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ホラーギルド  作者: 時雨瑠奈
笑顔の終局のために
31/35

それぞれの想いと力 その1

 ついに最終局面ともいえる戦いが始まった。

「ホラー・ギルド」のメンバー達とリーダー、そして

協力者の二人は駆ける。

 ただ一人の少女を、救いを求める言葉さえも言えな

い少女を助けるために。

 仲間に愛された少女を助けるために。

「がう――っ! どけよ、食っちまうぞ科学者ギルド

――っ!」

 サヤ=ライリーは長い赤い髪を揺らし、同色の瞳

を獣のようにぎらつかせながら叫んだ。

 その様子に、サヤを止めようとした白衣の男が怯

んだように立ち止まる。

「――えいっ」

 と、そこに銀色の髪に眼鏡をかけた倉木ルカが飛

び出して、不意打ちをくらわせた。

「愛の力ね~」

「あ、あああ愛じゃねえよ!」

 途端に、サヤが真っ赤になってわたわたし出す。

照れない照れない、とくすくす笑いながら三つの白

に近い銀の尻尾を振ったのは夕顔だ。

 と、ルカが泣きそうになったのでサヤはびくっと

なって動きを止める。

「そ、そんなに嫌なんですか?」

「べ、別にそういう訳じゃ……」

「やっぱり仲がいいんじゃないの~」

 夕顔がもう一度言う。サヤはさらに真っ赤になっ

てう~っ、と唸ったがルカの方を気にして文句を言

う事はなかった。

 おい、と褐色の肌に薄い金色の髪をした青年、

エリオット=アディソンが夕顔の頭を軽く小突く。

 痛いわ~、とのんびりした口調の彼女に呆れ顔を

していた。

「ここはギルドじゃないんだぞ? 今はサヤをから

かったりしている場合じゃない」

「分かったわ~」

 本当に分かってるんだか、とエリオットがため息

をつく。

 しかし、怒られた夕顔は反省したらしくきちんと

目の前の敵に向き直っているみたいだった。

「エリオットも、油断は禁物よ!?」

「分かりま……すまん。分かってるよ」

 ぐぃっと腕を引かれ、エリオットは苦笑しながら

つややかな茶の髪をなびかせた、吾妻夙あずまなぎさへと視線を

移した。

 つい依然と同じように敬語を口にしてしまい、謝っ

てから頷く。

 よろしいとばかりに微笑む彼女が、やはりエリオッ

トは好きだった。

 そんなわいわいと楽しそうな雰囲気に、嫌気がさし

たような顔をしているのはギルドマスターであるルイ

ア=ラクレンサだった。

 エメラルドのような色をした片目が、苛立ちを含ん

で細められる。

 彼の瞳は隻眼で、片目は黒い眼帯で隠されているの

だ。

「いいのか、こんなピクニック気分で……」

「まあまあギルドマスター、そんなに目くじら立てな

くてもいいじゃありませんか」

 そんな彼を、なだめるように発言するのはロッカ=

ロッタだ。

一見可愛らしい少女の姿をしているが、何故か人参の

匂いを嗅ぐと魔物に変貌するという特殊な能力を有し

ていたりする。

 淡い水色の髪を揺らし、水色の瞳にルイアの姿を映

す。

 しかし、ルイアの視線は自分を見てはいない事に少

しむくれていた。

「あんなに楽しそうにしやがって……! くそっ……」

 彼の視線に映るのは、炎のような紅い髪を揺らす黒い狼の耳を持つ

少女。『ホラー・ギルド』のギルド・リーダーである、サヤ。

(ギルドマスターは……まだ彼女の事を……)

 馬鹿な人、とロッカは思った。でも、その馬鹿が気になってしまう

自分もまた、馬鹿なのかもしれない。

「ギルドマスター……」

 行きましょう、とロッカは声をかけるために、彼の腕を軽く掴もうと

した。が、魔術反応に気づいてしまったために幾分強く腕を引っ張る

羽目になってしまったようだ――。



「いてぇ!? おい、ロッカ――!?」

 抗議をしようとした、ルイアの声が尻すぼみになって行った。

腕がもげるのではないかというほどの力ではあったが、今まで彼がいた

場所をいくつもの火球が通り抜けていく。

 あのままあの場所にいたら、ただでは済まされなかった。

「ロッカ……すまない」

「皆さん、ここは危険です! 逃げて!」

 こくり、とただ頷いて見せただけでロッカは鋭い声を投げた。

唐突の事に、全く動けないルイーズ・ドラクールことルーを、シオン=

エレットが横抱きにして走り出した。

 危ねぇ!とルカを突き飛ばそうとしたサヤが、腕を引かれてそのまま

一緒にごろごろと転がる。

 青ざめた夙の腕を掴んでエリオットが距離を取ろうとして、その場の

態勢がどんどん崩れて行った。

 ゆきなと夕顔はどうしたらいいか分からないらしく、動けない。

「どうしよう……どうしたら……嫌だ、嫌だ……っ、こんな所で!」

「しっかりしてゆきな! ――サヤ、エリオット! ルイア様でも誰

でもいいから早く指示して!」

「全員……散開……」

 いつもの強気さが嘘のような、ゆきなの泣きそうな顔を見た夕顔が

悲鳴のような声を上げる。

 恐怖にかすれたサヤの声がその場に響き、全員はその場から敵を引き

つけつつ移動をする事をよぎなくされた――。









 


 長らく投稿出来ていなかったの

ですが、ようやく投稿のめどが立ち

ました。

 思ったより長くなりそうな兆しです

が、最後まで見ていただけると嬉しい

です。

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