清らかなる少女の元へ……
ついに始まった、救出作戦にホラー・
ギルドのメンバーは緊張しているよう
だった。
特に、金の髪と金の瞳を持つルーこと
ルイーズ=ドラクールは、短い緑の髪を
持つシオン=エレットにしがみついて
彼を真っ赤にさせている。
「ちゃんと、出来るかな……」
「る、ルー、嬉しいけど今は離れてよ!」
「お前ら、いい加減にしろよ……」
こんな所でいちゃつくな、と思ったのは
赤い長い髪を揺らしたサヤ=ライリーだけ
ではあるまい。
この場の全員がため息をついていた。
「ラブラブタイムは、後にしてくんねえかな?」
「べ、別にラブラブなんてしてない! ルー、
離れろ頼むから!」
「だって、不安なんだもん……!」
「――ルー、シオンから離れろ」
シオンが言っても言う事を聞かないので、
渋々サヤが命令した。ルーはむぅ、とすねた
ような顔ながらサヤの言う事に従う。
こほん、と咳払いをして褐色の肌が特徴の
エリオット=アディソンが口を開く。
「で、作戦はどうするんだ?」
「あ、私も聞きたいわ、どんな作戦なの?」
砂色の髪を揺らしながら、ルミアも聞く。
しかし、サヤはきょとんとした顔だった。
「作戦? そんなもんねえよ?」
『えっ……』
一瞬、サヤ以外の全員の顔が強張った。
誰も何も言わず、しばらく沈黙が流れる。
「って、作戦なしに言ってたのあんた!」
砂色の長い髪を逆立てるように、ルミアが
怖い顔になったので、サヤは思わず銀の瞳に
眼鏡をかけた倉木ルカの後ろに退避して
しまった。
「逃げる事ないでしょ!」
「ま、まあまあ。落ち着いてくださいよ、
ルミア……」
「こ、怖いよルミアちゃん……」
「正直僕も怖い。さすがはゴーゴン族だね」
「何ですって!?」
がぁっ、と今度は怯えているルーをかばった
シオンに牙を剥くルミアを、落ち着きなさいよと
なだめたのはゆきなだった。
白に近い銀の髪を揺らし、ルミアの前に出る。
「いいじゃない、ノープラン。サヤらしいわ。
私は、サヤのプランに乗るわ」
「わたくしも……」
くすくす笑いながら、吾妻夙も同意した。
わ、笑うなよぉ、と言い返しつつサヤはどこか
嬉しそうな顔になる。
「確かに、何をいまさらって感じだよな。ってか
馬鹿のサヤに深く考えてプランを用意しろ、っても
可哀想だしな」
「おいコラ! オレが馬鹿みたいに言うなよ!」
「その通りだろ?」
「エリオット、てめえ!」
「はいはい、ケンカは止めてください!」
エリオットがサヤをからかうように言葉を発した
ので、それに見事に引っかかったサヤが彼に食って
かかりケンカになりそうになった。
しかし、パンパンと手を叩いたロッカ=ロッタが
止めたので思わず二人は口をつぐむ。
淡い水色の瞳に見つめられ、罰が悪そうに両方下を
向いていた。
「今は、ケンカしている場合ではないでしょう? どうせ
ノープランなら、早く守護姫を助けに行きましょうよ」
「俺も、今日はロッカに同意だな。俺は早くこんな事は
終わらせたいんだ……!」
いかにも、許せないと言わんばかりに言い放つギルド
マスター、ルイア=ラクレンサにこの場のほとんどの者が
意外そうな顔をした。
苦笑しながら、あれで悪い人ではないですから、とロッカが
告げる。
「じゃあ、行くか」
「はい、リーダー!」
「私も~頑張るわ~」
「付き合ってあげるわよ」
「もちろん、あたしはサヤについてく!」
「まあ、ルーが行くなら僕も行くよ」
「ここまで来て、仲間外れなんてごめんですわよ?」
「だな! そろそろ最終局面だ!」
「科学者ギルド、絶対に潰してやるわ!」
サヤがスッと伸ばした手に、ルカ、三つの白に近い銀の尻尾を
揺らした夕顔、ゆきな、ルー、シオン、夙、エリオット、ルミアの
手が重なった。
さらに、そこにもう二人の手も加わる。
「私達も、最後までお付き合いします」
「まあ、乗りかかった船って奴だな」
ロッカが笑顔で手を重ねていると、眼帯をつけていない、濃い
エメラルドのような瞳を煌めかせてルイアは少し気恥ずかしそうに
冗談交じりの口調で言っていた。
最後の戦いが今幕を開けようとしていた――。
すみません、本当は助けに行く話に
するつもりだったのですが、思ったより
長くなりそうなので次回に回します。
決意を述べるシーンが長引いてしまった
ので……。
次回は、サヤ達が活躍する予定です。




