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ホラーギルド  作者: 時雨瑠奈
笑顔の終局のために
28/35

清らかなる少女を救え!

 サヤ=ライリーは真っ赤な髪を窓から

吹きつける風になぶられながら歩いていた。

 用意された自室へと戻るためだ。

その手はしっかりと倉木ルカに握られて

いる。

「……手、離すなよ」

「大丈夫ですよサヤ。絶対に離しません」

 不安そうな顔をするサヤ。

ルカはにっこり笑うと、彼女の手を握った

手に力を込めた。

 ……部屋はすぐに見つかった。

サヤは疲れたような顔でベッドに腰かける。

 ぐぅ、と腹が鳴ったが、食料には手を

つける気はなかった。

 部屋に用意された物には何が入っているか

分からない。

 夕顔に用意してもらった鞄に入っていた、

チョコレートの包みを取り出して分け合って

食べる事にする。

 さっき再会したゆきなに氷の力を使って

もらったのでよく冷えていて美味しかった。

 口の中でとろりと溶けて消えていく。

「うまい……!!」

「おいしいですね」

 久しぶりに口にした食べ物はほんの僅かの

量であっても二人の心と体を温めてくれた。

 サヤは上機嫌に、黒い狼の耳をぴくりと

動かす。ふさふさした尻尾も上機嫌に振ら

れていた。

「……行こうぜ、ルカ」

「はい……!!」

 二人は力を込めて言うと、部屋を辞して

歩き出した。目指すは、清らかなる少女の

ために。

 彼女を助けるために――。


 一方、ルイーズ=ドラクールことルー、

そしてシオン=エレットは。

 彼らもまた用意された部屋を目指していた。

ルーは不安そうな涙目、シオンは不安を隠した

ような顔である。

 ちなみに、シオンは仮面を修復済みだが怪し

まれるのでつけてはいなかった。

 虹色にきらめく妖精のような羽根を揺らし

ながら、ルーはうつむいている。

 金の瞳は泣き出す寸前のように潤み、金の髪を

持つ頭は小さく震えていた。

「泣くなよ? ルー」

「泣いてないもん!!」

「知ってるよ。注意しただけじゃないか」

 ぎゃんぎゃん言い合う二人組。

しかし、「うるせーぞ!!」と彼らの部屋とは別の

部屋から怒声が聞こえたため黙るしかなかった。

 誰も好き好んで痛い目に遭いたいとは思わない

だろう。

「ねえ、シオン……」

「何だよルー?」

「私達、ちゃんとお家に……ギルドに帰れるよね?」

「当たり前だろ」

 不安そうに目を潤ませる少女の肩を叩いてやり

ながらシオンはにやりと笑った――。


 一方。いい雰囲気な四人とは違い、重苦しい空気を

作り出しているのは吾妻夙とエリオット=アディソン

だった。

 夙は明るい茶色の瞳にどこか悲しそうな色を浮かべ、

赤い唇を黙って噛みしめている。

 エリオットは褐色の顔を困ったようにしかめた。

「あ、あの夙様……?」

「様つけやめてって言ったでしょ。『夙』って呼ばない

と返事しないから」

 ふいっと視線をそらす夙。

エリオットはしばしオロオロしたように、薄い青の目を

泳がせていたが、やがて意を決して口を開いた。

「な、夙……様」

「な・ぎ・さ!!」

 だが、変に意識してしまいつい様つけしてしまう。

ムッと頬を膨らませながら夙が睨んだ。

「な、なぎさ……」

 エリオットが真っ赤になるのが面白くて彼女はついくす

くすと笑ってしまい、彼に無言で睨まれた。

 さすがに主と慕う彼女の行動でも腹が立ったのだろう。

でも、夙は彼の事を従者のようには思っていないので

不快な気分にはならなかった。

「行きましょうエリオット。あの子を助けるのよ。サヤ達も

もう動いてるかもしれないし、私達が遅れを取る訳にはいか

ないわよ?」

「は、はい夙様!! ……じゃ、なくて行こうぜえっと……

夙」

 エリオットはまたもや夙を様つけしてしまい、夙に睨ま

れて慌てて敬語と様つけを取っ払って言い直した。

 よろしいと言いたげに夙が微笑み彼の手を取る。

重苦しい空気は完全に消え去っていた――。


 ゆきな、夕顔、ルミアも探索を続けていた。

苛々したようにゆきなが銀の瞳をぎらつかせ、夕顔は栗色の

瞳にどこか困ったような色を混じらせ、ルミアは砂色の瞳を

静かに周囲にめぐらせている。

「一体、どこにいるのかしら」

「早く見つかればいいけど」

「えっと――『守護姫』ちゃーん、出ておいで~」

「出てくるわけないでしょっ!!」

 いきなり探している本人を呼ばわると言う暴挙に出た

夕顔にゆきなが突っ込む。だが――。

 その場に現れたのは、話に聞いた通りの『守護姫』だった。

白なのか銀なのか判別つかない髪、ガラスのような青い瞳、

病人を思わせる青白い肌。間違いなく『守護姫』だ。

「あら~守護姫ちゃん」

「「ホントに出た!!」」

 おっとりと夕顔が言い、ルミアとゆきなの声がハモる。

守護姫は何も言わずに身をひるがえした。

 慌てて三人が後を追う。

ついて来いとでも言っているのだろうか。

 彼女は空中にふわふわと浮きながらゆっくりと走って

いる。明らかに三人を呼んでいた。

 三人もまた彼女と速度を合わせながら走っていた。

……どれほど走ったのだろうか。

 三人の息が切れてきた時、ようやく守護姫は立ち止

まった。

 あっ、とルミアが声を上げる。そこは、以前ルー達が

彼女に教わった『出口』だった。

 彼女は『帰れ』と言いたかったのだ。

「今すぐここから帰って。何故、戻って来たの?」

「あんたを探して連れ帰るためよ!」

 苛立ったようにゆきなが怒鳴る。しかし、伸ばされた

手は彼女に届かずやはり空を切った。

「私は、行けない。ここから出ることは出来ない」

「何故よ!?」

 今度はルミアが怒鳴った。夕顔が「一緒に帰り

ましょ――」と言うが黙って首を振る。

 ルミアの質問への答えはついになく、彼女はフッと

姿を消した――。

 もう少しで、ホラーギルド完結します。

あ、まだですが、最後までお付き合いいた

だけると嬉しいです。

 久々の完結作品にするために最後まで

突っ走ろうと思っています。

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