第一章4話 村に行ってもいいですか?
村に出ていった俺たち。たくさんの人が行き交う村だが、皆んな剣を持っていて少し怖い。そんなにお互いを憎み、殺し合いたいのだろうか。
「人が凄いな。・・・そう言えば、皆んななんの話をしているんだ?」
ちらほらと耳をすませば会話が聞こえる。そして皆んな決まってモンスターの話をしている。
「情報を交換しているのです。ここでは沢山の情報があるので、どんな敵が出てきたら自分は倒すか倒さないか、判断ができるのです。」
これが神様の言っていた情報だろう。俺は沢山の敵と戦い、そして破れながらもなんとか生きて帰って情報を伝える。地味な作業だが、そうすることで多くの命が救える。
「ちなみに私はBです。」
俺の世界にはわからない言葉が出てきた。恐らくランクかなんかだろうか。
「そうか以外と強いな。・・・ちなみに俺は分かるのか?」
「そうですね・・・見た目からしたらCくらいでしょうか?」
「ちなみにそれは高いのか?」
「いえ、普通です。・・・ランク、知らないのですか?」
ここで知らないと言ったら、何かあるのだろうか。なんでこんなことも知らないの?って馬鹿にされそうで少し怖い。
「まあ、知っているけど・・・ここの村のランクはなんだ?」
「・・・全世界共通のはずですが?・・・えーっと、E、D、C、B、A−、A、A+、S、SS、SSSの10階別ランクですよ。」
数が、思っている以上に多い。普通は多くて6階だと思うが、それの約二倍弱。どこまで詳しく測っているのだろうか。
「はい。私もまだまだ努力中です。早くAになりたいです。」
「Aが理想なのか?」
「はい。Aって、かなり強いですよ?SSSが魔王なので、それの4個下ですから。Aなんて、なかなか見ませんよ。よかったら、計測してみます?」
「できんのか?なら是非やらせてくれ!いや、やらせてください!」
「了解致しましたー!」
そのまま俺と阿左美は村の中を歩き回り、とあるお店に入った。別になんともない、普通の店だ。ここでカード発行してもらうのだ。
「いらっしゃい。どちらが発行するんだい?」
少し年を取ったおじさん、30代くらいだろうか。かなり鍛えているような体をしている。そんな男性が質問を投げかけてくる。
「僕です。カード発行をお願いします。」
「了解。お値段は10銭になります。」
そういえば聞いたことがある。1銭が100個で100銭、つまり1になると。しかしこれは江戸時代の通貨ではなく明治時代の通貨である。
「はい。10銭ね。」
阿左美は俺の代わりにお金を出してくれた。
「まいどありー」
そのお金を少し微笑んで受け取る商売人。
「いや、なんか悪いな。手料理をごちそうしてもらったあとに、俺のお願いなんか聞いてもらって。」
「いや、いいって。これくらいのことしかできないくらいなんだから。」
「それじゃあ兄ちゃん、こっちに来な。」
俺は商売人に言われるがままについていった。店の少し奥に進んでいくと、同じような機械が数個並んでいた。
「ここに腰にをかけてくれ。」
案内された椅子に俺は座った。それを少し遠目で阿左美が覗く。
「ここに手を出して、『計測開始』と言ったら始まる。少し光るがじっとしていろよ。」
「分かりました。」
俺はその機械手を差し出す。
「『計測開始』」
いわれた通りにすると、言われた現象、つまり機会は光りだした。白い光が自分を包んでいき、眩しい。
目を開けるといつの間にか光が終わっていた。計測が終了したのだろうか。
「もういいぞ。これでお前の脳に能力値が行き渡った。目視したかったら今度は『ステータス』と呟けばいい」
「了解しました。・・・『ステータス』」
すると手のひらに何やら少し硬いものが現れた。ステータスが書かれているカードのようだ。
「俺のステータスはなんだ?いっそ強めのほうがいいな!」
俺はそう叫ぶが、脳に横切るのは『絶対に勝てない。』最弱並の弱さなんじゃないかと思えてきた。
「えっとー・・・E、?、S、C、C、全属性・・・なんだこれ?」
「左から、攻撃力、防御力、体力、魔力、総合の5つだ。そして最後は属性。だから攻撃系は強くはないが、体力はとても高いな。・・・それで、この『?』と、全属性・・・なんだこれ。」
俺は察した。恐らく『絶対に勝てない。』という能力で攻撃系は完全に衰えているのだろう。しかし、『絶対に死なない。』で体力はもちろん、防御力はパラメータを振り切ったのだろう。
「恐らく、弱すぎて防御力がわからなかったんじゃないか?・・・気の毒だが、死ぬなよ、兄ちゃん。」
悪い意味で取られてしまった。だから俺は苦笑いしかできなかった。
「しかし大丈夫だ。敵を倒したら倒した分だけ経験値がもらえて、それで色々と成長する。だから普通に敵を倒せばステータスは推移する」
「そうですか・・・それは良かったです」
なんとなく予測していたパラメータだったことから、残念感が薄れた気がした。
「それで、君は全属性何だけど、これは初めてみたな・・・普通に全部操れるのかな?」
「どういうことですか?」
「いや、この世界には火属性、水属性、風属性、雷属性、闇属性、の5つあるだろ?・・・だから君は全部操れるんだよ。運がいいな。」
よく分からないが、どうやら俺は運が良かったらしい。そして俺はどの属性も操れるらしい。
「絆、なんかいいな。ってことは使えない魔法はないんじゃないの?火なら火しか使えない、水なら水、氷しか使えないっていう欠点を覆したわね!」
そう言って褒め称えてくれる阿左美。ひとまず属性に関しては勝ち組だろう。
「そういえば、君は総合力がCだったよな?」
「確か、一番右のやつですよね・・・はい。そうですけど?」
俺は再びステータスを、眺め始めた。攻撃は弱いけど、防御力は高いから自分は強いのか、弱いのか、全くわからない。
「ってことは、君はCまでの敵と渡り合えることができるのか。それは良かったな。基本的にCまでだからな。」
「・・・どういうことですか?」
恐らく、この世界ではこのくらいはみんな知っているのだろう。俺は違うところから来たから全くわからない。周りの人からすると、俺は常識を知らない人になってしまう。
「・・・えーっと。この世界ではそれぞれランクがあるのは知っているのかな?」
恐らく、それは先程阿左美が言っていたやつだろう。
「はい。」
「うん。なら良い・・・相手にもそのランクがつけられているのも知っているかな?」
正直、このことを知ったのは初めてだったが、知らないと答えたら、なんと言われるのかわからない。
「えーっと・・・まあ、知っています。」
「その自分のランクと相手のランクを見て、自分はどれくらいの敵と戦ったら死なないのか、判定できるんだ・・・だけど、あんまりそう言う情報がなくてね・・・新しい敵と出会って戦ったら、基本的に死ぬから。」
沈黙が支配した。その沈黙を少し保った後、阿左美が補足するように告げる。
「・・・だからみんな知らない敵が来たら逃げるんだ。それじゃあ新しい情報は見つからないんだけどね・・・」
「・・・とりあえず、君はCだからCまでの敵と戦っても大丈夫だ。でもB以上になると、やばいかもな。」
そんなとき、横からとある人の声がした。
「こんな時になんだけど、そこの冒険者。俺と一緒にやらないか?」
「あ、すみません。僕そういう趣味じゃないんです。」
俺は即答した。腰を振っている男性は俺に一緒にS●Xでもしたかったのだろうか。
だが童貞の俺からすれば初めては男子なんて嫌なのだ。ましてや30歳くらいの男性となんてもっと嫌だ。
しかし、阿左美が俺の反応に驚き
「何言ってるのですか?絆さん。こういうのは普通やるべきですよ?ましてや年上。断るなんて見たことありません!」
「へ?・・・ここの村ってそんなん流行っているのか?・・・だったら俺も・・・いや、初めてが男子は絶対嫌だ!ってか嘘なんだろ!?」
もしかして、これも魔王と何か関係でもあるのだろうか。
しかし俺はそう言うと、周りの人は俺を引くように冷たい視線を送ってくる。
「・・・初めてが男子?・・・何言ってるのですか?普通じゃないですか?・・・あ、なるほど心配しているのですね。分かります。確かに最初は怖いですよね、モンスターと戦うの!」
「だから、童貞の俺からすると初めてが・・・今なんて?モンスターとの戦い?」
「・・・はい?そうですけど?・・・絆さん、大丈夫ですか?」
どうやら俺は大きな勘違いをしていたようだ。いや、腰を振りながらヤラないか?と言ってくるやつが悪い。
「絆さん。どうてい?ってなんですか?」
「いや、なんにもない!気にしないでいこうぜー!」
どうやらこの世界、あまり下ネタが分からないようだ。まあ、ヤラないかと言われて下ネタを連想できるのは現実世界くらいだけだろう。
「・・・んで?どうてい君は一緒にやらないか?」
「やりますから腰振りながらそのセリフを言うの、やめてください!」
恐らく、村で俺のことは変わり者だと思われただろう。