をつぶる。脳にブーストという言葉から連想させる映像を作り出す。なんとなくイメージが湧いたところで


「『ブースト』!」


 そう呟き、地面を強く蹴る。しかし速くなったという実感が沸かない。失敗したのだろうか。


 そう思った時、拍手が聞こえた。


「『ブースト』できたんじゃないか?成功おめでとう!」


「かなりの速度が出ていたわ。きっとこれで敵と遭遇しても逃げ切れるでしょう。」


 達也と和菜はそう口々に答えた。更に阿左美や翔太も拍手していた。


 本当に今のがブーストなのだろうか。何か違う気がする。


 そう思い、首を一人で傾げながら先へ進んでいくと、アヌビスが出てきた。


「ちょっと、使ってみるか・・・『ブースト』!」


 成功したのか失敗したのか分からない魔法。俺はそれを試すべく少し使ってみる。すると敵の移動する速度が遅くなっていた。


 しかし、自分が進む距離は使う前とは全く変わらない。これは成功なのだろうか。とりあえず俺は飛びかかってくるアヌビスに向かって剣を振りかぶる・・・だが異常なことを発見。


 それは、飛びかかってきて時間が立っているのに、まだ落下していないと言うことだ。というよりも、飛びかかってくる速度まで圧倒的に減少している。


「おりゃァァァー!!」


 飛びかかってくるアヌビスを切り刻む。そして仲間のところに戻ると


「流石!もう完璧にこなしているな。でもあまり慣れないうちに使っていると、たまに制御しきれずに、そのまま壁にぶつかることもあるから、気をつけな!」


 笑いながら達也は俺にそう言ってきた。制御しきれない?今の技でどうやって壁にぶつかることがあるのだろうか。だから俺は少し嘘をつく。


「・・・やっぱり、速いですよね。『ブースト』使ってから普通に歩くと、感覚がなんだか狂いそうです!」


「分かるよ絆くん!最初はやっぱり慣れないよな。だが使っている内に・・・」


 やはりそうだった。俺は移動速度が上がっているわけではないい。俺以外の経つ周りの時間が遅くなっているだけだ。だから周りには俺が速く動いているように見える。


「・・・ずな・・・絆くん?大丈夫?ぼーっとしているけど・・・」


「・・・あ、はい。大丈夫です!・・・気を取り直して行きましょう!」


 どうやら俺は、特殊能力以外、つまり魔法にも嫌われているのかもしれない。周りとは全く違う『ブースト』。


 壁にあたったりしないかもしれないが、別の意味で捉えると皆よりも体力はすぐに消耗するだろう。何故なら、皆は走りが速くなっているが俺は移動速度は上がっていないから。



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