清らかなる少女の居場所
今日もホラーギルドのメンバーは
守護姫の捜索を始めていた。
彼らには諦めるという意思が全く
ないようである。
倉木ルカは震えそうになる幼き
リーダー、サヤ=ライリーの手を
しっかりと握りながら歩いていた。
もう全員は集合しており、話合い
ながら歩いている。
もちろん科学者ギルドに気付かれ
ないように小声でだが。
サヤはむぅ、と唸りながら炎の
ように紅い目でルミアを見た。
「行けない、って言ったのか守護姫が」
「ええ、私達を出口まで誘導して帰そう
としたわ。何故そこまでするのかしら」
ルミアが砂色の瞳に怒りをにじませ
ながら言う。
サヤも意味は分からないらしく首を
かしげていた。
ロッカ=ロッタが、短い水色の髪を
揺らしながら口を開く。
「巻き込みたくないんじゃないんで
しょうか」
「巻き込みたくない?」
「だってサヤ達は守護姫とは何の関係も
ない人達でしょう? 優しい子なら巻き
込みたくないと思うのが普通じゃない
でしょうか」
「確かに、助けてもらって当然と思う
方がおかしいわね」
吾妻夙がロッカの言葉に同意した。
ルイーズ=ドラクールことルーも、そう
かもと金の瞳を潤ませながら頷く。
「そっか……」
サヤが舌打ちした。気持ちは分かる
けれど落ち着いて、夙がなだめる。
サヤはまだむくれつつもルイア=ラク
レンサの眼帯をしていない、エメラルドの
ような濃い緑の瞳を見つめた。
「ルイア、警備が厳しそうな場所とか
なかったか!? あったら教えて欲しい」
「警備が厳しそうな場所……?」
「そうか、あいつらは守護姫を逃がしたく
ない! 彼女の部屋の警備は厳しく
なっているはずだ!!」
ゆきながサヤにかぶせるように叫ぶ。
いつもは青白い頬が、今は赤みを差して
見えた。相当に興奮しているようだ。
ルイアはしばらく考えていたが、やがて
思い出した事を口に出し始めた。
「……あったぜ。出口の前には誰もいな
かったが、研究室の隣に小部屋がある
だろう?」
研究室、と聞いて夕顔の表情が強張った。
いや、夕顔だけではない。
サヤ、ゆきな、シオン=エレット、ルー、
夙、エリオット=アディソン。
この場にいるルイアとロッカ以外の全員が
怯えていた。
研究室は奴らの巣窟だ。今まで自分達を
苦しめてきた奴らがいる場所だ。
怯えても当然だろう。
ルカだけは怯えてはいなかったが、妹が同じ
ような目に遭ったという怒りで唇を震わせ
ていた。
「……本当に、そこなの?」
ルーが震える声で答える。
シオンはうつむいていたが、怖いと思っている
のは誰もが分かっていた。
「間違いない。奴ら交代で、あの小部屋の前に
立ってたしな。多分、あそこが守護姫の部屋なん
だろう」
ルイアが断言する。
それを聞いた全員はしばらく黙っていた。
誰もが口を開かない。と、数分してようやく
サヤが口を開いた。
「分かった、行く」
「そうこなくちゃな」
「ま、待ってよ! サヤ分かってるの!?
研究室のそばに行くって事は、奴らに捕まる
かもしれないって事よ!?」
いつもは間延びしている夕顔の声は、今は泣き
そうだった。
サヤは一瞬ためらった後に力強く頷いた。
怖くないと言えば嘘になる。だけれど、もう決めた
のだ。
守護姫を、絶対に助けると。
「分かってるさ、危険なのは。だからお前達は
着いて来なくてもいい。俺だけで行くから」
「やだ!! サヤだけ置いてけないッ!!」
「ばっかじゃないの? サヤ一人だけで何が
出来るってのさ。捕まるのがおちだよ」
「私達、仲間でしょ。協力し合わないと」
「正直俺だって怖い。だけど、一応女のサヤだけに
危ない橋を渡らせる訳にはいかないな」
「あたしも行く。いつまでも奴らに言いなりに
なっているのも面白くなかったしね」
「私達は奴らの実験動物でもいいなりになる駒でも
ない。その事を思い知らせてやらなくちゃね」
「妹の仇、そして皆さんの恨みも晴らさせていた
だきたいと思います」
「私はもう、誰も見殺しにしたくないわ」
「もちろん私達も協力しますよ」
「愛する君のためならいつでも力を貸そう」
一人でも行こうとするサヤに、ギルドの全員と
ロッカ達が立ち上がった。
泣きそうな顔になりながらルーが喚き、そっぽ向き
ながらシオンが言い、夙がにっこりと笑い、エリオットが
自分を鼓舞するように拳を握り、ゆきながぎらりと目を
光らせ、ルミアがキッと前を睨みつけ、ルカも凛々しさを
感じさせる声で呟き、夕顔は今まで何度も見殺しにして来た
事を悔やむように唇を噛みながらも決意した。
ロッカとルイアもこのまま一緒に行動してくれるようだ。
「野郎ども、行くぜ!!」
『おお――っ!!』
サヤの大声に、全員がかぶせるように張り切ったような
声を上げた――。
ついに清らかなる少女居場所
らしき場所が見つかりました。
次回、ギルドメンバー+
ルイア&ロッカで救出作戦に
移ります。
ストック様がお亡くなりに
なったので、これからは直
での投稿になるので頑張り
たいと思います。




